八甲田山系の鮭鱒族について
関野哲雄
八甲田連峰を水源とする八甲田山系の鮭鱒族は、魚止めの滝あるいは八甲田山系に多い酸性水の流入により遮断された上流域以外はエゾイワナ(アメマス)が生息している。
また、蔦温泉周辺に散在する小型の湖沼群にもエゾイワナが生息している。しかしこの湖沼群の中で最も水深のある蔦沼には、種苗の放流により小型ながらヒメマスが生息しており漁業権も設定されている。
日本のイワナ属の分類については、諸説がありまだ定説には至っていないと思うが、北日本に棲んでいるイワナはエゾイワナと記載されていることが多いことから、八甲田山のイワナもエゾイワナ(アメマス)と記載した。
しかし、かつて降海性のアメマスと河川に棲むエゾイワナはどんな関係にあるのだろうと疑問をもったことがあった。このため、アメマスの溯上する河川と八甲田山の標高1,000m以上で下流の魚止めの滝や酸性水の流入により生態的に隔離されている(かつて移植されていないと思われる)最上流の支流のイワナ(いずれも2歳魚以上)を馴致なしに海水飼育したことがある。この結果、この両方のイワナが、その後順調にできたので、八甲田のイワナも長い隔離の間でも強い降海性を維持しており、エゾイワナ(アメマス)で良いのではないかと考えている。
写真-1: 八甲田水系のイワナ捕獲時
捕獲場所:奥入瀬川水系 睡蓮川 捕獲日時:1972年(昭和47年)6月4日 |
写真-2: |
捕獲したイワナを1ヶ月海水飼育したもの |
飼育場所:青森県水産増殖センター 撮影日時:1972年(昭和47年)7月6日 体長:183mm 体重:156g |
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