図1.1 研究開発フロー
*1 別途研究テーマとして進行中。今回については従来通りマイヤーズの式で計算を行う。
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「高潮による水位上昇推算の研究」検討ワーキングを設置して研究開発を実施した。
委員 安田孝志 岐阜大学大学院工学研究科 教授
委員 鈴木 靖 日本気象協会東海支社技術部 部長代理
委員 田中秀雄 日本気象協会東海支社総務・営業課 主任技師
委員 安部智彦 日本気象協会東海支社技術部調査課 技師
委員 大西健二 日本気象協会関西支社調査部応用気象課 技師
委員 齊藤勝也 日本気象協会首都圏支社調査部応用気象課 技師
委員 高井博司 日本気象協会首都圏支社調査部応用気象課
吉野 純 岐阜大学大学院工学研究科 助手
事務局 甲斐敏英 日本気象協会管理本部管理部事業課 課長
ここでは、高潮推算、波浪推算の外力となる台風データ、及び推算結果の精度検証を行うための実測データ等、各種資料を収集した。
2.1.1 台風データ
台風の属性を示す台風データを収集した。これは、のちに台風モデルを用いて気圧場、風場を推算するための入力条件となるものである。収集した台風データの一覧を表2-1-1に示す。
表2-1-1 台風データ収集事例一覧
地点名 |
期間 |
諸元 |
備考 |
周防灘台風 |
1942.8/21-29 |
中心位置、中心気圧、最大風速半径 |
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台風9119号 |
1991.9/23-28 |
〃 |
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台風9918号 |
1999.9/20-24 |
〃 |
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仮想台風 |
--- |
〃 |
コース:台風9918号
勢力:枕崎台風 |
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実台風3ケースについての概況と、仮想台風を含めた4ケースの経路図(図2-1-1)を以下に示す。
周防灘台風(台風4216号)
8月21日にサイパン島東方400kmの海上で発生し、急速に発達しながら北西に進んで、26日6時には南大東島付近を通って、27日朝に臥蛇島付近に達した。この頃から勢力が強い大型台風になり、天草島西岸、長崎県千々石湾を経て、18時に有田の東方に上陸した。その後、唐津市の東から玄界灘に抜け、日本海を縦断して北海道西岸で消滅した。
台風9119号
9月13日9時にマーシャル諸島の東で発生した弱い熱帯低気圧は西に進み、16日9時にマーシャル諸島の西で台風9119号となった。台風は発達しながら22日、フィリピンの東で進路を北西に変え、大型で非常に強い勢力となった。26日に宮古島の東を北上した後、進路を北東に変えて、27日16時過ぎに大型で非常に強い勢力を保ちながら佐世保市の南に上陸した。上陸後は加速しながら日本海を北東に進み、28日8時前に、大型で強い勢力で渡島半島に再上陸し、28日15時には千島近海で温帯低気圧に変わり、さらに東北東に進んだ。
台風9918号
9月17日9時に沖縄の南海上で発生した弱い熱帯低気圧は、19日9時に同海域で台風9918号となった。台風は20日には宮古島の南海上へ進み、その後、次第に発達しながらゆっくりとした速さで北東へ進み、22日9時に沖縄本島の南西の海上で大型で非常に強い勢力となった。台風は同島の西海上を北上し、次第に速度を上げながら東シナ海を北北東へ進み、24日5時前、天草下島を通過し、同日6時頃、中型で強い勢力で熊本県北部に上陸した。その後、九州北部を通って周防灘へ進み、同日9時前には勢力を維持したまま山口県宇部市付近に再上陸した。台風は中国地方西部を通って日本海に進み、25日2時頃、中型でなみの強さで北海道渡島半島付近に再上陸した。その後、北海道の西岸を北東へ進んで北海道北部の天塩町付近に再上陸し、同日12時、網走沖で温帯低気圧に変わった。この低気圧はオホーツク海からカムチャツカの東海上へ進み、さらに東北東へ進んだ。
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