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4. 第4分科会 情報の協働
課題提起者 天野 竹行 氏(NPO愛知ネット)
ファシリテーター 中川 和之氏(時事通信社/日本地震学会)
パネリスト 阿部 好一 氏(ケーブルネット鈴鹿)
パネリスト 塚本 高士 氏(静岡県防災局)
パネリスト 市川 啓一 氏(レスキューナウ・ドット・ネット)
中川氏
今日は情報の協働というテーマです。よく言われるのは情報の「共有」。今日はあえて「共有」ではなく「協働」になっているところがミソだと思っています。この場は、災害Vネットあいちで考えられている情報の仕組みの提案を頭において、議論の足場にしながら発展していければと思っています。
天野氏
NPO愛知ネットの天野です。
災害の情報でボランティアたちにとって必要なのは、正確な被害状況や、自分たちが何処に行き、何をすればいいのかという「生きた情報」です。
災害情報というのは、時間の経過で変わっていくと同時に、情報の内容や発信対象も変化していく。災害時に一番気になるのが、家族との連絡方法、つまり安否確認です。代表されるのが、電話で安否確認ができる「災害用伝言ダイヤル171」です。またインターネットでできる安否確認にIAAというシステムがあります。私たちはこの安否確認の新しい方式というのを考えてみました。今後は地図を導入していこうと考えている。
これをやっていく上で、誰もがいつでも使えるということを考えると、平時からの活用というのが重要になってきます。それが災害時にかならず生きてくる。携帯電話という便利なツールを使い、日頃から使わなければならない理由を設定する事が条件になります。平時に利用しているものが、災害時同じ仕組みで切り替わるというのが、今回の特徴になります。
まず仕組みを作って、具体的な協働のありかたを考えていきたい。どのような仕組みかといいますと、地図を中心とした情報表現ができること。地域を全体的に見られるようにする地域ポータル型にすること。
ポータル的なページは、災害時は赤色の構成のページで表示し、平時は青色の構成のページで表示する。レイアウトは平時・災害時に変わらなくする事で使いやすくする事が出来る。コンテンツとしては、その中に安否確認のために必要な情報、外国人、身体障害者方々の情報、避難所運営における情報、被災者が安心できるための情報などが必要になってくる。
情報の登録は、一般の人も情報提供者でいますが、名前、暗証番号やメールアドレスなどを含めて、日ごろから顔の見える関係の方が情報を提供しているということで、情報の信頼度が上がる。確認の取れない情報においては発信者の素性などが重要視されて「あの人の言う事なら」という形の信頼感が重要です。
そのような観点から、被災地からの情報はどんな仕組みが必要か、被災地となりうるわれわれが今しておかなければならない仕組みとは、全国の人たちとどのように協働していくのかこのあたりを今日はご意見いただきたいです。
中川氏
ここからは、パネラーの方にご自身の活動や災害と情報へのかかわりと、今の提案に対するコメントをお願いします。
塚本氏
静岡県防災局の塚本です。私は静岡県の防災政策室というところにいます。
災害時の情報について少し整理してみました。発災直後は、安否確認からライフラインの復旧、医療関係など、そういった緊急な情報が主流になっています。時間がたつにつれ、いろいろなサービス、ペットやごみに移り、やがてもっと生活の復興ということで、住宅の再建など、そういったことに情報の発信をしていくという流れです。
そもそも、問題意識として、行政の情報とボランティアの情報は基本的にかなり違うのではないでしょうか。行政の場合は、とにかくまず確実な情報、ある程度広い範囲の情報を網羅的に集めて情報を発表します。ですから確実な情報であっても、残念ながら、結論を言いますと遅い、あるいはあまりにもマクロの情報であるということで、生活に密着した情報は、なかなか提供できない。情報の発信もマスコミのフィルターを通しますので、マスコミのウェイトのかけ方によって、またそれも偏ってしまうことがある。
それに対して、災害ボランティアが活動する時や住民が身近に欲しい情報、発信したい情報というのがあるのですが、こういったものは早く、また、一つ一つがミクロの生活に密着した情報ということで、発信したり、収集するシステムが欠けているのではないか。そういったところを担っていくシステムが必要。
今天野さんのプレゼンの話、まさにこういった仕組みそのものに感じます。
皆さんが大きな災害が起きたとき、ボランティアで活動したいと思ったとき、それを見て活動するとすれば、その情報が信頼できるものでなくてはいけない。そこで少し行政が支援すべきところがあるのではないかということから、静岡県で専用のサーバーを設置しまして、そこへ東海地震ドットネットというサイトを作って、災害ポータルサイトという形での運営を開始しました。公設民営的な取り組みで運営していきたい。まだまだ課題がありまして、それを運営していくボランティアの組織、これは人と人とのつながりが一番に重要ですので、そこはもう少しきちっと育てていかなければいけない。それが、今最大の課題です。
今、私が持っている問題意識なんですけども、こういった形で民間レベルでのボランティアの情報と行政が持っている情報、一応区分けはしたんですけども、それがもう少し連携が取れないか、具体的に言えば行政もそういった民間レベルの情報を取り込むような仕組みがもっとあってもいいのではないかと、あるいは今、情報は行政としてはなるべく提供していこうという方向になっていますので、お互いの情報の相互交流といったことがもう少しできないのかなということがあります。
中川氏
続いて阿部さんには、これまで鈴鹿災害ボランティアネットワークとしての立場もありますけども、CATVの社長としてやってこられたことの経験を踏まえてからも、情報についてお話をお願いします。
阿部氏
阿部です。情報過敏症ということを気にしています。
日頃災害事例の研究などをして、自分の想像力を豊かなものにしていく努力が大切ではないかと思っています。災害には、シナリオがありません。時も場所も分かりません。人と人が出会い、知り合うことも、広い意味では情報です。知り合った人と協働の関係を結ぶことが災害対策にとってはきわめて大事だと考えます。
ケーブルテレビをまかされて鈴鹿に赴任した半年後に、阪神・淡路大震災が起こりました。それがきっかけで、災害ボランティアをはじめました。鈴鹿でスタートした活動が三重県に広まり、さらに全国組織になっていきました。
情報っていうのは誰に聞けばそれがよくわかるか、聞いた相手が信頼のおける人であるかを考え、得た情報をどういうふうにイマジネーションして理解したらいいかという、その辺が大事だと思います。
三重県で歴史街道フェスタというのをやりまして、土日で15万人くらいの来場者がありました。そこにボランティアセンターをつくりました。イベントを災害に見立ててやりましょう、と。そうしますと、11時くらいには、トイレがつまったとか、ドアが閉まらないとか、トイレ情報が多く出てきました。そのときふっと思ったのですが15万人来るのに、トイレが4つしかない。これは午後1時くらいになったらどうなるのかと心配になりました。
トイレの業者は、たった4人しかきてなかった。
これは大変だということで、20人のボランティアをトイレ係にしまして、ちり紙の交換から、人の流れのコントロール、遠く離れたトイレへの誘導をする体制を作りました。実は、そういうことをやっていなかったら大変な騒ぎになっていたのですが、無事に切り抜けられました。
私にはひとつの体験があったんです。
私は幕張メッセの開設委員でした。華々しくオープンした時、新聞記事を期待しました。ところが朝日新聞がトイレの前に人が並んでいる写真を載せ、トイレが足りないと悪評です。その悔しい思い出が頭にあったものですから、ひらめきが出てきたんです。これは過去の体験がイマジネーションを呼び覚ました事例です。
私はケーブルテレビを経営して、防災の30秒ワンポイントレッスンという番組を流しています。それをしょっちゅう流して、日常的に人間の体に刷り込ましてしまおうと考えてやっています。
なにかあったら、あの時、聞いたなと思い出して、すぐ体が動くということが必要です。
中川氏
続いてレスキューナウの市川さんには、レスキューナウという会社の発足から、災害とどういう付き合いをしてきたかもお話お願いします。
市川氏
レスキューナウ市川と申します。簡単に会社の紹介からお話します。今から3年前の2000年4月で、有珠山の噴火した翌日が、会社を設立した日でした。会社を作った目的は、阪神・淡路大震災の当時、私は、特に阪神ともゆかりもなく、防災とも関係なく、ただテレビを見てこれはえらいことだなと、心が痛んで自分も何とかしたい、でもどこへ行けばいいのか、何を持っていけばいいのか。大変だというのはわかるのですが、どうしていいのかわからなかったというのが当時の思いでした。
現地では大変な何十万人の人たちが苦しんでいて、大変な情報がそこにはあって、また多くの助けて欲しいというニーズもある。ところがこれがどう伝わってくるかというと、上へ上へとだんだん情報が吸い上げられてくる中で、情報が要約されていく。そういう要約された情報がマスなメディアに載って、マスである一般の人あるいは日本中、世界中の人たちがその情報をそう意味では共有していくわけです。
実際の災害時の救援活動は誰が行っているかというと、ほとんどが市民、民間、あるいは会社の人、地域住民、家族とかが行っているわけでして、ところがそういう活動を支援するための情報がそこにはない。私自身も動きたかったのに動けなかったのですから、現地に家族や親族のいる方ですとか、自分の会社の支社や支店やお客様があるとか、これから活動しようという人のための、具体的な行動を取るための、支援する情報がマスなメディアではつかめなくって、欲しいのはどこで誰がどうなっているのか、何が必要なのか、自分はどこに行けばいいのか、何を持っていけばいいのか。
そうしたミクロの情報というのは、マスなメディアには載せられない。マスメディアを批判しているのではなくて、特質が違うので、全体像をいち早く伝えるにはマスメディアは最高ですが、行動を起こすためのミクロの情報というのはミクロのツールが必要です。
当時と違って、今はインターネットが普及してきて、インフラが整ってきたので、このミクロ情報を蓄積したり配信したりする仕組みを作っていこう、その分野で事業を起こしていこうという事で会社を作った次第です。
そうは言っても、普段から使っていないものを災害時に急に使おうと思っても使えない、ましてや社会全体で情報を共有していこうということですから、誰もがどこに情報があるとか、どこに情報を出せばいいとか、どうやって使えばいいとかわかっていなければいけない。それは災害用のものであってもしょうがない。
そこで私どもが行っているのが、災害のシステムを作るシステム屋ではなくて情報センターというのを持っていまして、大災害のときだけではなくて普段から電車が止まったとかフライトがどうなっているとか、大雨が降るとか、晴れるとか、どっかで地震があったとか、臨時火山情報がでたとか、こういう日常生活に何らかの影響を及ぼすような災いに関して、24時間、センターで集めて一人ひとりにいろんなメディアを通じて出していこうというのが、われわれの事業でございます。
これを、日ごろカーナビゲーションを通じて走っている場所に応じて、もし大雨警報が出るとそのカーナビ上で大雨警報が今走っている地域に出ましたよという、そんな情報を私どもお送りしていく。あるいは月額に200円で、携帯電話にご自分の地域とか、乗る電車とか指定いただくと、関係ある情報が選ばれて送られてくる。これも私どもが運営しています。
情報を出していくのはカーナビメーカーだったり、新聞社だったり、いろんなところがあって、その裏で最新の災害事情、最新のIT事情を組み合わせてどうすれば危機管理という情報を世の中に伝えていけるか、災害時にどういう仕組みをつくっていけるかということを事業として行っております。
ひとつだけ技術でご紹介しておきたいのはDLCという技術なんですが、こんな技術によって日ごろから災害の情報を集めて、そして一人一人に出しています。
安否の話、平時から生かしていく話ありましたけども、この辺をお手伝いしたいなと思っています。
中川氏
情報部会の方で、先ほど説明された部分に補足することや、今3人の方のお話に関連することでコメントをお願いしたい。
会場A氏
情報部会で一緒に考えていますAです。G市の職員で、防災担当のほうに地域防災計画のこと聞いていますと、情報の吸い上げだけで、双方での情報交換とか民間からの情報提供は載っていないという印象を受けました。
現在のところ、民間へ市から県などに送った情報を民間へ流すということは、実際問題無理だと防災担当は言っておりまして、その辺のところが防災、災害時という非常時であったらもう少し融通が利かないのかなと思いました。行政の情報をなるべく民間へ流す、民間が必要としている情報を行政が事前にこういう情報は民間のほうで必要ではないかと考える。そういう姿勢、そういったものが行政には必要ではないかなと思っています。
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