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5.17 International Authorization Board(国際認定委員会)
安蔵 泰夫
 
1. A委員会(規則, 指針, 実施要領関係)
1.1 IWEガイドラインのAlternative Route(J-ANBでは特認ルートと称している)のモジュール毎のポイント制について, パーセンテージでカウントすべきとの意見が出された。今年中に改定案を作成し, 来年1月のパリ中間会議でAuthorizeすることになった。
1.2 Welder Guidelineの教育訓練プログラムに関するMIG/MAGとFlux Cored Arc Weldingの組み合わせにおいて, その内容を見直しすることになった。
1.3 IWIPに関し, Q&A Databaseの整備を進めているが, まだ十分でないので, 更に各ANBに協力依頼することになった。
1.4 Plastic Welder Guidelineに関し, EWFにおいてEN13067に整合したGuidelineが発効し, その概要が紹介された。IABとしての今後の方針についてIAB Boardに諮ることになった。また同時にWGが結成された。
メンバー国:イタリー, オーストリア, チェコ, ドイツ, 日本, ポーランド, 南アフリカ, スイス
 
2. B委員会(認証, 認定の実施)
2.1 Access Condition and Transition Arrangement
2.1.1)溶接分野の若手技術者育成のため, ANBと5年生のEngineering School(ENSMA)が連携し, Engineering SchoolのDiplomaを得る前の在学中にIWEコースに参加できるようにすべく, その条件が提示された。討議の結果, IWE GuidelineのGeneral Access Condition Pra. 2に従うことで承認された。
2.1.2)セルビアからのIWE, IWT及びIWSのAccess Condition及びIWE, IWTのTransition Arrangementに関する提案は原案通り, 承認された。
2.1.3)スウェーデンからのIWTのAccess Route追加に関する提案について, 提案されている「Adult Education System」の内容及びその認証のレベルをもっとクリアにすべきとの意見が出され, 次回パリ中間会議に見直しの提案がされることになった。
2.1.4)スロバキアからIWE, IWTのAccess Conditionに関する提案は原案通り, 承認された。
 
2.2 Rules and Operating Procedures
 OP17としてHarmonized Examination Database(Q&A)の実施要領が提案され, 承認された。今後とも, IWE, IWTのDatabaseを整備してゆく。
 
3. IAB理事会関係
3.1 IAB Board Member交替に関する情報
 IAB BoardのChairmanが7月でアメリカのDr. HowdenからドイツのDr. Hofeに交替した。後任のヨーロッパ代表にはスウェーデンのMr. Johanssonが就任した。
3.2 アジア・アフリカ代表の野村博一氏の任期は, 新ルールにより, 2005年のプラハ大会まで。後任の候補者案を2005年1月のパリ中間会議に提案しなければならない。日本からの重任はできない。
3.3 2005年よりIABの年会費の算出法が変わる。Diplomaの発行数に比例した算出法を採用することと, IABとEWFのSecretaryを兼任させることで費用を削減するため, 多くの国の年会費が減る。日本の場合, 現行8,000ユーロであったが, 半分以下となる見込み。
 
 溶接に関する国際資格に認証については, 既に国際溶接管理技術者の認証制度が日本においても進展してきており, 更に2004年からは非破壊検査に関する国際資格制度もスタートした。これらの資格を有すれば, 国境を越した溶接技術者として認知されることになる。造船を中心とした海洋構造物の分野においても, 国際資格の活用が有効であり, 今後更に進展することは確実である。
 
委員長 菅 泰雄
(幹事 田中 学, 委員 平田好則)
 
1. 開催期間 2004年7月11日〜7月16日(SG212は7月12〜14日)
 
2. 出席者 約50名
 日本人の出席者は3日間を通じて, 牛尾, 大嶋, 黄地, 平岡, 杉谷, 中山, 浅井, 小川, 鴨, 山本, 中村, 中野, 印南, 王, 中谷, 山根, 藤井, Lu, 上山, 大縄, 仝, 村川, 片山, 宮坂, 正箱, 岡垣内, 辻村, 往西, 田中, 平田, 菅の31名(敬称略, 順不同)
 
3. Study Group 212研究発表
 Prof. Dr. E. Halmoy (Norwegian University of Science and Technology, Norway)委員長のオープニング挨拶, 前回議事録(Doc.212-1048-03)の確認の後, 下記の研究発表が行われた。
 
7月12日 14:00〜18:00
(1)M. Tanaka, M. Ushio and J. J. Lowk
"LTE-diffusion approximation" for arc welding calculations
Doc.212-1064-04
(2)G. Huismann
Starting of the MIG process
Doc.212-1065-04
(3)F. Miyasaka, Y. Yamane and T. Ohji
Development of circumferential GTA welding process model for aluminium alloy structures
Doc.212-1060-04
(4)T. Okagaito, F. Miyasaka and T. Ohji
UV radiation thermometry of TIG weld pool
Doc.212-1061-04
(5)S. Shobako, M. Ohta and T. Ohji
Characteristics of hollow cathode arc as a heat source
Doc.212-1062-04
 
7月13日 14:00〜18:00
(6)Y. P. Lei, Y.W. Shi and H. Murakawa
Mathematical modelling of the interactions between coupled welding arc and pool for gas tungsten arc welding
Doc.212-1063-03
(7)M. Tanaka, M. Ushio, M. Ikeuchi and Y. Kagebayashi
In-situ measurements of electrode work functions in TIG arcs during operation
Doc.212-1067-04
(8)T. Nakamura and K. Hiraoka
GMA welding process using wire feed rate which synchronized with current waveform-Development of ultra-narrow gap GMA welding process
Doc.212-1068-04
(9)B. Y. B. Yudodidbroto, M. J. M. Hermans, Y. Hirata, G. den Ouden and I. M. Richardson
Monitoring pendant droplet oscillation during pulsed GMAW
Doc.212-1070-04
 
7月14日 14:00〜18:00
Commission XII and SG212 Joint Workshop
"UNDERSTANDING THE MECHANISM OF THE A-TIG PROCESS AND ITS APPLICATION IN INDUSTRY"
Welcome and Introduction (Professor Y. Hirata)
(10)K. A. Yushchenko, D. V. Kovalenko and I. V. Kovalenko
Comparative analysis of A-TIG and TIG welding
(11)C. Dong and S. Katayama
Basic Understanding of the A-TIG Welding Process
Doc.XII-1802-04/212-1055-04
(12)Y. Ogawa
Effect of Active Flux on Anode Reaction
Doc.XII-1797-04/212-1059-04
(13)J.J. Lowke, M. Tanaka and M. Ushio
Insulation Effects of Flux Layer in Producing Greater Weld Depth
Doc.XII-1800-04/212-1053-04
(14)S. Lu, H. Fujii, M. Tanaka and K. Nogi
Effects of Welding Parameters on the Weld Shape in Ar - O2 and Ar - CO2 Shielded GTA Welding
Doc.XII-1801-04/212-1054-04
(15)S. Marya
Enhancing GTAW Performance Through Flux Coatings-Theoretical Background and Industrial Applications
Doc.XII-1804-04/212-1057-04
(16)Ruckert, B. Huneau and S. Marya
Optimization of Flux Coatings on A-TIG Welding Performance, -Case study of silica on stainless steels
Doc.XII-1809-04/212-1066-04
(17)K. Kamo, M. Toyoda and S. Ito
Application on GTA Welding with Activating Flux to Nuclear Power Plants
Doc.XII-1796-04/212-1058-04
(18)S. Asai, R. Tsuboi, K. Kamimura, T. Yasuda and H. Takebayashi
Application of A-TIG Process to Repair Welding in Power Plants
Doc.XII-1803-04/212-1056-04
 
 レギュラー・ミーティングでは, 二日間にわたる全9件の発表の内で日本人による発表が5件, さらに日本人が関わる研究発表も含めれば実に8件に達し, 国内の大阪開催であるとはいえ, 例年通り日本のSG212への貢献の大きなことが示された。内容については, 終始Study Groupらしく基礎現象の物理的背景を中心に活発な質疑応答がなされた。特に, Mr. Shobakoにより講演されたHCA(Hollow Cathode Arc)のアーク現象とその溶接への応用に強い関心が寄せられた。アーク長が粒子間の平均自由行程よりもわずかに短くなる低圧下での熱陰極放電現象に電子ビームとは違った新しい熱源の可能性が見出され, 低圧下におけるブラズマアーク溶接現象との比較を通じて白熱した議論が交わされた。一方, Dr. Lowkeにより講演されたティグ溶接の数値計算モデルについては, 陰極および陽極近傍のメッシュ(格子)サイズをある範囲の大きさで選定すればアークプラズマ全体を局所熱平衡(LTE)として近似的に十分に取り扱うことが可能になり, プラズマから材料にわたる溶接プロセス全体を数値計算シミュレーションする上で非常にアドバンテージが大きく, また汎用性も高いことが示された。今後のアーク溶接システムの数値計算シミュレーション開発のための一つの指針として賞賛の声が上がった。
 3日目には「A-TIG溶接のメカニズムと産業応用」というテーマでComm. XIIとの合同ワークショップが開催された。テーマ設定どおりに基礎現象から産業応用例まで幅広くA-TIG溶接プロセスに関する講演がなされ, 参加者からは, A-TIGプロセスについて集中的に学ぶことができる絶好の機会であった, という声が多く出されて好評であった。メカニズムについては, 各講演者からいくつかの提案がなされた結果, 表面張力勾配に起因した溶融池のマランゴニ対流方向の逆転現象が中心であるものの, フラックス塗布による絶縁効果に起因したアーク電流経路の緊縮, フラックス蒸発に起因したアークプラズマの緊縮なども同時に複雑に関わったものである, という程度の結論に留まった。ワークショップ終了後, パトン溶接研究所(ウクライナ)のProf. Yushchenkoから次回も引き続きメカニズムについて議論を重ねるようSG212のProf. Dr. Halmoy委員長とComm. XIIのProf. Dr. Lucas委員長に提案がなされたほどであった。これについては, 両委員長が電子メールを通じて検討することになった。
 
4. Study Group 212議事
(1)来年のプラハ大会(チェコ)では, 月曜日と火曜日の二日間で通常(レギュラー)の委員会を開催することにした。
(2)来年のプラハ大会で現委員長のProf. Halmoyが任期満了となるため, 次期委員長の推薦ならびに選挙を実施することにした。
 
 溶接物理学を取り扱うスタディーグループであり, 溶接現象の基礎を取り扱っている。溶接に関するあらゆる分野に共通する基礎研究が進められており, 特に数値計算シミュレーションに関して進展が確認された。造船など溶接比率が高い産業において今後基礎技術の応用などに反映されることが期待される。
 
委員長 百合岡 信孝
 
 「研究戦略」の会議が7月13日(火)の12:30から14:00まで開催された。委員長が昨年Dr. R. Dolby(英)からDr. L. Quintino(ポルトガル)に交代し, 新委員長の初会議で, 出席者は11カ国13名であった。ホスト国として, 筆者が“The overview of research and transfer of technology in welding and joining in Japan”(IIW Doc.SG-RES 144-04)を講演した。溶接・接合技術がわが国の製造業の発展にいかに寄与してきたか, そしてこの溶接技術の進歩に産業界, 学界, と学協会の連携が果たした役割を, 造船・建築・自動車を例に述べた。質問として, JWSとJWESの違いとそれぞれの予算規模と収入源, 学術会議の役割, 大学における国からの研究費の配分の仕方, アジアにおける溶接研究の研究協力体制, 溶接関係の大学への新入生の増減とその資質の現状などがあった。引き続き, 各国が順番にそれぞれの国の溶接研究のトピックスや研究予算の状況を口頭で報告した。
 なお, 本スタディグループの日本の委員は本年度から野城大阪大学接合科学研究所長に交代した。
 
 日本の造船分野を含めた産業界, 学会, 学協会の連携状況について紹介された。企業, 大学における溶接分野の比率が減少しつつあり, どの様に教育・育成を図るかは大きな課題となって来ている。現在溶接協会では, 溶接情報センター構想も検討が開始されているが, 溶接データベース, 溶接教育など今後検討すべき課題が多い。その中で欧米諸国を中心にどの様に研究を進めているかは, 日本にとっても有益な情報となり, 今後さらに意見交換を進めることが造船を含めた溶接関連業界には重要である。







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