全国の競馬ファンに、「ビデオの再生のように、情報通りの着順になる『ビデオレース』がある」「競走馬の生産者しか知らない情報を提供する」といった内容の案内を送り付け、会員を集めるダイレクトメール(DM)商法が横行し、日本中央競馬会(JRA)への苦情が相次いでいる。JRAは各競馬場で「詐欺まがい商法」だとして客に注意を呼びかけている。にせ情報で会費をだまし取る詐欺の疑いもあり、警視庁などで情報収集をしている。
JRAによると、競馬予想情報に関するDMは、ここ1年間で15種類以上が配布されている。共通しているのは「八百長レースがある」としたうえで、「必ず当たる」「的中率90%以上」などといった宣伝文句で、競馬ファンを勧誘する手口という。
ある競馬情報会社の場合、「馬主をもうけさせるため、ビデオの再生画面を見ているかのように、あらかじめ結果が分かっている『ビデオレース』と呼ばれるレースがある」という案内パンフレットを送り付け、「会員になれば特別情報を提供します」と、1レースにつき5万円で会員を募集していた。
また、別の有限会社は、「競走馬を飼育している生産者だけに流れる『生産者情報』が得られる」とのふれこみで、内部情報料として1シーズンにつき3万8000円から16万円で会員を集めていた。案内には、「入会者の喜びの声」や「専門家の評価」まで掲載されていた。
苦情を受けたJRAで調査したところ、いずれの業者もDMを送り付けた数カ月後には連絡が取れなくなるなど、実体はなかった。被害は確認されていないが、詐欺罪にあたる疑いもあり、警視庁など捜査当局は情報収集を急いでいる。
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