日本財団 図書館


3. 第3分科会 初動72時間の協働
課題提起者 松沢 秀俊 氏(中部防災ボランティア)
ファシリテーター 小村 隆史 氏(富士常葉大学講師)
パネリスト 田中 保三 氏(兵庫商会)
パネリスト 黒野 正裕 氏(名古屋市消防局)
パネリスト 村井 雅清 氏(震災がつなぐ全国ネットワーク)
 
小村氏
 さてよろしいでしょうか。ファシリテーターをおおせつかりました富士常葉大学の小村でございます。初動72時間の協働という話が出ておりますけれども、その前にわれわれが考えなくてはならないのは何かというと、東海、東南海、南海地震という、そういうようなものです。
 今日は、そのための仕掛けをたくさん用意させていただきました。(会場中央に大きな地図を置いてある;編者注)これは国土地理院発行の5万分の1の地図を張り合わしたものです。ここで書いてある地域は、富士山まで載っています。ここの端のほうです。東海地震にかかわる地震防災対策強化地域というのが、一応決められております。この強化地域のある程度の範囲は、一応この地図の中に東の方まで入っているいうことになります。8都県で263市町村がこの範囲です。
 ポイントは、地震とか津波とかは、自然にとってはもうごく当たり前のことであるということです。問題は、その自然の営みと人間の営みのペースが違うということ。したがって求められるのは賢く備えること。
 初動72時間ということが今日のテーマになっておりますが、72時間といってもそれだけで存在するわけではなく、命を守る段階、暮らしを守る段階、さらに暮らしと住まいを立て直す段階、大雑把に分けるとこれくらいの段階がある。実は、それ以前の災害が起こる前に、どれだけの仕込みができるかということが最も問われている。さらにいえば、初動72時間、協働とあります。お互いに命あっての問題のはず。
 えてして自分が無事かっていう、家族が無事かっていう話しがどっかにやられて議論が進められている。この2つの条件が満たされないで、他人に目が行くだろうか。普通はいきません。死んでしまったら救援活動はなくなる。
 東海地震に関する課題です。なぜ72時間?これはもともと災害医療でよく言われる議論。生き埋めになった方の生存救出が見込まれる時間帯として、72時間くらいと考えられている。ほぼ限界。この時間を過ぎると生存救出の可能性はなくなるだろうと考えられていて、それ以前に焦点を合わす。そこで、命を守るために各種の活動の段階として理解されているように思われています。
 この72時間の問題をどういう風にとらえるか。
 パネリストの方々に冒頭のプレゼンを踏まえて一言ずつお話を伺った上で、課題として松沢さんにやっていただきます。自己紹介も兼ねて。
田中氏
 神戸からまいりました田中保三です。
 先ほどの説明にありましたように、被災地でありながらやはりハード面では木造老朽家屋の耐震補強が進んでいないと、まったくすすんでいないといっていい。体験が生かされていないというのが現実です。ソフトの面ではコミュニティをどうしていくかということで、わが町御蔵5、6丁目の協議会の会長をしながらどうやって作っていくかを苦心しています。
黒野氏
 名古屋市消防局防災室の黒野です。
 名古屋に関していいますと、東海地震は最大で6弱です。これは立て付けの悪い建物以外は壊れない震度階です。その場合には、名古屋はいったいどういう風に、特にボランティアとして動くべきかわからない部分があります。その時、どうやって組織だってやるのかということが課題になってくるかもしれません。
村井氏
 神戸からきました村井です。被災地NGO協働センターのスタッフです。
 神戸の場合は、ほとんどといっていいほどあの地震の前、備えがなかったです。特に私たち市民に備えというのはほとんどなかったといえると思います。冒頭で小村さんが言われた備え、東海・東南海・南海の場合、今から考えられる。私たちの場合は備えてなかったけれども、皆さんの場合は今から考える。
 あれから5年くらい、日ごろの備えが大事ですよ、普段からの支えあい助け合いのコミュニティを作らなければだめですよと全国を廻って言ってきました。でも5年目のときに、専門家の方がいくら助け合いのコミュニティがあっても神戸は20秒で5000人の方が死んだんだよ、どうするのといわれました。それからずっと考えているのですけど、まだ私にとっては結論が出てません。
 備えの相手、誰に対して何に対して備えるのかを、それを誰が担うのかが大事なのかなと思っています。
松沢氏
 名古屋の松沢です。この第3分科会初動72時間の課題提起者をしています。
 この初動72時間では、災害時にボランティアは何ができるか、そしてその中で協働がどのように出来るかを討論していきたいので、これから皆さん宜しくお願いします。
小村氏
 72時間でどこまでできるだろうか。たとえば黒野さんは、備えがあろうとなかろうと対応しなければならないですね、立場的に。現実的には、備えなければならないことが何か、かなり明確にわかっている。
黒野氏
 私は防災の計画を立てる立場で、消防士ではないので、72時間で何をやるか具体的なイメージは持っていません。この分科会は、72時間に、たとえば全国から集まってくるボランティアが何ができるかってことが、皆さんの関心だと思います。
 私は、基本的には一般ボランティアが全国から集まってきてがやがやして救助するというのは、具体的には考えられないと思っている。消防、自衛隊は動き出すと思うけれども、ボランティアが救助とか命にかかわることが本当にやれるのかってことがよくわからないので、聞いてみたい。
松沢氏
 基本的には、ボランティアは自分が助からないと人を助けられない。
 だから自分が助かるように常に準備して物事に備える、日ごろからすぐ活動できる装備を準備することこそが災害には役立つ。災害72時間以内にすぐ持って行って役に立ち、すぐ救援活動をすることが出来る。今、この会場にはるばる北海道からAさんがこられていますので、一言お願いします。
 
事前打ち合わせ風景
 
会場A氏
 先ほどから言われているように、常に準備万端整えています。災害車両も持っていますし、備蓄食料も持っています。バイク隊も持っています。水難救助もできます。ボランティアの域を超えている。限界があります。ところが、ボランティアはいろんな形でいるわけですから、いかに連携していくかを考えています。そういうことをやるには、日ごろのコミュニケーションが大切です。それを日ごろからちゃんとやっていないと、これはやれません。今日は、静岡からも来ていますね。静岡でも同じようなことをやっていますから、そちらの話もどうぞ。
会場B氏
 静岡から来ましたBと申します。
 やはり人々、地域の住民の方々が生き残るすべを持っているかどうか。20秒間で命がなくなってしまった、そういう時に事前に備えているか、つまり、消防で言えば予防です。そういう部分で耐震診断をし、地盤診断をし、耐震補強し、さあその後ということを考えています。
 救急でも救助でも、大災害になったときには自分しかいない、自分の家族しかいない、また自分の家族を一番小さなコミュニティとして、家族をそれぞれで守ることができればいいのかということです。特に72時間の初動の時には、近くの人でなければ人の命は救えない。私が思うには、その地域のボランティアでしかその近くの人は救えないだろう。ましてや静岡の場合、川という川でほとんど寸断されます。そういった場合には、外から入ってきたくても隣接県までは入ってこれる。県庁のある静岡市に入ってくるのはえらいことです。
松沢氏
 続いて九州の島原から来られたCさんに一言お願いいたします。
会場C氏
 救急救命の講習会をやっているのですけども、まず、地域の中でお互いに助け合おう、自分自身が助かるためには隣の人に救急法をやってもらおうと取り組んでいます。消防とか自衛隊はプロですけども、大きな災害の時には絶対来ないと思ってください。来ないのだから、助け合うのは隣同士なんです。
小村氏
 いま、72時間モードで動けるのは自分の土地の人間だということですよね。
 ボランティアの定義、どういう風に考えていますか。つまりボランティアとして、一般的に作られる人、被災地の外から救援に入っていくというイメージがあって、被災地域の中でがんばっているものが別の名前がついている。
 静岡県の場合分けられていて、自主防災組織ということを強く言っている。
会場D氏
 静岡からきました。静岡県では、家族も含んで自主防災組織が組織されています。阪神・淡路大震災が起こったときには、ボランティアというのが120万とか130万とかの数字がありますけど、そういう方が、我先にという形で阪神を救わなくてはいけないと入ったわけです。
 それと同時に、私たちのように東海地震というのがずっと懸念されているところでは、たくさん各地から押し寄せてくる、支援にかけつけてくださる皆様を、地元の被災者の必要としているニーズと、支援する方々をうまく結び付けてうまくマッチさせようとしています。同時に、避難所の運営も地元では自分も被災者ですから、難しい部分もあります。そして行政と結ばれなければいけないというようなことを担うために、ボランティアコーディネーターが養成されました。
 でもこれって、みんな同じだなと気づきつつあります。ただ、その名前が違う。そういう風に、最近、考えています。一住民として考えたら、同じことだと思うのです。
小村氏
 ボランティアの定義、期待されている役割ってなんですか。
会場F氏
 地震が起きて他人のために何か支援をしていくって、基本的にボランティア。被災地での自主防災もボランティア。家族を助けるというのは一般的にボランティアではない。ボランティアというのはあいまいなものがあると思います。ボランティアと呼ばれる方や外部から駆けつける方をうまく調整する人が必要です。
会場G氏
 京都の丹後半島からきましたGと申します。丹後ボランティアネットです。
 応援しに来てくれる人がいたら手伝う。コーディネーションする。そうやって地元を守らなければいけない志願者が、丹後ボランティアネットでした。その周辺を支えてくれた、義援金を送ってくれたり、遠くから来て重油を回収してくれた、いわゆるボランティアがいた。コミュニティ意識を持った人間が中心にいて、周りに助けてもらったというのが私の経験だった。未だにボランティアしたという意識は、全くない。
 72時間に関しては、何していいのかわからない。何ができるかと思ったのですが、何ができるかわからない。
小村氏
 黒野さん、なんとなくイメージつかめましたか。
黒野氏
 私ども消防の職員は、実際に地震が起きた場合にどうするかというと、家族を守れ、っていうのは当然あって、その次は隣のおばあちゃんを救助することになるのではないかと思う。
 いったいどの時点からボランティアとして位置づけられるのでしょう。
 ボランティアには救助を専門にしていてどこにでもいけるという専門的なボランティアと、一般ボランティアの二つに分かれると思う。
小村氏
 黒野さんの意見の中に非常に重要な点が出てきました。1つはボランティアについてもいくつか区別が必要だということ。一般ボランティアと特殊技能を持ったボランティア、つまり、スキルドボランティアという技術を持ったボランティアと、技術を持っていないアンスキルドボランティアの2つがある。今ご指摘あったとおり。
 72時間って言うのは、基本的にはアンスキルド一般ボランティアをどういう風に受け入れたらいいのかってことが議論になっていて、技術を持っているボランティア医療、建築に関する人たちはそれなりに受け皿が用意されている。一般ボランティアと特殊技能を持っているボランティアは分けて考えるべきだろうし、特殊技能を持っている人はある意味、別枠で考えるべき。
会場H氏
 特殊技能の方や職人さんとかに学べることは学ぶことも大事かなと思います。縦横の連携を密にできる関係でありたい。特に地域密着型を大事にして。
会場I氏
 何に対して備えるのか、個人なのか、地域なのか。コミュニティの中には、古い木造住宅が多かったり、高齢者の一人暮らしが多いので、具体的にそこに何かできないかを考えています。専門の耐震診断をできるボランティアの方と、地域の中で中学生も含めて、お年寄りとお話しをしながら、具体的に進めています。家具の転倒防止なども行っている。専門知識を持っている人と地域のボランティアの人とつなげて、一緒にやっている。
小村氏
 専門と非専門を結んで地域の中に入っていって、弱者、潜在的な要救護者に対して力を貸してあげようという活動をやっていらっしゃる。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION