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未来のメカニックに屋根のある教室を!
対象地域:ホンジュラス
申請隊員:徳内 ゆき(平成13年度1次隊・家政)
 
申請内容:
 ホンジュラスの公立高校では、慢性的な資金不足で教室が不足している。
 隊員の活動する技術中等学校でも、200名以上の生徒を抱える自動車科では、一つしかない実習室に常時3〜4学年の生徒がひしめき合い、溢れた生徒は鶏の飼育室や木陰を利用して授業を行っている。
 3年前より、生徒たちが実習棟建築に力を入れているが、材料が購入できず作業が滞っている。実習棟の完成により学習環境が改善されることで、より質の高い授業と技術者育成が期待される。
 支援金使途:屋根設置にかかる材料費等
 
活動の経過と報告:
 2月の新学期開始時から、材料の買い付け、搬入を始め、3月に自動車部高等部の3年生がグループごとに作業を開始した。約2週間で屋根の取り付けが完了し、雨どいの整備、作業場の床の地ならしなど、すべて手作業で行った。
 生徒と職員が協力して作業を行ったが、専門の技術者ではなく、重機などを利用できないため予想以上に時間を要したが、完成に近づいていく作業場のようすを目の当たりにして、生徒たちも意欲的に作業をしていた。最初に屋根の取り付けが終わった作業場の利用も開始され、直射日光やスコールにさらされることなく学習できるようになった。
 その後、専門知識なく取り付けた雨どいが雨季の激しいスコールで壊れ、床がぬかるんでセメントが敷けなくなったり、校長のセメント不正使用事件が起きるなどで作業は難航した。そこで10月末に生徒と集会を持ち、1〜2年生50人と休日返上で作業することを決め、7時から17時まで全力で作業にあたり、3日間で全て完成した。
 生徒たちが休む間も惜しんで作業している姿は感動的であった。普段は自分たちのことを怠け者だと言っているが、この作業を通して「協力し、汗して働くことの喜び」を感じることができたであろうことが何より嬉しい。また、教員と生徒の姿に校長も心を動かされたようで、学校の予算からセメントを買う費用を捻出し、残りの作業を年内に完成することになった。
 今後は、自分たちの力で状況を改善した経験から、快適な学習の場を確保し、大切に維持管理できると思う。今回作った作業場の一部で、教師たちが外部からの修理を請け負い、今後の資金として活用していく予定もある。
 
 
 







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