2002/01/09 産経新聞夕刊
都のカジノ構想 大阪府も“のった” 「検討段階」集客魅力、共同で研究会
観光客誘致や雇用創出の有効策として注目を集めているカジノについて、東京都と大阪府が共同で研究会をつくり、メリットや問題点などについて多角的な研究を進めている。石原慎太郎知事が公約に掲げ、積極的に導入策を模索している都に比べ、大阪府は「あくまでも客観的に検討している段階」と慎重だが、東西二大都市の協調姿勢は国や他の自治体にも影響を与えそうだ。
研究会は昨年度に発足。今年度は「大都市型の観光推進策としてカジノの効果を考える」という観点から都と大阪府、それぞれの観光担当部局が窓口となって、研究を進めてきた。
テーマは、カジノがもたらす直接的な経済効果や雇用創出効果などのほか、治安や警備面での課題点、市民生活への影響など、多岐にわたっている。カジノを設置する際の運営形態などについても細かな検討がなされているという。
カジノをめぐっては、治安の悪化や青少年への悪影響を懸念する声が根強い半面、強力な集客手段、観光資源としての期待もあり、具体的な構想を検討する自治体も出てきている。
特に石原知事は三年前の都知事選に出馬した際、公約のひとつとしてお台場にカジノを作ることを掲げた。
昨年八月に発表した都の「観光産業振興プラン」の素案にも、海外からの旅行者誘致策の一つとして「カジノなどの新たな観光資源開発」が盛り込まれている。
石原知事は、昨年九月のシンポジウムで「カジノのようなリゾートを随所に構える努力をすべき。必ず雇用につながる」と述べるなど、カジノの必要性を繰り返し主張。「いずれは日本でもカジノが合法化されるでしょう」として、将来的に国が法整備に動き出すことにも自信を見せている。
大阪府でも、研究を通じて「都市型観光を考える上で、カジノの集客力は非常に魅力的。多くの国で合法化されており、健全な娯楽産業として成り立つ」(幹部)という声があがり、作る際には関西国際空港対岸の、りんくうタウンなどが“候補”の一つとして想定されるという。
カジノは、ルーレットやスロットマシンなどのとばくを行わせる娯楽施設で、日本では、とばく行為を禁じる刑法に抵触するため、設置までには、競馬など公営ギャンブルのように特別法を制定するなど、一定の法整備が必要となる。
一方で、世界でカジノが合法化されている国は百カ国以上にのぼり、サミットに参加する主要八カ国(G8)のうち、全面的に禁止されているのは日本だけ。「研究会」での成果が注目を集めそうだ。
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