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琵琶湖岸を走る鉄道ローカル線の活性化に関する調査 報告書

 事業名 海岸線のローカル線を活用した地域交通の促進に関する調査
 団体名 関西交通経済研究センター  


5. 課題整理
 鉄道利用者、観光客及び事業所等へのアンケート・ヒアリング調査等の結果から、調査対象3線の課題を、(1)鉄道サービス自体の課題、(2)アクセス面の課題、(3)MM(モビリティマネジメント)の側面から見た課題、(4)観光の課題、として整理すると、以下の通りである。
 
(1)鉄道サービス自体の課題
○運行間隔等のダイヤ
 アンケート調査では、鉄道を利用するときの不満として「運行本数が少ない」が最も多くあげられている。これは、鉄道通勤者など日常的に鉄道をよく利用している人から特に多くなっている。例えば、近江鉄道の場合、日中の運行間隔は、近江八幡〜八日市で約30分間隔、八日市〜水口で約1時間間隔となっており、「待たずに乗れる」という間隔とは言い難い状況である。
 また、他路線との乗り継ぎに際しての接続が必ずしもスムーズでないことや、沿線施設の催事開催時において、終発時間との調整等が必要であるとの意見も多く、これらの改善が必要である。
 
○運賃
 近江鉄道の運賃が高いとの意見が多くあげられている。例えばこれを初乗り運賃で見た場合、140円は近畿のローカル鉄道では低い方であるが、主要区間である近江八幡〜八日市(9.3km)は400円となっており、同距離の他の鉄道運賃と比べると、割高感は否定できない。
 また、利用促進に向けた各種割引切符等については、施設ヒアリングでは一定の認知度は確認されたものの、さらなる宣伝が必要との意見も多く、これらの充実や訴求を通して、運賃の割高なイメージを払拭する必要がある。
 
○駅までの交通手段
 マイカー通勤を行っている人の鉄道を利用しない理由として、「自宅から駅までの交通手段がない」、「駅から目的地までの交通手段がない」といったことが多数を占めている。施設ヒアリングにおいても、自宅周辺から駅までのバス等の公共交通手段がないため、結果的にマイカー利用が多くなるとの意見が多くあげられており、新たなバス路線の設定や、運行本数の増便、運行時間の変更など、駅までの交通手段の確保と充実が必要である。
 
○駅の駐車場・駅前広場
 対象路線には簡易な無人駅が多く、また、駅前広場がないなど所在が分かりにくい駅も多い。このため、路線バスや車などでのアクセスが難しくなっている。
 また、駅に隣接して無料で利用できる大規模な駐車場も少ない。
 駅の駐車場整備が不十分であるとの意見は、特にマイカーで通勤している人から多くなっており、鉄道利用に転換させるに当たっての阻害要因の一つとなっていることが窺われる。パークアンドライドによる鉄道利用促進を図るためにも、駅の駐車場確保が必要である。
 
○利用者の意識
 調査対象路線の周辺地域においては、マイカーの普及により一軒で複数台を所有している家庭も多く、マイカーでの移動が半ば習慣化しており、鉄道利用への転換が難しいといった意見が多くあげられている。
 一方、アンケート調査において、日常の鉄道利用頻度の高い人から、鉄道の長所は「安全」、「移動に疲れない」といった回答が、利用頻度の低い人と比較して多くあげられている。このことから、これらの鉄道の長所は、普段から鉄道を利用している人にとっては実感されているが、そうでない人の認識がやや低いことが窺われる。さらに、「環境に優しい」という、鉄道の長所については、特にマイカー通勤者からの回答が少なく、交通モードによる環境負荷の多寡についての認知度は、それほど高くないものと考えられる。
 このため、鉄道の利用促進を図るには、上記(1)(2)の課題に対して継続的に取り組んでいくとともに、これらに加え、普段から鉄道をあまり利用していない一般利用者に対して、鉄道のもつ安全性や快適性、環境負荷の低さ等の長所や利点等の情報を効果的に提供する事により、自家用車の利用から鉄道への自発的な転換を促していくことが必要である。
 
○施設管理者等の意識
 観光施設やホールなどの公共施設、大規模商店、病院などの施設管理者へのヒアリングでは、半数以上の施設から、来場者に対して公共交通機関利用を働きかけることについて、前向きの意見が得られた。特に、環境教育を含めた社会教育に取り組んでいる施設などでは、来場者および職員に対して公共交通機関の利用を積極的に促しているところもあった。
 一方、商店などの集客施設では、来客の利便性の観点からマイカーからの転換促進については消極的な意見も多い。また、施設の担当者によっては、環境問題や公共交通機関利用の重要性などについて、あまり認識されていないケースもあった。
 今後、鉄道沿線の各種集客施設の管理者等に対しても、公共交通機関利用への理解を求める取組を継続的に進めていく必要があるものと考えられる。
 
○自治体担当者等の意識
 今回ヒアリングを行ったある施設では、施設の駐車場が、隣接する市役所職員の通勤用にも利用されており、多くの自動車が駐車しているとのことであった。当該施設は鉄道駅に隣接しているため、市職員に対して、通勤等の鉄道利用を促進することは困難ではないものと考えられる。
 滋賀県では、「滋賀らしいエコ交通の推進」を様々な場を通じて県民等に呼びかけており、県職員や各市町村の職員等も、通勤や出張等の際には、可能な限り公共交通機関を利用するよう取り組んでいるが、まだ十分とは言い難いように思われる。
 鉄道は地域の財産であり、環境負荷の少ない交通手段であるとの認識を新たにし、まずは沿線市町の職員が様々な場面で公共交通機関を積極的に利用するよう働きかけることが必要である。
 
 滋賀県への観光客は、その多くが県内居住者であり、マイカー利用が多数を占めている。県民である観光客は、利便性・効率性からマイカー利用を選択する傾向が強いものの、一般利用者と同様に公共交通機関利用への啓発を行っていくことは必要である。
 一方、中京圏や首都圏等の遠方から訪れる観光客は、マイカー利用の比率が下がり、鉄道を利用するケースが多くなっていることから、観光目的の鉄道利用者を増加させるためには、これら遠方から滋賀県への観光誘客を図ることが重要になる。
 日本最大の湖である琵琶湖は、滋賀県が全国に誇れる貴重な観光資源であり、今回の観光地アンケートでも、調査地点によっては半数の回答者が訪問しており、水上航路と組み合わせた観光ルートについても、全体の2/3が利用意向を示している。鉄道沿線の各施設と水上観光を組み合わせた魅力的なルートを開発し、首都圏や中京・西日本などから新幹線米原駅やびわこ栗東駅を入口とした広域的な周遊コースとして整備しPRすることにより、誘客を図ることが必要である。
 
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更新日: 2019年9月21日

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