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O-B: ソガベツ川(プティッチヤ川Ptich'ya)。7月24日調査。河口部に高さ10mのソガベツの滝がありすぐに海に注ぎ込む。流量は非常に多い。滝つぼは直径50mで、カラフトマスが数百の単位で群れる。岸辺にはヒグマやオジロワシの痕跡多い。滝の上流の状況は不明。採餌環境としては申し分ない。シマフクロウ生息の可能性が極めて高い。森林は広葉樹の多い針広混交林。
 
O-C: ポロシラッチセ川(地形図川名表記なし。ロシア語不明)およびポンシラッチセ川(地形図川名表記なし。マーリイ川Malyy)。7月22日現地調査。いずれも河口部での川幅3m程度のあまり流量の大きくない河川である。ポロシラッチセ河口にキャンプ地設営。オンコツ地域0-Aでは森林が海岸線まで迫るが、西ビロク湖以東では海岸線から森林帯まで数kmの草原丘陵になる。また、森林帯はすぐに太平洋側海岸に達する。踏査では森林帯まで達しなかったため森林帯の環境は不明だが、遠景ではトドマツの多い森林。草原帯や河口部はシマフクロウが生息する環境に無い。
 
ポロシラッチセ付近の草原丘陵
 
 
ソガベツの滝
 
IV 営巣木周辺樹木調査
1. 調査地点および方法
 シマフクロウの営巣環境を把握するために、セオイ川旧営巣木地点(河口から約1.5km)で簡易樹木調査を行った。営巣木から最も近い右岸台地上の針葉樹タイガ(ねぐら)まで100m×20mのベルトを設定した。
 
2. 地形と植生の概観
 営巣木はセオイ川河岸に立地している(オオバヤナギ、DBH118cm、樹高18m、樹洞高3.5m、樹洞内径50×60cm、川から1m)。調査地点の川幅は5mであったが、植物の生えていないレキ地がさらに10m幅である。水面から比高約1mの自然堤防上にはオオバヤナギが立地する。オオバヤナギは特に左岸側3本で太くいずれもDBH80cm以上(avg.95.0cm)である。樹高は14-18m(avg.16.0m)。右岸側オオバヤナギ4本はDBH20-65cm(avg.48cm)、樹高7-20m(avg.14.3m)。左岸側には他にヤナギsp.(DBH6-14cm、樹高3-7m、n=6)がまとまって生えるが、オオバヤナギよりやや地面の低いところに立地する。右岸側は河岸のオオバヤナギの外にケヤマハンノキ(DBH15-50cm、樹高5-13m、n=6)が優占する。右岸河畔林帯は約20m。河畔林の外にエゾリュウキンカに覆われた幅6mの旧河道があり、その外に幅20mの高茎草本の草地(ハンゴンソウ、イラクサ、ヨブスマソウ、オニシモツケ、フキ、アザミなど)と幅6mのヨシ帯(ヨシ、バイケイソウ)が成立する。その外にヨシ帯から比高1mの段丘がありトドマツを主体とするタイガが始まる。トドマツは密生し、DBH8-40cm(avg.19.8cm)、樹高4-18m(avg.12.3m)である。タイガにはわずかにエゾマツとダケカンバも混じる。
 
 







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