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オレたちのページ
ほんでもひっでもん考えてみたざっ
(それでも一生懸命考えてみた)
福井市
うらが若い衆青年団
8団体を取材した
 かつて福井市でも各地域に青年団が存在し活発な活動を行っていた。しかし10年ほど前に消滅。社会教育の場から若者たちの姿が消えて久しかった。そんな中、福井市に酒井新市長が誕生し、新しい政策を次々と打ち出す。そして「若者を巻き込んだ活動がこれからの福井のために必要である」という感を強くするに至り、青年団OBの後押しもあって、福井市あげての地域青年集団づくりが始まった。手始めとして福井市の8つの地区がモデルとなり公民館主事などの声かけをもとに活動に取り組んだ。その流れを見つつ、翌年には市内42地区(1館除く)すべての地区において公民館を中心に「青年グループ活性化事業」を開始。現在13〜15地区において青年団体が誕生し活動を行っている。(より詳細な背景や経緯については本誌「復刊準備号」の中川晴夫氏(日本福祉大学教授)による記事が詳しいので参照されたい)
 
愛してるから自虐的
 福井の人はなんか自虐的。「フクイです・・・先日、自己紹介で『福井から来ました』と言ったら『東北の人ですか』といわれたとです・・・フクイです・・・」みんな自分たちの街をほんとは愛しているクセに何かと卑下して表現しがちです。「福井は田舎やでのぉ(福井は田舎ですので)」「福井来たってなーんもないざ(福井に来ても何もありません)」「どもならんのやー(どうにもならないのです)」。本当にそうなのでしょうか。
 確かに福井は田舎です。しかし!「住みよさランキング」でも毎年上位に入る常連であり、数年連続で1位を取ったことがある誇るべきまちなのです。県外から訪れた人も、福井の人が言うほど福井は悪くないと思ってくれているのではないでしょうか。どうしてこんなにも福井の人はPRしないのでしょうか。ちょっと考えてみました。
 すると・・・福井の人は本当は福井のことを愛しているのだと思うのです。けれども、あまりに好き過ぎて、好きで好きでたまらなくて、愛が憎しみに変わっているのではないでしょうか。まるでお昼にやっていた某ドラマのようです。「福井なんてただのブタよ!!」そんな声が聞こえてきそうです。けれども、そういう背景には「そんなことないよ、福井はいいまちじゃないか」といってほしい並々ならぬ思いが存在していることを私は知っているのです。
 
もったいないぞ、福井
 あるいはあんまり福井が好き過ぎて独占欲むき出しになっているのではないでしょうか。
 こんなわけで、福井の人の自虐的でひかえめな性質がPR不足の一因になっているものと思われます。これじゃあもったいないぞ、福井!!(隣の町には某人気アイドルグループ、モー○ング娘。の高○愛ちゃんがいるではないか・・・隣だけど・・・)(文責:夢工房松本・ゆぅたん☆)
 
発足から3年
 それでは、福井市の青年団について概観していこうと思います。
 ここで取り上げるのは、我が松本地区と酒生地区、円山地区、中藤地区、春山地区、明新地区、そして7つの地区が集まった川西ブロックの青年団です。ちなみに他にも多くの地区に青年団などがあります(おそらく、福井市全43地区のうちの3分の1に青年団的な団体があると思われる)。その他に、私たちと同じ世代の青年を対象に勤労青少年ホームという施設ではいろいろな講座が開かれており、その受講生の一部の人たちが講座の枠を超えて受講生同士で交流しようと企画しているホワイトキャンバスという団体を取り上げます。
 一斉に発足して3年経過した現在、各青年グループに取材しいろいろな面を比較してみると共通する面、相違する面を改めて発見しました。次にまとめてみたのでご覧ください。
 
夢工房松本内の交流キャンプ
 
夢工房松本内(花火をするメンバー)
 
 
平均年齢28、男女比8対2
 まず男女比と平均年齢です。男女比は8:2、平均年齢はどのグループも28歳前後です。ここで特筆すべきことは、ほとんどの団体で男性の数が女性の数より多いという現象がおきていることです。例外としては、春山地区と酒生地区です。特に春山地区はメンバーすべてが女性とのことで、なんとも羨ましい限り。男女比率に偏りがないということは今後の青年団発展のための重要な鍵を握っていると思います。
 各団体のメンバーは、一年を通して見てみると10〜20人となっていて、例外としてイベントの度に参加者を募る川西ブロックは約50人というものがありました。メンバーの確保についてはどの団体でも大きな問題となっているようです。方法としては、メンバーの知り合いを連れてくるというのが一般的です。またイベント、特に成人式を迎える若者を祝うイベントを主催またはそれを手伝うことが多く(松本もパーティー内容の企画など行っています)ここでの勧誘が多いようです。
 また、ちょっと変わった勧誘方法(?)を聞くことが出来ました。新興住宅街で人の出入りが激しい円山地区では、転勤してきた人たちがその町のことをわからず公民館に訪ねてくるときや、公民館にスポーツなどの施設使用申請に来た青年と仲良くなり、イベントのお手伝いをしてもらうことが結構あるとのことです。
 
活動拠点は公民館
 福井市役所が中心になって立ち上げた経緯もあり、それぞれの地区の公民館が活動拠点になっています。公民館は青年団に対してとても協力的で、中には青年団の会計を公民館がやっているところもあります。
 活動内容については、多くが地区内の他団体(体育振興会や社会教育会など)が主催するイベント(体育祭や公民館祭り、敬老会や成人式など)に協力するという形での活動が多いようです。体育祭や公民館祭りでは模擬店を出し、敬老会や成人式では懇親会の担当をするというような具合です。これらを数にするとお手伝いの方が多い団体がほとんどです。青年団の根本的な存在意義として地域密着性が求められ、年間にできるイベントの数も限られる以上、地域内の他団体の主催するイベントに協力することが求められます。また、そういったことから発足当時は何か不満のように感じる人も少なからずいたようです。けれどそのお手伝いを続けていくことで地域の人たちからの信用を得て認知度が上がっているグループもあり、いろいろな面で応援してくれたり青年が活発に活動していることを喜んでくれる人たちの反応が見られることで、メンバーの意識もいい方向に変わっているようでした。
 また例外としては、春山地区やホワイトキャンバス、川西ブロックで、ほとんどが独自のイベントということでした。もちろん地域の清掃やバザーなどの活動もしているところもありますが、団体の目的が身内の交流、趣味やスポーツなどをして楽しむというサークル的な要素が比較的強い、またはまだ自分たちの地区だけでやっていくには力が足りない、ということに起因すると思われます。
 
交流祭(松本地区の区民を対象とした主催事業。
公民館を使った祭り)
 
資金 補助金や参加費
 市役所が中心となって立ち上げた経緯もあって、青年団には市役所から補助金が出ます。その他には模擬店などの収入が活動資金になっています。また団体の性質上ホワイトキャンバスでは、補助金の他にメンバーからの会費をとっています。また川西ブロックではイベントごとに参加費を集めています。
 
目的 出会い・交流・地域
 それぞれの団体は独自の目標を立てて活動しています。
 松本地区と円山地区は「地域の若者との交流や出会い」。酒生地区や中藤地区、明新地区は「より地域に密着した社会的な活動」、川西ブロックではブロック内の交流を主に、また春山地区やホワイトキャンバスも、趣味・スポーツを通して団体内で楽しく仲良くやっていくことに最も重点を置いているようです。
 また役員の考え方でも「出来るだけ仲間と一緒に考えていきたい」、「リーダーシップをとってメンバーを引っ張っていきたい」というものや、公民館からの青年グループへの接し方も、「いろいろ助言や手伝いを受ける」「口は出さず放任主義」という違いがありました。これらリーダーやメンバーの活動に対する意識は変化しているようで、これは役員の性格や経験、自信もあると思います。そして、これらがもっともグループの個性をより引き出している違いだと感じました。
 最後に他地区青年グループ同士の交流については、2年前に松本地区と円山地区が主催で福井市の全青年グループ対象のスポーツ大会を行いました。優勝チームが次年度の大会を主催するという賞品(?)付きで、これについては2年目には参加するグループが増えていて、交流の機会がもっとほしいという声もありました。
 
 
取材を通して思ったこと
 今回、取材を通して他の団体のことを少し知ることができました。まだ発足して間がなく手探り状態の青年団が多い状況で、メンバーの勧誘についての悩みや女性メンバーが少ないなどといった悩みを共有している団体が多いことや、活動の主な目的に違いがあることを知ることができとても有意義でした。それにも増して、他の青年団と交流ができたということが何よりも嬉しいです。今後、各団体が協力しあっていくきっかけのようなものができたと思います。
 最後にこの記事のための取材に協力してくださった酒生地区、円山地区、中藤地区、春山地区、明新地区、川西ブロックの青年団の皆さん、ホワイトキャンバスの皆さん、貴重な意見をどうもありがとうございました。(文責:夢工房松本・プリンス&信谷)
 
今年9月、僕らに会えるよ
 財団法人日本青年館が主催する第8期「ユースカレッジ」の開催地は、何と福井市。9月18日から始まります。ぜひ参加して僕らに会いにきてください。(お問い合わせは日本青年館事業部まで)
 
福井市の公民館ブロックと各ブロックの公民館数及び名称
(1)あたごブロック(4館)木田・豊・足羽・湊(2)不死鳥ブロック(7館)春山・宝永・順化・松本・日之出・旭・日新(3)みなみブロック(6館)清明・東安居・社南・社北・社西・麻生津(4)あずまブロック(5館)和田・円山・啓蒙・岡保・東藤島・(5)九頭竜ブロック(5館)西藤島・中藤島・河合・森田・明新(6)光ブロック(3館)安居・一光・殿下(7)川西ブロック(7館)大安寺・国見・鶉・棗・鷹巣・本郷・宮ノ下(8)足羽ブロック(6館)酒生・一乗・上文殊・六条・東郷 以上、計43館







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