仙台市太白区の障害者団体や養護学校OBらが県内に公営ギャンブル施設の場外券売所を建設する構想を進めている。オートレースや競輪などの主催団体と協議中で、運営会社を設立し、場外券売所の収益で福祉施設を運営するとともに、障害者が収入を確保し自立することを目指している。県内の1市6町からアプローチが来ており、実現すれば障害者団体がギャンブル施設の券売所を運営するという全国に例のない取り組みとして注目されている。
構想を持っているのは、障害者が自立するために助け合おうと1994年に発足した「宮城たすけっと」(杉山裕信代表)を中心としたグループ。介護してくれる両親がだんだん高齢になるため、障害者が自立するには収入が必要だが、民間企業では雇用はなかなか進まず、不況の影響で仕事に就くのがますます難しくなっている。それなら、収益性が高く作業が比較的軽い公営ギャンブル施設の場外券売所を自分たちで運営しようと、昨年暮れごろから協議してきた。
設計士に依頼し、設計計画も作成した。建設予定地の面積は4万7520平方メートルで、券売所や福祉施設が入る建物は鉄筋コンクリート3階建て、延べ床面積は7740平方メートル。1階が福祉施設、2階が券売・投票所と屋外観覧席、3階が特別観覧席になっている。
1階の福祉施設には、冠婚葬祭などで一時的に外出する時に障害者やお年寄りを無料で預かるショートステイを30室、トレーニングルームや談話室なども設ける。運営費は3階の特別観覧席の入場料収入で賄う。
総事業費は30億円で、中央の企業と交渉している。建設場所は富谷町を予定し、36のすべての町内会長宅を訪ね説明して歩いたが、町は「土地利用の状況から見て建設は難しい」としている。しかし、県内の1市6町からアプローチが来ているという。
ギャンブルで障害者の雇用を確保するということに反対意見がないわけではない。しかし、「たすけっと」の成沢政雄事務局長は「スウェーデンやアメリカなどでは障害者がギャンブル施設を運営しており、全国で初めての試みを宮城から発信したい」と意気込んでいる。
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