日本財団 図書館


水上オートバイとの相互理解をめざして
呉―竹原地区小型船安全協会事務局 西岡 勝徳
はじめに
 呉―竹原地区小型船安全協会は、水上オートバイ愛好者とプレジャーボートユーザーが相互に理解を深め、双方が小安協会員として共に安全で秩序ある海洋レクレーションを楽しむことを目指し、この夏、二つの行事を実施しましたのでご紹介させていただきます。
 
水上オートバイの体験乗船・人命救助訓練を行いました
 7月11日(日)に広島県豊田郡大崎上島にあります大串海岸にて、水上オートバイによる4時間耐久レース(ISLAND'CUP2004)があり、当協会も初めて、このイベントの一部に参加しました。
 同イベントに参加することとなった経緯及び感想を紹介させて頂きます。
実技指導って何?
 昨年秋頃、(社)瀬戸内海小型船安全協会事務局から「来年は呉さんで実技指導をやって貰いたい」との連絡を受けました。
 私は事務を担当してから1年足らずでしたので、事務局から依頼の意味がよく分からないまま引き受けてしまったのです。
 そうした訳ですから、年度が変わってからが大変で“実技指導って何、昨年実施した訪船指導ではないよね、海上パトロールとも違う”ここ数年間の当協会の資料を見ても中々イメージがつかめません。
 そこで、まずは身近な上司に相談して色々アドバイスを頂き、少しずつイメージが沸いてきたのですが、果たして何を実施してよいのか中々定まらないまま時間だけが過ぎて行きました。
 そのような中、当協会の指導員で役員をして頂いている山村さんと当協会の総会等の打ち合わせでお話をする機会があり、実技指導の実施についてお話をさせて頂いたところ、「毎年、大崎上島で実施している水上オートバイの4時間耐久レースのイベントの中で、水上オートバイによる人命救助訓練及び水上オートバイの実技指導をやってみたらどうか?」とご提案を頂いたのです。
 これなら「出来そうだ!」と思い早速会長に相談し、了解を頂き実施する運びとなったのです。
何故水上オートバイの実技指導なの?
 山村さんは、広島県竹原市でマリーナ等の経営をされ、自らも水上オートバイを愛好されている方で、今回ご提案を頂いたレースにも参加されています。また、水上オートバイの健全な楽しみ方について色々とご尽力をなされている方であります。
 そうしたことから、山村さんから水上オートバイを愛好される方を当協会にご紹介を頂いているところです。
 この度、山村さんからご提案を頂き、この企画を実施することとしたのは、当協会の指導員の方に、水上オートバイとその特性を活かした人命救助法を見て貰い、実際に乗船して頂くことにより、水上オートバイについての理解を深めて頂き、また、水上オートバイ愛好者にも当協会を知って貰いたいという趣旨があったからです。
レースはどうだったの?
 同事業の準備につきましては、大きな障害もなく淡々と進んで行きました。
 特に変わった事は、同レース開会式に当協会会長の挨拶もさせて頂いたことです。このレースは日本全国から参加艇を募集し、50艇の枠内で実施されているもので、各艇のスタッフ等を加えると約200名近くの人が開会式に参加された中で、会長から当協会の紹介及び水上オートバイの有益面等について挨拶をして頂きました。
 この会長挨拶につきましては、大勢の水上オートバイ愛好者の方々に当協会を知って頂くのに大変有効であったものと思います。
 さて、当日は晴天であり、良いコンディションの中、約50艇の水上オートバイがスタートの合図を聞き逃さないようにと一瞬の静寂の後、午前10時の合図とともに一斉にスタート、コースを疾走する光景はとても迫力のあるものでした。
 一方、レースの方も、全国から腕に自信のある方々が集まって開催されるものであり、大変見応えのあるものでした。
 
大会横断幕
 
開会式
 
庭田会長挨拶
 
レースの様子
 
水上オートバイに乗船しました!
 レースの後、海上安全指導員を対象とした水上オートバイの実技指導が行われ、私も乗船させて頂きました。
 4時間耐久レースを見ていたせいか、「自分も同じように操縦できるのではないか?」と錯覚したまま乗船しましたが、講師の指導によりどうにか操縦できるまでになりました。
 水上オートバイを操縦して、これまで経験のある小型艇の操縦とは異なり、船体が小さいことから、非常に小回りがきくことと、加速が早いことで、「正に、これを操縦することはスポーツだ!」と感じ、操縦した時間は短時間でしたが、これは楽しいものだと思いました。
 若い方々が、夏場海水浴場付近で乗り回したい気持ちも多少は分かるような気がしました。
 水上オートバイには今回乗るのが初めてなので、その楽しみ方について語るのもおこがましいのですが、「どうせ楽しむのであれば、水上オートバイの操船技術を磨き、この度のようなレースに参加し、凌ぎを削るのも有意義な楽しみ方ではないかな?」と感じました。
 
水上オートバイ実技指導
 
 
人命救助訓練を見学して
 実技指導の後、水上オートバイによる溺者救助訓練が行われました。
 私が感じたのは、沿岸部での水難事故については、水上オートバイの特殊性から大変有効なものであると思いました。
 その技術を会得するには、やはり、ある程度の体力及び必要最低限の訓練が必要であるものとあわせて感じました。
 今回、指導員の方々に同訓練を見学して頂き、こういった救助法があるということを認識して頂き、何かを感じて頂ければ大変有意義であると企画しましたが、参加して頂いた指導員の方々はこの特殊な救助法を真剣な眼差しで見て頂いたことから、今後何らかの参考にして頂けるものと思っております。
 
水上オートバイによる人命救助訓練
 
 







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION