(4)前航海までの航走水温データリスト表示
海域毎のデータ表示ページ末にある「過去」の項目を選択すると,閲覧していた海域の前航海までに観測した月日のリストが表示される(図13)。なお,全体の表示イメージは図13右のとおりである。
図13
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携帯電話で過去データのリストを 表示したイメージ (左:表示画面(スクロール) 右:全表示) |
(5)前航海の航走水温のデータ表示
閲覧したい前航海の月日を選択すると,航走水温データが表示される(図14)。なお,全体の表示イメージは図14右のとおりである。
海域毎に表示される内容は,以下のとおりである。
・ 海域名:【 】で表示
・ 観測年月日:西暦で表示
・ 緯度:4桁で表示(上2桁が度,下2桁が分(60進))
・ 経度:5桁で表示(上3桁が度,下2桁が分(60進))
・ 水温:小数点1桁まで表示
図14
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携帯電話で過去データを表示したイメージ (左:表示画面(スクロール) 右:全表示) |
(6)前航海の航走水温のグラフ表示
海域毎のデータ表示ページ末にある「グラフ」の項目を選択すると,閲覧していた海域の航走水温データがグラフで表示される(図15)。なお,全体の表示イメージは図15右のとおりである。
グラフは,横軸が水温(℃),縦軸が経度で表示され,閲覧していた航走水温が“赤ライン”,前航海の航走水温が“青ライン”で表示される。初代インターネット対応端末では,全体を表示することはできないが,縦にスクロールすることにより概ね必要とする海域の情報が閲覧できる。
図15
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携帯電話で過去データのグラフを表示したイメージ (左:表示画面(スクロール) 右:全表示) |
(7)問い合わせ
本システムに関する問い合わせ先として,各ホームページ末にある中央水産研究所「秋山秀樹」氏を選択すると,携帯電話の電子メール機能が作動して,その場から用件が送信できるようにした。
5. まとめ
本業務では,JAFICが近年継続的に商船フェリーから収集している水温情報を用いて,広範囲にわたる日本南岸黒潮域の海洋変動を把握するための沖合海洋情報流通システムの試作品を開発した。
本システムの基本設計方針は,多くの利用者がパソコンや携帯電話でインターネットに接続して,海洋情報データベースに登録された定期商船フェリーの航走水温データをメニュー・対話形式で迅速に簡便に図表や数値を閲覧することができるシステムとした。
パソコンを利用した沖合海洋情報流通システムの主な機能は,以下の通りである。
(1)1往復を単位として,航走水温を緯度方向と経度方向のグラフを示すとともに,航跡図も合わせて閲覧できる機能を開発した。
(2)中・長期的な経過をみるため,経度方向からみた時系列解析図を閲覧できる機能を開発した。
(3)航路範囲を8海域に区分して湾・灘別に航走水温の数値データを閲覧できる機能を開発した。これにより湾や灘,またその周辺海域の海洋変動を詳細に把握することが可能となった。なお,この内容は携帯電話を利用して情報提供を受けることができる。
(4)これらにより,数日間の短期的な海洋変動から数ヶ月の季節変化,数年単位の長期的な変動のモニタリングが容易になった。
携帯電話を利用した沖合海洋情報流通システムの主な機能は,以下の通りである。
(1)携帯電話は受信できる容量が少ないために,航路範囲を8海域に区分して湾や灘別に作成することにより,航走水温の数値データを迅速に閲覧できる機能を開発した。
(2)前航海のデータと比較した経度方向の航走水温グラフも閲覧できる機能を開発した。
(3)これらにより,湾や灘またその周辺海域の海洋変動を沿岸漁業者や洋上で調査する研究者等に詳細に迅速に情報提供することが可能となった。
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