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2002/06/12 読売新聞朝刊
公営競技で県が10億円の黒字 記念競輪の成功、場外車券発売拡大=埼玉
 
 県内の競輪施行市の赤字が続く中、県の昨年度競輪事業では約三億円、オートレースなども含めた公営競技事業特別会計の決算では約十億円の黒字に転じる見込みであることが十一日、分かった。前年度は一九四八年度に県主催の競輪が始まって以来、初の赤字を記録したが、今年一月、大宮競輪場での記念競輪で大幅な売り上げがあり、収益を黒字に押し上げた。
 記念競輪頼みの収益構造が明らかになる中、他の施行七市との共同開催を県は拒否している。さいたま市主催の大宮競輪の赤字が続いている折でもあり、県の黒字転換は複雑な波紋を広げそうだ。
 県県営競技事務所によると、競輪、オートレースの収益に浦和競馬場の土地使用料を合わせた昨年度の公営競技事業特別会計の決算見込み額は約十億円の黒字、競輪事業だけでも約三億円の黒字が出ると見込まれている。県の競輪事業は一九九〇年度の五十七億六千万円の黒字をピークに下降。一昨年度は、過去半世紀の競輪事業の中で初めて七千八百二十万円の赤字となり、土地使用料などでも埋め切れず、公営競技事業特別会計も五千五百五十九万円の赤字となった。
 昨年度決算の黒字転換が見込まれる要因として同競技事務所では、大宮競輪場で一月に開催した記念競輪(G3)の売り上げが予想の九十五億円を大きく上回る百十六億円に達したことと、場外車券の発売に力を入れたためと見ている。一昨年度は全国の競輪場約二十場で車券発売を委託、昨年度は九州、北海道まで広げ、約三十場に発売委託したという。
 また、一昨年度の赤字に伴い、公営企業金融公庫への納付金から、約五億円が還付されたのも大きな要因となっている。
 県主催の競輪は、大宮競輪場と西武園で年間十一回開催する普通競輪と、両競輪場で各一回行われる記念競輪からなっている。集客力の弱い普通競輪は年間五、六億円の赤字が近年の傾向で、これを記念競輪でカバーしている。「一月の記念競輪の日も雪でも降っていたらどうなったか」(競技事務所)と、薄氷を踏むような運営状態で、県は、赤字に悩むさいたま、行田、所沢など施行七市からの共同開催の申し入れを三月二十七日、正式に拒否している。
 しかし、大宮競輪を開催しているさいたま市が、昨年度分の赤字を今年度分から繰り上げ充用せざるを得なくなるなど、公営ギャンブルを巡る環境は悪化しており、県の黒字転換は、改めて開催自治体間の議論を呼びそうだ。
 
 
 
 
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