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■かごしまの心を求めて
 鹿児島県青年会館は、自主事業を進めるにあたって最初に一つの柱を立てた。「かごしまの心」という柱である。「郷土学び、郷土学び、郷土に貢献する土着の郷土愛の中に『かごしまの心』がある。」(艸舎ニュース第四号より)とあるが、すべての作業がこの柱に沿っているかということを確認しながら進められている。その心を継承しながら時代の変化に対応した新しい表現方法を模索しているのである。
 また、読書活動など事業のテーマを決めるにあたっては、常に三つのポイントが意識される。
 (1)本物であること。借り物ではなくオリジナリティのあるものかどうかということ。(2)普遍性のあるもの。これは、子どもからお年寄りにまで、わかりやすいもので、鹿児島以外に住む人にも理解ができるもの。(3)生活の中にあるもの。日常の暮らしの中に息づいたものの中に価値を見出す。
 このような視点を持って、事業が組み立てられていく。柱があること、基準とする自分達の物差しを持つことで、大胆に新しいことにチャレンジができるのが艸舎の事業だ。今後は、これからの地域コミュニティづくりに関わる人材育成の場「艸舎塾」の開催、さらには、これまでの草の根的な国際交流の実績を元に、世界の青年と鹿児島の青年の交流事業(日韓大学生交流、JICA青年招へい事業等)にもウイングを広げていく。
 
艸舎の使命
 青年団の父と言われた田澤義鋪が昭和五年、日本青年館においてまとめた「青年団の使命」の中に、「われらの最も深く味わい得る人生は、郷土の背景に立っているわれの実生活である。」という一文がある。そこには、それぞれの人生を充実したものとし、地域人として生きる精神の基本が書かれている。艸舎の取り組みは、日頃の小さな積み重ねではあるが、これらの活動を通して、また艸舎というこの場を通して地域の人たちが、ここに集う青年達が「郷土の背景に立っているわれの実生活」を少しでも意識し、地域での自分の暮らしや生き方を考えるきっかけになることを願ってのことである。(文責 鹿児島県青年会館 艸舎事務局 池水聖子)
 
自分の人格を通して読む絵本
 
鹿児島県青年会館 艸舎 地域再発見のための読書活動の取り組み
  タイトル 〜テーマ〜 内谷 関連講座・展示
13年 さつまの十五夜・芋名月
〜ふるさとで楽しむお月夜の物語〜
・十五夜のおはなし会と朗読劇
・宮之城バンブーオーケストラ
・フォーラム「地域ぐるみの青少年育成のための読書活動」
・郷土と文化 黒木正彦
・読書活動の手法と実践 園田裕子
・椋鳩十が見つめた暮らしの周辺世界
○くらしの中の竹展
14年 さつまの七夕・ネブイハナシ
〜ふるさと再発見と地域に生きる人材の育成〜
・青年輪読会「島津日新公いろは歌」
・七夕のおはなし会と朗読劇
・天吹同好会
・郷中教育と「いろは歌」の教え 黒木正彦
・声に出して読む楽しさ 園田裕子
○さつまの七夕かざり展
15年 さつまの田の神さあ・実りのふるさと
〜田の神から見る鹿児島の農村文化〜
・田の神のおはなし会と朗読劇
・宮之城バンブーオーケストラ
・フォーラム「地域・本・子ども」
・「ウルトラパパの絵本と地域」宮西達也
・鹿児島の村・人と暮らし 黒木正彦
・田ノ神の里から見るふるさと 樋渡直竹
○「田ノ神の里」PART II 樋渡直竹
○「きつね」絵本原画展 村上征生
16年 さつまのガラッパどん
なにかがいる気配・・・
〜ふるさとの水と人とのかかわり〜
・ガラッパどんのおはなし会と朗読劇
・薩摩琵琶「薩摩義士伝」伊藤政夫
・母なる川 沢環
・水辺の植物・人との関わり 寺田仁志
・民話の世界 伝えたい心 有馬英子
○「南九州水と暮らし」写真展 樋渡直竹
17年 さつまのアッカンさあ ※予定
〜さつまの青年「自ら火の柱せよ」〜
・氏神さまのおはなし会と朗読劇
・千軒太鼓
・鹿児島県の読書運動の取り組み
○「椋鳩十と梶山俊夫」絵本原画展
 
寄稿
=郷土に根ざす青年会館=
 鹿児島県青年会館艸舎は、精神的根幹に「かごしまの心」を据え、郷土に根ざす活動を展開している。創意を引き出すブレーンストーミングで適時性のイベントを組み立て実践してきた◆風土のなかで培われ伝えられた、相寄る心の場の祭り。家内安全、無病息災、五穀豊穣、報恩感謝が内在している歳時の行事を温故知新の視点でとらえイベントを実施してきた◆イベントの三要素は「楽しいこと」「ためになること」「美しいこと」といわれる。青年たちは、企画―立案―協議―交渉―役割分担―広報―実践―評価―反省をイベントの中で体得している◆ここにデラシネ(根無し草)とはいえない郷土に根を張り郷土を愛する現代の青年像がある。
(財)鹿児島県青年会館理事 農村コラムニスト・黒木正彦
 
 日本青年館を含め、公益法人(財団法人、社団法人)は全国に2万6千団体ある。財団法人KSDの汚職事件を機に公益法人改革の検討が始まり、「公益法人制度改革に関する有識者会議」が最終報告をまとめ、それを受けて昨年12月24日、政府は今後の方針を閣議決定した。
 大きな変更点は二つ。一つは、これまで主務官庁の許可で法人を設立していた制度を廃止し、登記のみで簡単に設立できる非営利法人制度をつくることになる。これによって従来の公益法人と中間法人(同窓会や同業者団体で現在1200法人)は、いったんこの制度のもとで非営利法人として統合される。
 二つめとして、その後、この非営利法人の中から「公益性がある」と判定された法人のみが「新公益法人」として認定され、税などの優遇措置を受けることになる。認定されなければ公益性のない一般非営利法人として、法人税が原則課税になる見込みだ。
 公益性があるかどうかの判定は、目的、事業、規律面から客観的に判断して、内閣に設置する「民間有識者からなる委員会」が行うことになる。
 すでに公益活動を実施している法人を公益性のない法人と一括してしまうことに不合理を感じると同時に、その一方で新たに公益性の判定をする機関の中立性と専門性をどう確保するかという課題が残る。また、NPO法人、学校法人、宗教法人は、今回の制度変更の対象からは外されており、これらの団体との整合性も問われるところだ。法案は2006年の国会に提出される予定である。
 法人の不祥事防止と民間活動の促進というねらい通りにこの改革が進むのか、今後に注視しなければならない。
 
日本の自殺者(2003年)34,427人
 
自殺率の国際比較
(人口10万人当たりの自殺者数)
(資料)WHO
(2004.9段階で最も新しい各国のデータ)
 
 国別に見ると、旧ソ連諸国を中心にユーラシア大陸で自殺率が高い。リトアニア、ロシアの自殺率上位2国は特に40-50歳台男性の自殺率が高い。旧ソ連時代から自殺率は世界の上位にあったが、体制移行後は自殺者数が大幅に増加しており、体制移行国のストレスが原因とされている。日本は旧ソ連諸国、ハンガリーに次いでいる。日本の自殺率の高さについては、WHO精神保健部ホセ・ベルトロテ博士は「日本では、自殺が文化の一部になっているように見える。直接の原因は過労や失業、倒産、いじめなどだが、自殺によって自身の名誉を守る、責任を取る、といった倫理規範として自殺がとらえられている。」と見ているのだが・・・。
 
 日本の自殺者数は、'90年には年間約21,000人だったが、'98年に約8,000人増加し、その後毎年3万人を上回り、'03年には34,427人となった。性・年齢別自殺死亡率をみると、男性では、50歳台がピークとなっている。一方、女性は高年齢になるにしたがって高い。自殺の原因としては中高年男性は失業を契機とした精神的ストレス、男性60歳以上は健康問題、女性は全年齢で健康問題が高い割合を占める。
 
日本の自殺者数の推移
警視庁 平成14年自殺の概要資料より
 
都道府県別自殺率の比較
(自殺の多い県、少ない県(各5県))
厚生労働省 人口動態統計特殊報告(平成15年度)より
 
 都道府県別にみた自殺率をみると、最高は男性女性とも秋田、最低は男性が神奈川、女性が佐賀となっている。
 青年層の自殺者数は日本全体の自殺者数が大幅に増加した'98年に、同様に増加した。それ以来、20歳台は年間3,000〜3,500人。30歳台は'98年以降は3,600〜3,900人程度で推移したが、'03年には4,603人と前年を700人も上回った。







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