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社会を動かすボランティア
斎藤 ことばひとつにこだわって、丁寧に対応していこうということですね。おふたり、ありがとうございました(拍手)。
 実は秋田集会(1996年)が終わった時に、次回どこで開催するかが決まっていなかったのです。閉会式の時に、次の開催地を言えないで終わってしまったのです。埼玉から来た県庁職員が「うちでやるべえが」と言い出して、言ったとたんに異動したんです。大久保邦子さんと仲間たちと言ったほうがいいでしょうか。どうぞ、写真係を除いて来てください。
 この山形集会の準備は4年かかりましたが、埼玉では準備期間が非常に短く、1年弱ぐらいのところからスタートしました。大久保さんは埼玉集会(1997年)の当時は運営委員長、その前後には、運営委員などもお願いしていました。「Vnet社会教育施設ボランティア交流会」「いもづるネット」というのは、全国集会の地元の実行委員たちが、解散するのは惜しいということで集まってできたものです。
 全国集会を担ったことの意味とか、最近のボランティアブーム、NPOなどについて、何か感じていることがありましたら、言ってください。
大久保 私はボランティアですから「あ、斎藤さん、困っているな」と思うと断れない。ただそれだけ。それともう一つ、私たち、この仲間は国立女性教育会館のボランティアです。国立の施設の中にさわやかなボランタリーな風を吹かせたいということで活動してきたのが、このVネットです。先ほどから女性の登壇が少ないよ、という声があったんですが安部さんが出たのでちょっとほっとしました。
 国立女性教育会館の研究員で、東北公益文科大学にいらした伊藤真知子先生、ちょっと立ってください。女性教育会館のつながりもこうやって広がっていくなと感じます。女性が少ないという経済社会の状況をなんとか変えていきたいです。
斎藤 もうひとつ、さっき秋田集会でご紹介するのを忘れました。ボランティアから秋田市の助役になった松葉谷さん、いらっしゃいますか(拍手)。ボランティアをやっていて、助役になってしまいました。だから、ボランタリーなことがわかる秋田市政ではなく、ボランティアが助役になって公務員を変えているということですね。
大久保 私も若者じゃないけど、風を吹かせたい。私はずっと考えていて、大年増じゃなくて大若者になろうと思ったんです。若者がここに来るだけで、さわやかな風が吹きます。そして、やっぱり私たちも来て、大若者として風を吹かせたい。松葉谷さんも行政の中に入って、やはりボランタリーな風を吹かせたいという思いらしいのです。
 そしてずっとやってきて思いついたのは、やはり、風を吹かせるには、何か行動を起こさなくてはいけないということです。昨年の我々のセミナーに、外務省の現役の官僚で、三重の北川県政の総務課長として、3年間出向して支えた人が見えたのですが。
斎藤 村尾信尚さんですね。
大久保 そうです。12月に環境省を辞めて、自分は一市民となってやっていくということがありました。今回の村尾さんの行動は、私のボランティア人生に非常に一致するので賭けます。
斎藤 応援していくということですね。
大久保 そうです。来週もまた三重に行こうと思います。もしひとりひとりがそうやって動きだせば、本当に風が吹きます。動かないと吹かないですよね。待っていたって吹かない。きついから衝突するけれども。風を吹かすには、やはり一人ひとりが動かなきゃいけないということが私たちの信条ですから。
 もうひとつ、三重に行って考えたのは、長野と同じで、政党絡みの組織で動くということに対して、一般市民は、非常に不安感を持っているということです。それで、組織がだめなら草の根でと思ったんです。
斎藤 個人ですよね。一人ひとりが、ということですか。
大久保 そうです。そして、男性がだめなら女性の風を吹かそうと思ったのです。
斎藤 男性ではだめなんですか?
大久保 もしも男性がだめならね。
斎藤 いっしょに吹かせればいいじゃないですか。
大久保 そうです。男女共同参画社会。お願いしますね。
 
水害が呼び水
斎藤 ありがとうございました。高知でも全V研がありました(2000年)。彼も公務員です。高知集会の実行委員長で、全国運営委員もやっていただいた山崎さんです。
山崎 こんにちは。
斎藤 高知では「このままじゃいかんぜよ 〜維新の地から発信 満身創意のボランティアパワー」というテーマでした。今回は「仲間を増やし、リーダーを育むためには」という分科会に参加したわけです。仲間が足りないのですか?
山崎 仲間もそうですが、リーダーを増やすためにはどうすればいいのかというのでこの分科会を選びました。高知でもスキルアップ講座とかをやると、いろいろなことを言われて、いや、俺、とてもじゃないけど、そこまででけんわ、と敗北感を感じてしまうのが多いんです。だけど分科会では、吉永さんのファシリテーション能力にも脱帽したのですが、いろいろな理想が出て、結論は、こんな人おらへんで、絶対おらんわ、ということになりました。
斎藤 こんな人?
山崎 いろいろなリーダーとしての資質を挙げて、これを全部持っている人っておらんで、ということです。だからそんなに無理しなくていいから、自分が持ってないのにあんまり無理をするとかえって狭まってしまうから、ちょっと背伸びして届くぐらいでええやん、と。「がんばれ、がんばれ」ではなく、ちょっと背伸びしてがんばってみようかと。そういう意味では良かったです。
斎藤 なるほど。がんばれ、って言うと辛いけどね。
山崎 そう。こういう危機感のない人間はだめですよね。
斎藤 長野の諏訪中央病院の院長をやっている鎌田実さん――長野の全V研でお世話になった人ですが――は、『がんばらない』と言います。がんばらないことは大事ですね。一生懸命・・・。
会場 あきらめない。
斎藤 高知はその後なにか変わりましたか。
山崎 高知が全V研に感謝したいのは、こういうことです。やはり本番の3年ぐらい前から仕込みをしていたのですが、1998年に1万2千世帯が床上浸水をするという豪雨災害が起きたんです。
斎藤 ぼく、行きましたよね。
山崎 すごくありがたかったです。それで、一般的には水害があってネットワークが広がったように見えるけど、逆に言うと、全V研の仕込みを始めていたからネットワークができたんです。高知はすごく良い流れでした。もちろん災害は起きないほうがいいんですが、起きてしまったことで、本当に呼び水になりました。そんなわけでネットワークはできているな、と感じます。
 
会うことの大切さ
斎藤 ありがとうございます。次は第32回(2001年)、佐賀です。女性が少ないと言うけど、最後にはちゃんと女性がいるんです。小林紀さんです。佐賀でのテーマは、まず、「がばいよかよボランティア 佐賀から拓く新世紀」です。「がばいよかよ」とはなんですか?
小林 「がばい」とは、「とても」という意味です。
斎藤 「とてもいいよ、ボランティア」ということですか?佐賀でやって、とてもよかったことは何かありますか。
小林 SCVNができたことです。
斎藤 佐賀シティボランティアネットワークですね。何をやる団体なんですか?
小林 いろいろな人の集まりなので、いろいろなことができるんです。
斎藤 目的は何でしょう。ゆるやかなネットワーク組織ですか。
小林 そうです。12月に、「次世代を担う子どもたちに伝えること」ということでボランティアシンポジウムをやったんです。そういうことや、いろいろなところに講師を派遣したりということもやれるように、さまざまな方が入っているネットワークです。佐賀で全V研をやった時の実行委員が多く入っています。
斎藤 やはり実行委員のみなさんが中心なんですね。でも、実行委員をやられていない方も入れるんですよね。
小林 そうです。だんだん新しい方も入ってきています。
 
一人ひとりの知恵を集めて
斎藤 もうひとかたです。今回、27分科会のコーディネーターをお願いしました公文俊平さんです。実は初日に会った時に「先生、最終日いらっしゃいますか?」と聞いたんです。プロフィールを見て、ぜひ、最後にお話しいただきたいと思っていました。国際大学グローバルコミュニケーションセンターの所長です。それからCANフォーラムをやっておられます。プロフィールに書いておられる「智業」とは何でしょうか。そして21世紀になったわけですが、これからの新しい時代をボランティアがどうひらいていくべきなのか、というお話をしてください。
公文 「智業」と言っているのは、企業とか政府ではなく、自分たちが心と智恵と力を合わせて、楽しいこと、意味のあることをやりたいな、という呼びかけでつくるグループです。それがこれからは広がっていくだろうと。
 今回はじめて参加して、非常に感激したのですが、最初で最後なんですね。ということは、ボランティアが特別なものではなく、当たり前のものになっていく、智業が、日本中、いたるところににできるのだろうと思います。
斎藤 その智業をつくる、生み出すのは一人ひとりということですね。だから自分がやりたければやりなさい、応援もしますよということですね。
公文 ええ、仲間を集めてね。
斎藤 いろいろな方たちと、交流なさったと思いますが、なにか収穫はありましたか?
公文 ありました。昨日、私の分科会はITの活用でした。いろいろな事例もうかがいました。午後のワークショップでは、みなさんが、いろいろなアイデアを出し合って、それをひとつにまとめていって形をつくるという実習をやりました。大変楽しかったです。こういうふうにして、知恵が集まっていくんだなあと考えました。しかし、一番楽しかったのは交流会ですね(笑い)。
斎藤 分科会のない、交流会だけの全国集会もいいかもしれませんね。
公文 夕べも庄内の地酒をいただき、さらに九州のすばらしい焼酎まで飲ませていただき、ありがとうございました。
斎藤 どうもありがとうございます(拍手)。18人の方にご登壇いただきました。まもなく時間ですが、初日のプログラムで「ボランティア一揆、公益の地から未来の風」という部分で、コーディネーター、パネリストを務めて下さいました、全国運営委員の加藤哲夫さんと石井布紀子さんに、34回の締めくくりのコメントをしていただきたいと思います(拍手)。
 
全国運営委員より
石井 今までのお話を聞いていて、社会の状況は、この集会と合わせてどう変わってきたと思われましたか。
加藤 私は、34回のうちの10回ちょっとの参加です。今まで、長く関わって来られた方が、会場にもたくさんいらっしゃると思います。みなさん、お話を聞いて、そうだったよなあ、と少し振り返ったと思います。
 それで、どこか変わったかというと、基本的には世の中が変わりました。良くもなっているし、悪くもなっています。
 今、社会の表舞台にボランティアや市民活動が出てきているわけです。裏口のほうで、ちょっとたむろしていた不良少年だった我々が、表舞台に出て、少し戸惑っている、という状態も起きています。スポットライトを浴びているわけです。だからそこで大きな顔をする奴もいるし、いろいろ勘違いをすることも起きます。
 それから、福祉の領域で特に顕著だと思いますが、介護保険などの制度ができることによる事業化が、私たちのボランティアの世界に非常に大きく影響を与えてきたのではないかと思っています。同時に行政、企業、セクターとの協働も増えました。この協働というのは悩ましいんです。各地で危ない事例がいっぱいありまして、やはり簡単なことではありません。
 私たちは、非常に閉塞的になっている政治をどうしようかということを、一人ひとりがもう一回考えなくてはいけないところまで来てしまいました。私たち自身が、そういう意味で、制度をつくり、組織をつくるという状態になって、あらためて個人、生き方としてのボランティアが問われ、それからどうやっていくのか、というところに来ているのではと思います。
石井 今の壇上での話をいくつかうかがっていて、全V研のあとに何らかの組織が生まれたんだなと思いました。
 たとえば、最初に出てこられた根っこワーク岐阜や、佐賀シティボランティアネットワークのような、地域のゆるやかなボランティアのネットワーク、あるいは全国規模の、何かひとつの行動を起こしていくためのネットワークである移動サービス市民活動全国ネットワークやチャイルドライン、社会教育施設ボランティア交流会です。こういう全国集会の後の成果として、そんなものが組織としても残っていったのだなあ、と感じました。
 いろいろな未来の風が全国集会の中で吹いていったわけですが、先ほどの政治の話などは、むしろ、しなくてはいけないのではなく、やっているうちに、先ほどの秋田の方もそうですが、その力が活用されざるを得なくなってきているんですよね。
加藤 そうですね。
石井 しなきゃいけないからやる、ということだけでなく、やっていることが必要になってきているという、両方の部分を感じます。
 では、少し会場の中から、何か未来の風を感じているとか、今回何か発見があったというような方がいらっしゃれば、発言していただけるとありがたいのですが・・・。こんにちは。
山口 こんにちは。佐賀から来ました山口と申します。行政職員なんですが、最初に行政の担当として仕事を始める前に、この全V研に関わったことで、少しボランティアとかNPOについて、わかったのではないかと思います。この全V研なしでまっすぐに担当していたら、何かすごく勘違いをして、行政でどんどん推進して、変な方向に持っていってしまっているのではないかな、と感じました。
 たぶん全国でいろいろな行政が、いろいろな形で協働したり支援していると思いますが、そのあたりを、うまく流されないように、NPOとかボランティアの自立を考えていくためには、こうやって全国の方と直接会って話をするというのは、一番良いと感じています。ですから、今回終わるというのも、ちょっとどうかな、さびしいな、と感じているところです。以上です。
加藤 ありがとうございます。
金子 栃木県の佐野市から来ました金子と申します。分科会で温海町に行ってきました。ボランティアの大切なところというと、自発性というか、自分の意志で動くということだと思うのですが、温海町には私の想像を絶する自治があり、自分たちでお金を出し合って、自分たちで運営している公民館がありました。自治を学ぶためには、本物の自治がある温海町にぜひ来てほしいと思います。
加藤 温海町の自治公民館のことは、日本中の公民館のことを研究している方も「知らなかった」とおっしゃっていまして、ちょっと注目ではないでしょうか。地域の自治ということと、公民館活動、社会教育活動が一致しているというのは非常に大切なことではないかと思います。私もそのうちお邪魔したいです。
石井 分科会に出かけた場自体に、未来の風を感じたというお話でしたね。
加藤 そうですね。今の自治なんていうのは、本当に未来の風のひとつとして大きいと思います。
笠原 今回はじめて、群馬県から参加しました。ITの分科会に参加しました。本当に今後大事な情報発信の場として、自分たちでがんばっていかなきゃいけないと感じました。ボランティア・センターに勤めている職員ですが、そういう意味でのがんばりもあるな、と思いました。人間と人間をつなぐ、ひとつの手段として、自分は大変勉強になりました。
加藤 ITも未来をつなぐ、人と人を本当につなぐように使わないといかんですね。人がつながれてしまったり、変なものにつながれないようにしないと。
石井 全V研というのは、人と人がつながり合うきっかけの場であったというのは、先ほどの壇上のコメントでもたくさんありましたね。あと、機能として果たしていた役割で書き留めさせてもらったのは、全V研が学ぶ場を循環させていく仕組みだった、人格変革が起きるような出会いの場だった、それから全国のリーダーを育成する場だった、こんなようなことも出ていて、今回の成果の中で、そういうものを受け止めてくださった方もいらっしゃるのかなと思います。
岡部 酒田の岡部です。今回はじめて関わって、実行委員もさせていただきました。分科会で発表するのも、だいたい、7、8ヶ月前から準備をしまして、この際、新しいことを研究してみようと、メンバーたちがやったことないことをやりました。そういうチャレンジの場だったということもあるのかなと、私は思います。
石井 チャレンジすることによって、変わっていく。そんな感じですかね。
 
これからのアクション
石井 ではそろそろ、感じたではなく、これからどうしていくのか。I wishについて聞きたいと思いますが、加藤さんはどうなんですか?
加藤 いえいえ、それを言われてしまうと・・・。会場の方にも聞きたいのですが。これから私が、という思いをそれぞれが抱いていらっしゃると思うのです。
 私は、さきほど表舞台と言いましたが、大きな海の中で、私たちおさかながピチピチといっぱい跳ねているような、ボランティアの海というのを考えたいと思っています。ただし、海ばかりではなく、陸地をつくらないとまずいところもありまして、地球は陸地も造ったのです。神様が造ったのかもしれません。
 そして、今までは、陸地と灯台はみんな行政がやっていたという感じがしています。ですが、これからは、ボランティアもまた、小さな島でいいですけれども、陸地をつくり、陸地と陸地をつなぎ、かつ、やはり海でいつも泳ぐというイメージを考えたいと思います。つまり、組織と個人の関係が、ある意味でこれからますます問われる時代になる。私は、あえてそういう領域に踏み込む必要があると考えて、NPOセンターをやっています。それはまた、不安も問題もたくさん抱えると思いますけれども、同時に、ボランティアの海に支えられ続けないといけない。それを忘れて、陸に上がったまま、どうも人間、海を忘れているかもしれません。そういう気持ちを持っています。
石井 ありがとうございます。私は、先ほどの加藤さんのキーワードでいうと、協働、そして事業化。そういうものがきちんと人を活かすものになるような、そんな場づくりを自分としてはやっていきたいと思っています。
加藤 石井さんはよく間をつなぐ、とおっしゃっていますね。
石井 その力が上がっていくところをいっしょにつくるというようなことはすごく好きなので、全V研がなくなるという話がありますが、もし、これで風が吹いて、何かつくっていこう、というような声がある時には、私にも届けていただければ、そこで何か、風がそよぐところのお手伝いも続けていきたいという気持ちがあります。
 では、ちょっとしか時間がないですが、会場の方で、これから私は、というところで何かあればお聞かせいただきたいのですが。
桧山 ちょっと話を変えてしまうと思うのですが、ごめんなさい。今回は、ボランティア一揆、未来への風ということで、1日目から参加しているのですが、今後のボランティアのビジョンというのがちょっとよく感じられないのです。今回参加して、年配の方が非常に多いという感じを受けています。どこのグループでも若者が入ってこないということを感じていると思うのですが、この大会に参加して、非常に強く感じます。こんな状態で未来への風なんかあるのでしょうか。
加藤 鋭いご指摘ですね。こういう意見が出てくるところが必要ですね。石井さん、若者として答えてあげてください。
石井 元若者ですが・・・。今日の舞台などは、今のご意見に反論したくなるようなところもあったと思うのですが。
 では、私どもの時間はそろそろということで。
加藤 大事な問題提起だと思います。ありがとうございます。みんなで、何か理論的なビジョンを見せるわけではなかったけれども、本当はやはり、集まった人の姿で未来が見える、未来の風だというのが理想的だと思いますので、そろそろ年取った私は退場しましょう。
斎藤 ありがとうございます。今こうやって聞いていると、全V研が終わるのはさみしいです、続けてくださいと壇上でも言われましたし、会った人にもみんなに言われます。初日から、なんでやめるの?と言う声をずっと聞いていました。
 この全国集会は1970年にスタートしました。最初は事務局主導でつくっていったわけですが、徐々にボランティアがつくる集会として、今で言えば運営委員の方々が企画・運営をしていくという形になり、だんだん地域に入っていって、地域で集会を開くようにもなりました。そして、第5回から、ブロック別のボランティア研究集会というのも開催してきたわけです。そうやって、いろいろな分野、さまざまな地域の人たちが互いに出会うという仕掛け、場を、この全国集会はつくってきた、という実感があります。
 
JYVAのこれから
 それでは、なぜやめるのか。日本青年奉仕協会は、今年35年を迎えました。そしていろいろな方々に意見を求めて、今後どうすればよいのかを検討した結果、青少年のボランティア活動を応援することに重点をおくことになりました。そのときに、予算やスタッフなど、限られた資源をどう使うかという問題があるわけです。
 ボランティアが集い、創る、この全国集会は大事な事業だということは我々も認識しているのですが、限られたものをどう使っていくか、ということを考えたとき、若者たちの活動を応援していきたい、そして、若者たちの活動を応援する市民の学びの場とかネットワークの場をつくっていくことに力を注ぎたいということで、ギアチェンジすることになりました。
 こういう場をつくってきて、なんでやめるの? さみしいよ、という気持ちは、皆さん同様私自身にもあります。しかし、新しい時代の流れの中で、組織が何を重点化していくのか、ということで考え抜いた結果であることをご理解いただきたいと思います。
 なぜ中途半端な34回なの?と言う人もいます。やめるなら35回でやめたら?とも言われました。でも、ギアチェンジを早くしないと次の準備ができないので、決断をしたということです。
 34回を振り返ったスライドショーを見ながら、本当に全V研は時代を投影してきたなあと思いました。ある意味では、先取りをした部分もあるかもしれないし、後追いをした部分もあるかもしれないけれども、この集会をつくったのは、地元の実行委員でもないし、全国の運営委員でもない。この集会に関わった一人ひとり、参加費を払ってくださった方々、また、この集会を陰で応援して下さった方々が、この集会をつくっているわけです。JYVAは、今回で幕を下ろしますけれども、今度は皆さんがどうやっていくのかにかかっていると思います。
 さきほどの石井さんの話でもありましたが、移動サービスの全国ネットワークやチャイルドラインなど、いくつかの動きがここから出ています。また地域単位の動きも出ているわけです。今日でこの集会は終わりますが、皆さん自身が新しい動き、風を吹かす人間になっていただきたいと思います。
 日本青年奉仕協会は若者の応援をしていきます。財政的には苦しいですが、それをなんとかしのぎながら、子どもたちが自立して主体的に生きられるように応援をしていきたいと思っています。この全国集会で培ってきた皆さんとの関係を、今後の事業の中で活かしていきたいと願っております。
 初日に「雪の降る町を」を聞きました。最後のフレーズ、皆さん、覚えてますか?「新しき、光降る鐘の音」でした。まもなく今度は、ここ酒田で「夜明けの歌」が歌われます。光り輝く町をつくって、夜明けを目指していきたい。「夜明けの歌」の最後に、「夜明けの歌よ、私の心に思い出させるふるさとの空」というのがあります。
 実は私、この酒田で育ったんです。だから、郷里に錦を飾ると言ってくれた奴もいます。最後で錦というわけではないですし、出身地でこの集会を終わるということで、さびしい部分もありますが、笑顔で、またどこかでお会いしたいということで、私のコーナーは終わらせていただきます。どうもありがとうございました(拍手)。
 
〔録音テープをもとに、事務局の責任でまとめました〕
 
2001年
1月9日 準備委員会
2月10日〜12日 全国ボランティア研究集会・佐賀集会
2月27日 準備委員会
3月22日 実行委員会
4月20日 役員会
5月22日 役員会
5月30日 実行委員会
6月27日 役員会
7月26日 実行委員会
9月3日 事務局会議
10月15日 事務局会議
10月25日 実行委員会
11月8日 実行委員会
12月7日 実行委員会
 
2002年
1月8日 役員会
1月18日 事務局会議
1月23日 実行委員会(昼夜2回)
2月9日〜11日 全国ボランティア研究集会・岐阜集会
2月24日 プレ集会
3月6日 役員会
4月16日 事務局会議
4月19日 役員会
5月19日 実行委員会
5月22日 実行委員会
6月1日〜2日 実行委員会・全国運営委員会合同会議
7月1日 役員会
7月14日 役員会
7月23日 実行委員会
8月7日 役員会
8月27日 実行委員会
9月1日 実行委員研修会
9月15日 役員会
9月24日 役員会
10月11日 役員会
10月31日 実行委員会
11月14日 実行委員会
12月3日 役員会
12月30日 役員会、事務局会議
 
2003年
1月11日 実行委員会、スタッフ研修会
2月1日 事務局会議
2月5日 事務局会議
2月9日 実行委員会・全国運営委員会合同会議
2月9日〜11日 全国ボランティア研究集会・山形県庄内集会







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