せとかぜ 発行 平成16年9月10日 第51号
就任挨拶
第六管区海上保安本部長 小川 哲郎
本年7月1日付で第六管区海上保安本部長に就任致しました小川でございます。
私は、平成13年に広島海上保安部に勤務しておりましたので、その当時、社団法人瀬戸内海小型船安全協会の会員の皆様にお目にかかる機会がありましたが、改めまして、この広報誌「せとかぜ」を通じ就任の御挨拶を申し上げます。
会員の皆様には、日頃から瀬戸内海・宇和海の各地域において、プレジャーボート等小型船舶の安全確保と秩序あるマリンレジャーの普及・発展のため、多大のご尽力をされているのみならず、海上保安業務のよき理解者、協力者として活躍されて頂いていることに敬意を表しますとともに、深く感謝いたしております。
我が国では、古くから海水浴、釣り、潮干狩り等で海に親しんでいましたが、近年、若年層を中心としたライフスタイルに対する意識や価値観の変化とともに、余暇活動に対する多様なニーズが増大して、マリンレジャーの形態もヨット、水上オートバイ、プレジャーボート、スキューバダイビング等多種多様なものとなり、需要も急速に高まってまいりました。
私ども、第六管区海上保安本部が管轄しております瀬戸内海及び宇和海は、温暖な気候、静穏な海域、更に国立公園に指定された島々が織りなす美しい景観を有しており、マリンレジャーの活動の場として大変恵まれた環境にあります。
一方、これらの海域は、優れた漁業資源を有する豊かな漁場でもあり、古くから様々な漁業が行われ、また、各種交通手段の発達した今日においても、我が国の海上輸送の大動脈として多くの船舶が航行しております。
このように、瀬戸内海及び宇和海は、プレジャーボート等を含むさまざまな船舶が複雑な形態で海域を利用していることから、海難発生の危険性が高い海域でもあります。
昨年、当管内では509隻の船舶海難が発生しました。このうちプレジャーボート等の海難は233隻と全海難の約46%を占めています。これに伴う死亡・行方不明者数は7人であり、そのうち4人はライフジャケット非着用でした。また、プレジャーボート等に限った今年上半期の海難の発生状況を見てみますと、92隻(速報値)となっており、1人の死亡・行方不明者が出ています。
これらの海難は、見張り不十分、操船不適切等のいわゆる人為的要因によるものが大部分を占めておりますが、操船者のひとりひとりが十分に注意することにより、未然に防止できるものです。また、平成15年6月より12歳未満の子供へのライフジャケットの着用が法律で義務づけられておりますが、生存率の高さから、その有効性は言うまでもなく、会員の皆様におかれましては、安全に楽しくレジャーを楽しむためにも、乗船者全員にライフジャケットの常時着用をお願いしたいと思います。
なお、当本部としては、会員の皆様には安全に対する十分な配慮をしていただいていると考え、一般の皆様を重点対象として、「海難ゼロ」を目指した安全指導等の海難防止活動に更に力を入れて参りたいと考えています。
当管内には、約7万7千隻にも及ぶプレジャーボートが在籍しており、これらの利用者すべてに、私どもの力だけで安全指導を行うことはとても難しいことですが、4800人を超える会員を擁する貴協会には、274人の海上安全指導員と218隻の安全パトロール艇を中心として、ボランティアでの安全パトロール等により会員以外の方への安全指導等を行っていただいているところであります。
このような、無償で個人の自由な意思により、考え、発想し、行動するという崇高なボランティア精神にのっとった貴協会の積極的な活動に対し、当本部も全面的にバックアップしていく所存でありまして、引き続き、海難防止活動への一層のご尽力をお願い申し上げる次第です。
最後に、皆様方のご繁栄とマリンレジャー活動が安全で楽しいものでありますことを祈念して就任の挨拶と致します。
海上安全指導員の制服を新調しました!
香川県地区小型船安全協会 副会長 田村 昭
昭和49年8月海上安全指導員制度が制定され、海洋レジャー愛好者に対する海難防止思想の普及と運航マナーの向上、小型船の安全確保に海上保安部署の指導と協力を頂きながら、海上安全指導員(以下、指導員という。)を中心に安全活動を展開し、相当の効果を挙げてきたものと自負しているところであります。この事は各地区小安協会員・海上安全指導員の皆様にも言える事であります。
当地区指導員の間で「帽子だけでも、もう少し格好の良いもので親しみを持ってもらえるものに変えたらどうだろうか」と言う声が3年程前から出ていました。それまでの帽子は旧海軍の艦内帽に似たものでした。最初の統一制服は昭和57年7月20日「海の記念日」に着用できるよう調製したもので、帽子は前述の如く舟型、上衣は青灰色の開襟半袖シャツ、左胸に瀬戸内海小型船安全協会香川支部の刺繍マーク、右上腕部に海上安全指導員の刺繍ネームを入れ、ズボンは青灰色で当時としてはスマートな感覚のものでした。
上衣はその後長袖のものにしたが、帽子は当初のスタイルのままでした。
当時は香川支部の指導員26名、パトロール艇15隻(現在は指導員73名、パトロール艇62艇)で安全活動をしていました。指導員の制服を調製したこの年は船舶職員法の改正案が5月1日に公布、58年4月1日施行され、旧海技免状を新免状に引き換えねばならなくなると共に、5年毎に海技免状の更新、5マイルステッカー表示の廃止等が公布された年でした。
「海の日」になれば思い出すのが、昭和61年7月20日「海の記念日」(平成8年より「海の日」となる。)の海上パレードである。高松海上保安部所属の巡視艇「ひなぎく」を先導船とする25隻のパトロール艇が続く大行進、その隊列の長さは高松港沖2.7kmにある女木島南端から生島沖附近まで約1,000mにもなる異例の大パレードになったことです。
話はすっかり他に逸れてしまいましたが、本年2月12日の海上安全指導員・分会長会議の席で、帽子だけでなく、制服の新調の動議が出され、3月24日の理事会で承認され、その後デザイン・色調・帽章・ワッペン等の検討をはじめました。
制服の新調にあたっては指導員の気分が一新され、会員及び一般ボートユーザーに規律正しい印象を与え、好感を持ってもらえるようなデザインを採用しました。帽章と上衣右上腕部のワッペンには海上保安庁のS字マーク(使命⇒Safety〔安全〕・Search〔捜索〕and rescue・Survey〔調査・測量〕、モットー⇒Speed〔速く〕・Smart〔活発な・洒落た〕・Service〔奉仕〕)を取り入れました。これはこの4月に第七管区海上保安本部交通部に転勤されました加藤栄一航行安全課長が地区小安協で使用しても差支えないと本庁の承認をもらって下さり、帽章、ワッペンのデザインも置き土産に考案下さったもので、中央に海上安全指導員と赤字刺繍を入れ、下方に黒字で香川県地区(他の地区名を入れ替えることができる)と入れたワッペンをマジックテープで取り外しが出来る様にし、右肩に金色のモールを着装するようにしました。ズボンは紺色、上衣は灰青色で肩章付き形状安定加工されたものです。
以上の経緯によって、指導員の制服を22年振りに新しいデザインにより新調しました。
新しい制服を着用された
香川県地区海上安全指導員の皆様
新調された制服一式
帽子
振り返ってみれば、最初に制服を調製した頃の私達は皆覇気に満ち、生き生きとしていました。社会が必要とする事の一端を担う事ができ、お役に立たせてもらっているのだと言う満足感と誇りを持っておりました。その頃はどこの地区小安協も会員数はどんどん増加していき、小安協の組織自体が活力に満ち溢れておりました。それに引き替え現在はどうであろうか。目新しいもの、魅力ある行事が減ってきて、マンネリ化した感が否めなくなっているようであります。組織に魅力が無くなれば会員は離れていき、減少することは当然のことだと思います。
この様な状態の中で、指導員の中から制服を新調してはどうかという声が出ると言う事は、地区小安協の存在価値、指導員の活動意義を認め、一般ユーザーの方々に対して小安協への理解を求め続けるという意思の顕われではないかと思い、大きい希望を持っています。
このことは、未だ未だみんなに発足時の熱意が胸に秘められて残っているからであり、そう思って“地区小安協の再建”に向かって行動しなければならない時だと思っています。「鉄は熱いうちに打て」の諺がありますように、今こそ私達は真剣に現状打開の方策を考え、取り組んでいかなければならない時ではないでしょうか。
過日、6月10日広島での(社)瀬戸内海小型船安全協会の総会で、
「会員の減少は深刻な問題である、原点に立ち返って、一人一人が協会加入を呼びかけていかねばならない!」
「海上保安庁の呼びかけ、肝入りで誕生した協会であり、いわば子である。その子が転げそうになっている今、ここで海上保安部が手を差し伸べて欲しい、海上保安部の強力な助言と支援が欲しい。」
との発言がありました。全く同感する所があります。最近はいくら私達が声を大きくして「海でのレジャーを事故無く、安全で楽しく過ごす為の船長の責任は大きく、それが義務です。入会されたら自分の経験のみでなく、他人の経験・情報を得る機会が多くなり、それをお互いに交換することができ、未経験であっても自分のものにすることができるのです。小安協会員であることによって、事故を起さず安全な航行をする為の勉強が出来、情報が得られます、これが大きいメリットです。」と話し、又、会員になれば身近で目に見えるメリットとしては、
・自己膨張式救命胴衣の斡旋・・・定価18,000円→会員価格12,500円
・レジャーボートの保険加入斡旋・・・会員加入は通常保険料の15〜20%割引(無事故、団体割引によるP・B責任保険)
等が会員特典としてありますと云っても、一般ボートユーザーの安全に対する認識度は低く、入会には中々繋がらず苦労しているのが実情です。
民間の任意団体である地区小安協は、何の権限もなく、資金力もありません。私達が健全に効果的に活動していくには、各海上保安部署の全面的な助言と支援、バックアップが必要不可欠であり、これは私達の切実な願いであります(しかし、私達の属している保安部署からは、常に適切な助言と協力・支援を戴いていますので感謝しております)。
それと同時に私達も独り立ちできる様、真剣に現状打開の方策を考え、取り組んでいかねばならないと思います。
その一つとして、現在は主として会費で協会の事業運営をしているが、活動資金源を独自に持って社会貢献活動をするNPO(民間非営利団体)にして、活動内容に今少し多彩性を持った組織にし、魅力のある活動を展開していけば良いのではないかと思います。勿論これは行政とよく相談・打合せをしていかねばならないことであると共に、完全にあらゆる面で独立できる能力を持った組織にしなければならないものである事から、内部的にも慎重に協議・検討していかなければならないものであるが、どうであろうか。
最後に“私の夢”の一端をお話して終わりたいと思います。それは地区小安協が県内各港・船溜りのレジャーボート・小型船の係留使用管理に関する委託業務を行政機関から受ける等により活動資金を確保し、将来は協会所有のパトロール艇(レスキュー艇)を所有し、通常はパトロールを実施、緊急要請があれば夜間でも出動できる協会要員を配置した、レスキュー部を擁した協会の誕生を夢見ています。
香川県地区小型船安全協会採用の海上安全指導員制服を
ご希望される地区がありましたら斡旋致します。
(種類) |
(内容) |
(価格) |
・上衣 |
右上腕部指導員ワッペン、ネーム(S・P・L)入り
ネクタイ付 |
6,570円 |
・ズボン |
ベルト付 |
3,211円 |
・帽子 |
ワッペンと同じ帽章付、縁は金色オリーブ刺繍 |
2,100円 |
・モール |
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500円 |
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計 12,381円
消費税 619円 |
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合計 13,000円
(他に送料別途、約500円) |
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お問い合わせ・注文先 香川県地区小型船安全協会事務局
〒760-0064 香川県高松市朝日新町1-30 高松海上保安部気付
電話(087)821-4754 FAX(087)826-1058
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