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2. 第2分科会 ボランティアセンターの協働
課題提起者 白石 憲邦 氏(愛知県防災ボランティアコーディネーター)
ファシリテーター 渥美 公秀 氏(大阪大学大学院助教授)
パネリスト 鷲見 修 氏(名古屋市社会福祉協議会)
パネリスト 杉浦 康之 氏(SeRV中京)
パネリスト 吉田 公男 氏(ハートネットふくしま)
 
渥美氏
 ボランティアセンターの協働ということで始めたいと思います。ファシリテーターを務めます渥美です。ボランティアセンターは、大変重要な話題です。今日は、こういうやり方があった、こんな反省ということを出し合っていきたいと思います。まず、体験談から話して頂きます。白石さんからの課題提起です。それをたたき台にしてそれぞれのパネラーの体験を織り交ぜていきます。
白石氏
 白石です。課題提起者と言うことですが、まず、災害Vネットあいちの報告書で「理想のボランティア支援本部とは?」という資料がありますので、ご覧ください。これは、東海豪雨のとき活動したコーディネーターが経験を踏まえた上で、反省点も含めて東海地震に備えるために提言した資料です。
 愛知県では公設民営のボランティア支援本部を設置する事になっています。
 広域災害ボランティア支援本部は、愛知県庁の中の災害対策本部の中に立ち上げられます。この役割は人、物資、活動資金のバックアップ、ボランティアやマスコミへの情報提供など、地域支援本部のバックグラウンドスタッフ的なことを担うことになります。民間団体、県庁との間に協定があって、災害が起これば、確実に広域ボランティア本部ができます。
 地域ボランティア本部の役割は、現状の把握と支援です。大規模災害の場合、行政が指定している避難所だけでなく、公園などに避難される方の避難所が誕生するので、そういうところの情報をボランティアが集める必要が生じます。
 「ボランティア支援本部の立地条件」。避難所に指定されていない公共施設で、被災地へのアクセスが容易、携帯、インターネットが使える、公共機関を利用できるなどです。少なくても4週間は借用できる施設です。
 「地域ボランティア支援本部に求められる機能」としては、ニーズ把握、ニーズ調整、ボランティアのケア、ボランティアの受付と保険加入、ボランティア活動備品の配布、事前オリエンテーションの実施、活動報告などがあります。
 「優先順位のつけかた」。東海豪雨のときに、災害ボランティアコーディネーターがマニュアル的と批判を受けた。マニュアルにとらわれすぎないコーディネートを行いたい。また、広域本部との連絡を取り合う。
 織り込めなかったのが残念ですが、ボランティアの活動資金はどうするのか。
 東海地震の場合、車両を使ってのボランティアの移送が、可能かどうか。ボランティアとは、外部から入ってくるボランティアだが、土地勘がない。
 「情報班の設置」。運営は、きちんと記録を残していかないと、次の支援活動につなげていくことも、社協に情報を引き渡すときの材料もない。
 「災害救助犬と防災ボランティアの協働」。ボランティアセンターというのは、災害が起こった後からできあがるものだけど、東海地震に限定すれば、発災前にわかるかもしれない。事前に準備できるなら、発災直後からコーディネーターが動くことも可能です。
 簡単な説明になってしまいましたが、産官学民の協働が不可欠だと思います。その為に今、私達がやっておかなくてはいけない事とは何なのか、この点を中心にパネラーの皆さんにご討議頂きたいと思います。私からの課題提起は以上です。
 渥美先生よろしくお願いします。
渥美氏
 現場に行かれたことのある人は、もっと細かいことを議論すべきだと思うし、行ったことのない人には何を話すべきなのかということさえ難しいと思われます。ニーズが変化するから活動を固定したらいけないという、少し高度な問題もあります。マニュアルにとらわれすぎないようにコーディネートする心構えが必要だというのも言うのは簡単でも、なかなか実行できません。鷲見さんいかがですか?
鷲見氏
 名古屋市の社会福祉協議会の鷲見です。東海豪雨水害の時、名古屋市北部ボランティアセンターの所長でした。
 愛知県の特徴ですが、阪神・淡路大震災の後、愛知県では防災計画の中に災害ボランティア本部を立ち上げることが書かれ、11団体が阪神・淡路大震災の後、県と協定を結びました。
 また、防災ボランティアコーディネーターの養成事業を始めました。東海豪雨時には、すでに県内に400人のボランティアコーディネーターがいて、うち100人が集まって、各地域の水害ボランティアセンターが立ち上がった。団体と協定を結んでいたこととボランティアコーディネーターがいたから公設民営でやれた。経費については、第5条に支援本部の経費は県が負担すると書いてある。この愛知県のやりかたは、全国的にあまりないと思っています。
 行政がセンターの立ち上げ経費を負担するという協定なので、なかなかうまくいかないかもしれません。難しいと思うけど、県ができるのだから、県内市町村も同じがいい。NPOがなければ、町内会・婦人会など地縁組織とやるべきです。
 災害ボランティアセンターで活動の中心となるのは、愛知県のボランティアコーディネーター養成講座を受講した人たちです。愛知県にはボランティアコーディネーターが現在903人います。地域ごとにボランティアコーディネーターの組織を作っていって、行政と連携すれば、東海豪雨の経験が生かされます。
 先ほどの白石さんの報告書に、ボランティアコーディネーターという言葉が出てこないのは不思議に思います。
 それから、福祉救援対象者の個人情報を、社協が持っているわけではありません。社協は、行政ではなく民間なので、持っていると思うのは間違いなのです。民生委員も守秘義務があるので、情報が流れてくると考えるのも間違いです。したがって、災害のとき、だれが情報をつかんで支援するのか、工夫が必要だと思います。
渥美氏
 マニュアルについてひとつ訂正がありましたね。次に、協定書それ自身は、大変役に立つと思います。ただ、協定書を持って安心するのでなくて、協定書のメンバーが顔見知りかどうかということが重要だと思います。では、吉田さん。
吉田氏
 ハートネットの吉田です。
 マニュアル、必要なのですけど、実際の現場ではマニュアルが無くても、勝手に作られます。人が集まって動くと、出来てきます。出来てきたものがその人たちに一番いい。この地域のやり方を否定しないというのを、大事にしています。
 田舎に行くと、都会と違って、「普段から隣組で何とかする地域だ」と言われ、ボランティアのニーズが上がってこないんです。隣組の中で、みんなで順番にやっています。ボランティアが帰った後もここで生活するのだから、隣組を大事にしたいんです。都会では、ボランティアに頼む人がいます。やり方はいろいろあります。
 マニュアルが正しいとか、間違っているとかではなくて、マニュアルを変えていけばいい。必要なものも、不要なものも、たくさんあって、その地域によって違います。
渥美氏
 私も、まずは地域との関係だと思います。鳥取の地震の時も地域社会でした。私たちは、社協の人が大変だったのでその方の支援をしました。ボランティアセンターを勉強しようとしたら、本を読むことと現場からの声を聞くことが大切のように思います。
杉浦氏
 SeRVの杉浦です。SeRVというのは真如苑救援ボランティアのことです。普段は、養成講座、演習、訓練などをしています。災害発生時には、現場に行って、ボランティアセンターの支援をしています。
 名古屋の水害の時には、SeRV中京でサテライト的なボランティアセンターを立ち上げました。
 今、東海地震とか東南海地震を想定して、広域の災害が起こったとき、ボランティアセンターはどういった形でまとめられて、地元のボランティアや県外からのボランティアをどう組み合わせるかだとか、ボランティアの人にも喜んで帰ってもらうためのセンターの運営の仕方、コーディネーターの運営の仕方っていうのが、かなり重要になっています。
 ある程度の基本経験を通じて、そういったものを作っていかないといけません。
 実際に現場に足を踏み入れていくと、本部だけでなく本部のサテライトなど、もうひとつ現場に近い場所に機材など置くところを作って、そこから動く。
渥美氏
 ボランティアセンターに1人でやって来るボランティアや、2,3人で来る人、全国組織で来る人、ボランティアメンバーつくろうといってくる人、いろんな人がいます。1カ所のボランティアセンターそのものについては、これからの議論に出てくると思います。
 少し違う問題に、東海地震が起こった場合にボランティアセンター1個や2個でなくいっぱいできるということがあります。そういう場合には、ボランティアセンターの協働が問題になります。こういったことは、災害ボランティア・NPOの全国的な展開を考えるきっかけになると思います。
白石氏
 地域は協定が無いからできないということでなくて、協定がなくても普段から行政や社協と顔見知りになって、相談できる関係があれば可能ではないのか?とも思います。
渥美氏
 いまのご指摘、いかがですか。親睦を深めるきっかけも必要。
鷲見氏
 私も県のボランティアコーディネーター養成講座を受けたが、腹が立ったことがあります。たとえば、第1回から今年まで同じ講座が続けられている。阪神・淡路大震災の時のやり方が継承され、東海豪雨のとき苦労し経験したことが生かされていないこと。横の連携が取れない仕組みになっていること。となりの受講者が誰かわからない状況で終了してしまうこと。
 名古屋市も14年度にボランティアコーディネーターの養成が始まり、50人育てました。しかし、愛知県と名古屋市とは養成講座の内容や使用様式が若干違います。県も進化していかないとまずい。
 
事前打ち合わせ風景
 
 また、経験上、ボランティアセンター運営の基本形みたいなのがあってもいいのではないかと思います。電話の受け方やオリエンテーションの仕方、活動報告の受け方などはどんな災害でも共通すると思います。
吉田氏
 ボランティアセンターの協働ですね。たくさんのボランティアセンターが、どうやったら上手くいくか。公式なボランティアセンターだけで進むとは思えません。
 東海と東南海・南海では条件も違います。ボランティアセンターができない、ボランティアがうごけないこともある。沢山のボランティアセンターができることもある。同レベルで協働してやってくれるボランティアセンターを、一番真剣に考えないといけない。自分たちで築くネットワークが必要なのだってことが、後から気づいたことです。
渥美氏
 何か新しいことあるとバージョンアップしないといけません。具体的には、自分たちの経験を持ち寄って検証をやっていく。例えば、ボランティアの受付票は複写式だとどうかとか、ボランティアへのインストラクションは、ビデオを使うとかいろいろあると思います。
杉浦氏
 いろいろなボランティアセンターに行かせていただいて、ボランティアの世界は一度前に出ると次はリーダー、で出来上がっていると思います。現場に行くリーダーは、ボランティアの安全とルールを守りながら、目的の作業を時間内にある程度やってきます。そうした、荷物を運んだりとかはできるけれど、10人、20人をまとめながら、という班長が少ない。そういうボランティアコーディネーターが必要です。
 ボランティアセンターは事務所としての機能があって、行政との連絡、機材をどこから用意するのか。こういったものをきちっとつくってもらう。ニーズの抽出をするときの表は、資料がフロッピーにあれば、パソコンで作り変えて、一日目に反省会をして、2日目から変わります。2週間もすれば、その間に方式は変わって進化します。ボランティアセンターは進化するところです。こういった世界なので、実際にいろんな方がそこに来ます。
 ハード的な準備もそうですけど、対人間ということでは被災者に対する気持ちとかもあるし、毎日いっしょにがんばる仲間とできる友情とかが大事。いろんなところにいって、最後には別れがたい感じになる。すばらしい経験をさせてもらうところです。ともかくコーディネーター養成講座も大事だけど、仲間意識、友情を持っていけるように何でも言い合えるような雰囲気にやっていかれたらいい。







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