日本中央競馬会(JRA)が来年度から新しい馬券を発売することが二十七日、明らかになった。三着以内に入った三頭のうち、二頭を当てる「拡大連複」(仮称)という馬券で、日本の公営競技で導入されるのは初めて。馬連は高配当が見込める半面、的中の確率が低かったのに対し、拡大連複は的中率が大幅にアップ。売り上げ減が目立つJRAにとっては、親しみやすい馬券の導入はファン離れを解消するカンフル剤という意味合いもある。
JRAが来年度から売り出すことを決めた拡大連複という馬券は、フランスでは「ジュムレプラッセ」という名前で親しまれている。枠連、馬連などと同じように出走馬の中から二頭を選ぶが、馬連は対象が一、二着だったのに対し、拡大連複では二頭が三着以内に入れば的中になる。いわば従来の連複と複勝を組み合わせたもので、リスクが小さい。
配当はフランスのケースで見てみると、ジュムレプラッセの一−二着は馬連の配当の二分の一から三分の一。それでも大本命馬が勝ったレースに、その馬を買わなかったときでも、二−三着の組み合わせで万馬券になる可能性もある。多くのファンが味わったことのある「買った組み合わせが一−三着(または二−三着)だった」と悔しい思いをすることもなくなる。
昨年は年間の売り上げが四兆円を超えたJRAだが、数年前から競馬人口は減少している。今年はこれまでGI九レース中、七レースで前年比を下回り、上半期全体の売り上げも前年の五%減だった。
JRAでは平成三年十月に馬連を本格的に導入。現在は総売り上げの九割を占めるが、配当が高くなる半面、「当てる」ことの難しさが新しいファンの定着を阻んできた。そのため、地方競馬場が取り入れている一、二着馬を着順通り当てる馬連単式などハイリターンなものでなく、だれにでも楽しめるローリスクな方式を検討。その結果、「拡大連複」という新馬券を売り出すことにした。
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