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6)51号墓
 44-67号人骨を含む。
(1)44-67号人骨
 ほぼ完形の12歳の人骨である。
*分離した頭蓋の破片
*破損した下顎骨:左右の下顎骨は癒合しており、中切歯、側切歯は萌出している。
*上肢(表7):左右の肩甲骨、鎖骨、上腕骨、橈骨、尺骨
*下肢(表8)
・寛骨:左右の腸骨、坐骨と恥骨
・左右大腿骨、脛骨、腓骨
・足骨:右踵骨、左距骨・中足骨・指骨
*肋骨:全て残存している。
*椎骨:第1〜6頸椎までは椎弓が癒合していないが、他の残存している椎骨は椎弓が癒合している。
 
7)52号墓
 4個体(30-52号人骨、30-52A号人骨、30-52B号人骨、30-52C号人骨)が含まれている。
(1)30-52号人骨
 45歳の成人男性で、残存している骨は少ない。
*上肢
・右肩甲骨、破損した左右の上腕骨、破損した左尺骨
・手骨:手根骨、中手骨、指骨が混合している。
*下肢(表5)
・右大腿骨
・足骨:左右の踵骨、中足骨、指骨
(2)30-52A号人骨
 12ヶ月の未成人骨で、残存している骨は少ない。
*下顎骨:左右の下顎骨は癒合している。
*上肢:左肩甲骨、左右の鎖骨、右上腕骨、右橈骨、右脛骨
*下肢(表8):右腸骨、右坐骨、腓骨
(3)30-52B号人骨
 12ヶ月に満たない未成人骨で、残存している骨は少ない。
*上肢(表7):右橈骨、右尺骨、手骨の一部
*下肢(表8):右腸骨、足骨の一部
(4)30-52C号人骨
 新生児で残存状態があまり良くない。
*上肢(表7):右上腕骨、橈骨、尺骨
*下肢(表8):左右の恥骨
 
8)53号墓
 人骨は含まれていなかった。
 
9)54号墓
 27-48号人骨、27-49号人骨の2個体が含まれている。
(1)27-48号人骨
 30〜35歳の若い成人女性が完形で残存している。
*長い茎状突起をもつ頭蓋(表2)と下顎骨(表3)
*舌骨
*胸骨体
*上肢(表4)
・左右の肩甲骨、鎖骨、上腕骨、橈骨、尺骨
・手骨:手根骨、中手骨、指骨
*下肢(表5、6)
・左右の寛骨(右は破損している)、大腿骨、脛骨、腓骨、右膝蓋骨
・足骨:左右の踵骨、距骨、立方骨、舟状骨、第1〜5までの中足骨、指骨
*椎骨
・頸推、胸椎、腰椎は全て残存している。
・仙骨:尾椎は6個あり、第1尾椎は仙骨と癒合している。
(2)27-49号人骨
 完形の、推定年齢20〜22歳の成人女性である。
*頭蓋(表2):上顎の第3大臼歯は萌出していない。
*下顎骨(表3):第3大臼歯は萌出している。
*舌骨
*上肢(表4)
・左右の肩甲骨、鎖骨(胸骨端は左右どちらも癒合していない)、上腕骨、橈骨、尺骨
・手骨:中手骨、指の一部が残存。
*下肢(表5、6)
・左右の寛骨(骨端はない)、大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨
・足骨:足根骨、中足骨、指骨の一部が残存。
*胸骨:胸骨柄と胸骨体は分離している。
*肋骨:全て残存している。
*椎骨
・頸椎、胸椎、腰椎は全て残存している。
・仙骨と1個の尾椎
 
10)55号墓
 28-50号人骨を含む。
(1)28-50号人骨
 50歳以上の成人男性であり、残存状態はあまり良くない。
*舌骨と部分的に骨化した甲状腺軟骨と骨化している輪状軟骨が残存している。
*上肢(表4)
・左右の肩甲骨、鎖骨(右は破損)、上腕骨、橈骨、尺骨
・手骨:全ての手根骨、中手骨、指骨が残存。
*下肢(表5、6)
・左右寛骨、大腿骨、脛骨、腓骨
・足骨:左右の距骨、踵骨、楔状骨、中足骨、指骨
*胸骨:胸骨柄と胸骨体は分離しており、胸骨体には剣状突起が癒合している。
*肋骨:右13個、左8個と多くの破片が残っている。
*椎骨
・頸椎:第3、4頸椎の隣接する表面にピッティングなどの骨変形と骨増殖がみられる(図5)。
・胸椎:椎体の左側に著しい骨増殖がみられる。また、図6にみられるように前縦靭帯が骨化している(DISH)。
・腰椎:著しい骨増殖が第2、3、4腰椎の椎体腹側部にみられる(図7)。
 
11)56号墓
 5つの個体(50-79A号人骨、50-79B号人骨、50-79C号人骨、50-79D号人骨、50-79E号人骨)と多くの混合した人骨が多く散乱している。
(1)50-79A号人骨
 60歳以上の老成人男性で、この骨は非常に脆弱で破損している。
*頭蓋:破損しており、非常に薄い骨となっている。板間層は消失している(図8)。
*上肢
・上腕骨:左上腕骨の遠心端はピッティング、骨隆起を伴う骨関節炎を示す(図9)。
・手骨:手根骨、中手骨、指骨
*下肢(表5):破損している。
・寛骨:寛骨臼の月状面では、表面が粗くなり、ピッティングを伴う骨関節炎を示している(図10)。
・大腿骨:左右あり、大腿骨頭には著しい骨関節炎がみられる(図11)。遠心端の内外側顆にも骨関節炎がみられる。
・脛骨:左右残存しており、どちらにも脛骨近心端にピッティングと粗い表面、骨突起がみられ、骨関節炎を示していると考えられる(図12)。
・膝蓋骨:左右の膝蓋骨で骨関節炎がみられる(図13)。
・足骨:距骨の中踵骨関節面に骨変形と骨関節炎がみられる(図14)。
*肋骨:破損している。第一肋骨の肋骨頭に骨変形がみられる。
*椎骨
・頸椎:第5、6頸椎体にピッティングがみられる(カラー図版4の図15)。
・胸椎:骨増殖、シュモルの結節が椎体にみられ、特に下部の胸椎では著しくみられる。
・腰椎:椎体の上縁に骨増殖と骨棘がみられる。また、椎体の上面には骨突起がある(カラー図版4の図16)。さらに、第4腰椎体の上面には、恐らく転移による穴がみられる(図17)。
(2)50-79B号人骨
 完形でない、18ヶ月の乳児である。
*頭蓋
・頭頂骨:外表面に脈管溝や脈管孔がみられ、それらは頭頂結節から伸びている。
・眼窩上面ではクリビア・オリビタリアがみられ、十分な脈間孔を形成している。
・上顎:第一乳臼歯は萌出している。
*下顎骨:左右の下顎骨は癒合しており、中切歯、側切歯と第一乳臼歯が萌出している。
*上肢(表7):左肩甲骨、鎖骨、上腕骨、橈骨、尺骨
*下肢(表8)
・左の寛骨を構成する3つの骨が残存(腸骨、坐骨、恥骨)
・左大腿骨、脛骨、腓骨
*椎骨:全ての椎弓は癒合しているが、椎体とは癒合していない。
(3)50-79C号人骨
 6ヶ月の新生児で、少数の骨のみが残存している。
*下顎骨:左右の下顎骨は癒合しておらず、乳歯も萌出していない。
*上肢(表7):左右の上腕骨と破損した右尺骨
*下肢(表8)
・寛骨:左右の腸骨、坐骨、右恥骨
・右大腿骨
(4)50-79D号人骨
 6ヶ月の新生児で、残存状態は余りよくない。
*頭蓋:部分的に残存している。
*下顎骨:左右の下顎骨は癒合しておらず、また乳歯も萌出していない。
*上肢(表7):左右の肩甲骨、上腕骨、尺骨、左鎖骨、左橈骨
*下肢(表8)
・寛骨:左右の腸骨
・左右の腓骨
*椎体:椎弓はまだ癒合しておらず、椎体とも癒合していない。
(5)50-79E号人骨
 6ヶ月の新生児で、骨が少しだけ残っている。
*下顎骨:半分のみ残存しており、乳歯の萌出はない。
*上肢(表7):左右肩甲骨、鎖骨、左上腕骨
*下肢(表8):右大腿骨、脛骨
(6)混合骨群
A. 成人骨:手と足の骨のみ残存している。
B. 未成人骨
*頭蓋:完形が一つと、部分的にのみ残存しているものがある。
*下顎骨
・完形が2個ある(推定年齢6ヶ月と2歳)。
・半分のみ残存しているもの(推定年齢6ヶ月以下)
*上肢(表7):肩甲骨(右3個と左3個)、鎖骨(右3個と左3個)、上腕骨(右4個と左3個)、橈骨と尺骨(右3個と左3個)
*下肢(表8)
・寛骨:腸骨(右3個と左4個)、坐骨(右5個と左4個)、恥骨(右4個と左3個)
・大腿骨(右3個と左4個)、脛骨と腓骨(右5個と左5個)
・足骨:踵骨4個と距骨3個
*肋骨:左右混合している。
*椎骨:60個の椎体、推弓が癒合しているものが41個、癒合していないものは71個。







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