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(4)費用の低減について
 
1)離島対策支援事業による海上輸送コストの低減
 「自動車リサイクル法」の離島対策支援事業による海上輸送費の8割分(予定)への支援(出えん)により、輸送コストを低減する。
 
2)船社の協力による海上輸送コストの低減
 
(ア)上り便の空スペースの活用
 貨物が少ない上り便(鹿児島行き)の空スペースを活用し、海上輸送コストを低減する。
 
(イ)船社に輸送便の選択を与える
 空いている便・スペースに乗せるという条件で海上運賃を安くする。
 
(ウ)環境美化に貢献する海上運賃の設定
 船社による奄美群島の環境美化への協力の一環としての海上運賃(グリーンプライス)を設定する。
 
(5)民間事業者を取りまとめるための方策
 与論港において使用済自動車を取り扱うリサイクル事業者と自動車整備業者、自動車販売業者においては、自動車リサイクル法に基づく離島対策支援事業に関連する連絡・調整が必要であることから、関係業界による使用済自動車の推進のための団体を設立するものとする。
 
表−6.3.17 リサイクル資源の島外輸送のための連絡体制の確立(案)
項目 概要
趣旨 使用済自動車等のリサイクル資源の島外搬出に関わる連絡・調整を行う。
メンバー リサイクル事業者、自動車販売業者、自動車整備業者、港湾運送事業者
 
表−6.3.18  奄美群島各島における静脈物流ネットワークのあり方のまとめ
(拡大画面:254KB)
注:廃棄物等を荷箱に押し込むための装置がついている特装車
 
(7)海上輸送の活用のまとめ
 
(1)既存の(複数の)海上輸送サービスを柔軟に活用する
 奄美群島では、農産物出荷時期を除き、基本的に上り便(鹿児島行き)の船舶スペースには余裕がある。したがって、新たなリサイクル資源の輸送のための船舶の投入ではなく、既存の海上輸送サービスの活用を基本とする。
 フェリー、貨物船、チャーター船の既存の海上輸送サービスを輸送量、タイミング、コスト等を考慮し、柔軟に活用するものとする。
 
(2)鹿児島静脈輸送ネットワークと沖縄静脈輸送ネットワークの構築
 奄美群島においては、距離的に鹿児島港に近い奄美大島、喜界島と沖縄本島に近い与論島、沖永良部島があり、リサイクル資源のニーズ、輸送費を勘案の上、輸送先、海上輸送サービス(フェリー、貨物船、チャーター船)を選定することになる。
 また、品目によって、鹿児島行きか、沖縄行きかが異なってくることから、品目ごとの静脈物流のネットワークの構築を図るものとする。
 
図−6.3.1 鹿児島静脈輸送ネットワークと沖縄静脈輸送ネットワーク
 
(3)船社の協力による海上輸送コストの低減
 
1)上り便の空スペースの活用
 貨物が少ない上り便(鹿児島行き)の空スペースを活用し、海上輸送コストを低減する。
 
2)船社に輸送便の選択を与える
 空いている便・スペースに乗せるという条件で海上運賃を安くする。
 
3)複数のリサイクル資源の積みあわせ
 貨物船に使用済自動車とともに、缶、ビン等を積みあわせることにより、缶、ビン等の輸送コストを削減する。
 
4)環境美化に貢献する海上運賃の設定
 船社による奄美群島の環境美化への協力の一環としての海上運賃(グリーンプライス)の設定を検討する。協力を戴いた時は、PR効果を考え、その旨を表記することも考えられる。
 
5)二次離島(加計呂麻島、請島、与路島)からの海上輸送
 奄美大島の二次離島である加計呂麻島、請島、与路島においては、町営フェリーが古仁屋港まで就航している。輸送方式は直積、もしくはトラック(ユニック車)であり、今後もこの輸送方式が継続していくものと思われる。
 町営のフェリーでの輸送手段以外はなく、輸送費の節減は難しい。二次離島においては、使用済自動車の海上輸送費の10割支援が望まれる。
 
(4)複数の町村、島の輸送分をまとめることを検討する
 複数の町村から発生・輸送するリサイクル資源を一つの港湾運送事業者、船社(リサイクル事業者)に集約し、量をまとめることにより、輸送コストを削減することを検討する。
 2つの島から発生・輸送するリサイクル資源を一つの港湾運送事業者、船社(リサイクル事業者)に集約し、量をまとめることにより、輸送コストを削減することを、船社(代理店)への見積書の提出依頼などにより検討する。
 
(5)陸上輸送コスト削減の工夫
 リサイクル資源の発生場所から港湾までの陸上(トラック)輸送に関わるコストは、様々な工夫で削減していく必要がある。
 営業用トラックの利用においては、複数の自動車整備業者、自動車販売業者による発注の集約化、空スペースの活用によるコスト削減が考えられる。また、海岸、山間部の清掃等に伴うリサイクル資源の輸送については、フォークリフト、トラック等をもつ公共事業関連事業者の協力を仰ぐことが考えられる。
 
(6)リサイクル資源輸送に適した海上コンテナの検討
 使用済自動車のフェリー輸送については、コンテナの傷みや船内の油汚れが問題とされている。基本的に、持ち込む業者の油抜きの徹底が必要である。一方、コンテナの傷みと船内への油流出対策として、頑丈さと油漏れ対策のされた専用コンテナを製作、利用することが考えられる。
 離島からの使用済自動車の円滑な輸送対策は、船社、リサイクル事業者などで検討することになるが、関連団体による支援が期待されている。
 
図−6.3.2 海上輸送活用のイメージ図







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