[活動プログラム]
2002.9月〜2002.12月
Piko・poko CLUB
子どもの口・歯の健康を守り育てるために
講師/九州歯科大予防歯科 濱嵜 朋子氏
参加者:大人8名 子ども同室3名 別室託児5名
タイムスケジュール:
時間 |
進行 |
備考 |
12:30 |
受付開始 |
講師到着 |
13:00 |
講師 濱嵜 朋子氏ご紹介 |
(レジュメ用意) |
13:10 |
歯科講習 |
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14:00 |
休憩(PIKO・POKO ビデオ紹介) |
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14:10 |
質疑応答(会場の皆さんと座談会形式) |
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14:30 |
診察・歯科相談 |
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14:50 |
九州歯科大病院PR |
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15:10 |
終了 |
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[子どものむし歯はお母さんの責任ですか?]
むし歯があることはわかっているし、歯医者に行かなければならないことも、予防が大切なこともわかっています。でも、子どもが熱を出したといっては日ごとを休むことも多いのに、むし歯予防のために仕事を休むなんてことを言ったら職場を追われるはめになってしまいます。それに一日の仕事が終わって大急ぎで子どもを迎えに行って、うちに帰って大急ぎで夕食の支度をしても、子どもはおなかがすいてぐずります。夕食が出来る少しの時間、お菓子でなだめることもいけないのですか?家事も仕事も育児も全部わたしの負担。そのうえ歯磨きもむし歯もわたしのせいなのですか?
[今の歯科医療の問題点]
削って詰める=治ったわけではない。 原因療法ではなく対症療法
「何が原因でむし歯になったのか」 考えていない
「早期発見・早期治療」→予防より治療を優先
原因に対する診断・処置の欠如 健全歯質を削除している可能性
過剰治療の危険性 予防拡大=オーバートリートメント 「見守る医療」が忘れられている
歯科医師側の情報提供不足 親 とりあえず何かをしなければ不安
むし歯に関係する原因
むし歯の原因菌の種類と量(ミュータンス菌・乳酸桿菌)
プラークコントロール 食生活(飲食回数) 唾液の量 唾液の緩衛能 フッ素の使用
[ミュータンス菌の母から子への感染]
感染の窓
ミュータンス菌のほとんどは19ヶ月から31ヶ月(2歳前後)に定着する
母親の口腔内のミュータンス菌が多ければ多いほど感染率が高い
母親の口腔を清潔(食事指導、専門家による口腔清掃、口腔衛生指導、むし歯の処置、フッ素塗布)にすることで子どもへの感染を減少できる
ミュータンス菌の感染を少なくするためには、妊婦や出産後の女性に対する健康教育が必要
[3歳までのむし歯予防のポイント]
食事(おやつ)の時間をあける
甘いものに限らず、食事をすると口の中は酸性に傾き脱灰(歯が溶ける)がおこります。しかし時間がたてば唾液との再石灰化により歯が修復されます。食事の時間がきちんと決まっていれば甘いものを食べてもむし歯は防ぐことが出来ます。また、寝ている間は唾液がほとんど出ませんので生石灰化がおこりにくくなります。そのため、寝る前に物を食べるとむし歯になりやすいのです。
図1 飲食とpHの変化
図3 2歳8か月で虫歯10本のB君の食習慣
ちいさいなかま411号より転載
人によってむし歯の原因菌の数は違います。3歳ぐらいから簡単に調べることが出来ます。自分の口の中の状態を知ることもむし歯予防には大切です。
[フッ素] 低濃度のものを毎日家庭で使用すると効果的
フッ素のもつ「効果」と「害」について出来るだけの情報を提供し、それによって判断してもらう
どのようにフッ素を使えばよいか個人のむし歯のなりやすさの診断に基づいて判断
[キシリトール]
キシリトールは天然の炭水化物で高い安全性がある。
むし歯を起こす細菌がこれらを利用して酸をつくれない
プラークの歯面への付着性を減少させる(簡単に除去できる)
プラークの量を減少させる ミュータンス菌の現象
母親がキシリトールガムを使用すると、母から子へのミュータンス菌の伝播が阻害され子どものむし歯を予防する
感想:治療ではなく、予防するために食生活の飲食回数を改善することがとても重要だとわかった。脱灰と再石灰化のバランスでむし歯が出来るのだと知った。
〜乳幼児期のむし歯予防と食生活の関わり治療ではなく予防を目的とした歯科医院との関わり方〜を教えていただきました。
大学病院は、だれでも気軽に行ける身近なものだと感じました。
最後に、子どもの歯科診断をしていただきました。有意義な時間をありがとうございました。
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