日本財団 図書館


4 国鉄/JRの都市鉄道サービスへの参入
 この間におきた非常に重大なこととして、国鉄民営化があります。国鉄は民営化される少し前位から、方針を変換したのです。具体的に何をやったかといいますと、運行サービスの向上、駅の改良、路線の整備といろんなことに取り組んだのです。
 例えば、JR北海道ですが、民営化の前後に小樽、札幌近郊の通勤圏から札幌に、朝の運行回数を増やしたわけです。
 それで、傑作な話なんですけれども、運行本数増やしたらですね、朝踏切があまり開かなくなったらしいんですね。その結果バスが踏切通れなくなって、バスの運行速度が落ちて、また国鉄の利用率があがったという変な話がありました。
 JR北海道、これ以外に新駅をたくさん作ったり、いろんなことやったわけです。これは日本中どこでもそうでした。
 昔から国鉄で都市交通を意識してやったのは、首都圏位で、他の所はほとんどやってなかったわけでございます。関西は新快速というのが非常に速いわけで、他の私鉄より2倍位も速いわけです。私鉄会社にとっては大変でしたけれど、我々にとっては、サービスが一気にアップして非常によかったです。
 
5 安全性・信頼性の確保
 それから安全性、信頼性の確保ということで、これはホームドアー、踏切対策、防犯対策、防災対策ということをやっています。
 
6 快適性・利便性の向上
 快適性、利便性の向上ということで、ただ運べばいいというわけじゃないということになってまいりまして、駅の利便性を考えて、いろんな総合駅を作ったりするようなことをやっております。また車両もだんだんいいのが出てきました。またICカードやバリアフリーというのも、最近行われてきています。
 
 
II サービスの評価
 次に、いろんな整備をした結果、現在のサービスがどうなっているかということです。
 
1 地方都市の交通サービス
 これは首都圏、京阪神圏、中京圏を除く39県庁所在都市を対象にして行ったものです。
 評価構造なんですが、どんな指標で評価をしたかというと、例えば、鉄道でいうと、利便性、速達性、経済性と、3つの大きな指標で分類しました。
 利便性でいいますと、アクセス・イグレス、結節点としての鉄道駅、駅前広場のことなんですが、それから駅構内の利便性、乗ることに関する利便性。そして個別の指標を使って総合化していくということをやっています。速達性はピーク時表定速度で、経済性は運賃ということです。
 JR、私鉄ですと、広島、福岡、仙台が大体同じ位、ちょっと札幌が離れているという採点結果になっています。
 福岡市の評価をみてみます。地下鉄、路面電車ですと、福岡は3番目ですね。バスは4番目。タクシーは1番目。総合すると公共交通は2番目になります。自動車は2位、自転車は3位、歩行者は3位とこんな結果になります。
 利便性については福岡市が1番でありまして、速達性は4位、経済性は3位。結果として3位ということです。
 なぜこんなことをやったのかということなんですけれども、私達は、自分の住んでいる所の公共交通なり鉄道のサービスというのは実感としてもってるわけでありますが、他所と比べてどうだということは意外と皆知らないんですね。ひょっとすると、他所と比べて悪いのかもしれない。あるいは良いのかもしれないんだけれど、比較しようがないということでありますので、こうした比較を通じてですね、自分の所の交通の良いところと悪いところをみながらきちんと認識して、それから良いところを伸ばそうとするのか、悪いところを潰そうとするのか、あとは皆さんが選ぶことでありますけれども、そういったことのインセンティブになればいいなということでやったわけであります。
 
図8
1-3 評価構造(鉄道)
 
図9
JR・私鉄の評価結果
■人口100万人以上<4都市>
  利便性
順位 アクセス・イグレス 駅前広場 鉄道駅(駅構内) 乗車 総合
都市名 評点 都市名 評点 都市名 評点 都市名 評点 都市名 評点
1 広島市 10.0 札幌市 10.0 仙台市 5.5 福岡市 10.0 福岡市 7.2
2 福岡市 6.0 福岡市 4.0 福岡市 4.5 仙台市 6.0 広島市 5.5
3 仙台市 4.0 仙台市 1.0 札幌市 3.5 札幌市 5.4 仙台市 4.9
4 札幌市 1.0 広島市 1.0 広島市 3.5 広島市 5.4 札幌市 4.4
 
  速達性 経済性 JR・私鉄総合
順位 乗車 乗車
都市名 評点 都市名 評点 都市名 評点
1 仙台市 5.0 仙台市 7.0 広島市 5.9
2 広島市 5.0 広島市 7.0 仙台市 5.6
3 仙台市 3.0 福岡市 5.0 福岡市 5.4
4 福岡市 3.0 札幌市 2.0 札幌市 3.2
 
2 空港アクセス
 それから、空港アクセスサービスの評価ということで、評価項目として、速達性、低廉性、シームレス度、多重性、面的サービスの充実、公共交通機関の利便性という6つの項目を作りました。
 対象とする空港は大体年間の利用者が200万人以上の空港ということで、速達性についてはアクセス時間が「短い方がいいよ、長いのはダメだよ」というランク付けです。
 シームレス度は平均乗換回数が少ない方がいいよということで評価しています。実はこれは自動車利用の分担率が高いと乗換率が低いので、若干問題があります。
 多重性ということで、複数の交通機関があることがいいんだということであります。
 面的サービスの充実ということでいろいろな系統があります。福岡空港は鉄道もあるし、あちこちの都市とダイレクトに結んでいるバスもあって、非常にいいんです。結果的には大きな空港がいろいろな所にバスなり電車なりを動かしていますので、点数がいいという格好になりました。
 
図10
空港アクセスの総合評価
 
 公共交通機関の利便性ということで、公共交通機関の分担率が高い所がいいんだということでやりました。
 総合評価なんですが、羽田が一番よかったと。それから関空、宮崎です。宮崎は空港があまり離れてないのと、鉄道が入ってるというので高く評価されたということです。その次が福岡、大阪あたりです。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION