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第2部 分科会
課題提起者 高桑 俊康 氏(豊田災害ボランティア会議)
ファシリテーター 福和 伸夫 氏(名古屋大学大学院教授)
パネリスト 鈴木 盈宏 氏(トヨタボランティアセンター)
パネリスト 五辻 活 氏(東京都生協連)
パネリスト 松田 敦 氏(愛知県防災局)
福和氏
名古屋大学の福和です。先ほど基調講演をされた内閣府の布村参事官は、我が国の地震防災に関する実際上の責任者をされています。現時点での国の防災施策の基本戦略は、防災協働社会の実現とか、地域住民や企業の参画による防災対策と行政への反映というようなキーワードが入ってきています。国の立場でも、今日のテーマである協働とか意識啓発ということの重要性が認識され始めてきていることが分かります。
今日のパネラー5名は、皆、異なる立場で協働や意識啓発の活動を行っており、その対象とする相手もパネラーによって異なっています。さらに、間をつないでくださる方々、マスメディア、あるいは教育現場の方々、そういった方々も意識啓発の相手になります。この分科会のキーワードである、啓発、ネットワーク、協働の3つテーマには、それぞれ相手があるということを頭の中に入れておきたいと思います。
問題提起役の高桑さんは、媒介者である市民団体の立場で住民相手の意識啓発を行っているということでよろしいですか。パネラーの方々の中で、愛知県の松田さんは、専門家である行政職員の立場でどうやって住民を啓発していくかというために行政施策を展開している。それから東京都生協連の五辻さんは、専門家と媒介者の両方の立場で、媒介者である市民団体の方を意識啓発したり、住民を意識啓発している。トヨタの鈴木さんは、企業の立場で企業の中の人や外の人に対して意識啓発をされている。私は研究者の立場で、いろんな立場の人とお付き合いしています。
では最初に、高桑さんから問題提起をしていただきたいと思います。
高桑氏
豊田災害ボランティア会議の高桑です。
今、福和さんからお話いただきましたようにボランティア団体として、住民に啓発活動をするという立場で、問題提議させていただきます。活動内容は主に市民向けの講座の企画開催、また定例会でいろんな勉強会を地域で実施しています。
今回報告しますのは、昨年とよた市民活動センターでやりました「東海地震からわが子を守れますか!?」といったタイトルのワークショップについて、具体的にどうしたか報告します。
これを企画した段階で、いろんな議論をした中で、主婦の方からお金を握っているのは奥さんだから奥さんを動かさないと活動に結びつかないよというご指摘がありました。これは男性一同納得という話がありまして、これをひとつキーワードとしました。そういう人をターゲットにするなら男性が話すより女性がいいだろう。子育てセンターが隣にあったものでそこの所長さんという話も出てたけども、横浜に国崎さんという当時2人の男の子のお母さんがいて、2年かけて「地震から我が子を守る防災の本」というのを執筆された方がいてこの人はどうだという話になりました。
考えたプログラムは3つあります。ひとつは国崎さんから講演いただこう。2つ目は煙道体験。最後にワークショップとして子供を持つ親の非常持ち出し袋を考えてもらう。この年は年間テーマとして非常持ち出し袋を考えるとしていたので考えてみました。プラス今回若い子育て中の主婦を対象にするということで、託児スペースを設けて託児ボランティアを置くとか、配慮をした。
広報企画としては、われわれメンバープラス市民活動センター、行政の職員とか広報活動については、通常の災害に関係ない一般のボランティア、ケーブルテレビ、FMラジオの力をお借りしてこういった企画をした。
会場の様子は、狙い通り、比較的若い奥様方に来ていただいた。休憩時間に紙芝居をしてもらった。紙芝居も手製で災害に関係ある紙芝居。子供が真剣に聞いている。
でも、これだけの企画の結果として64組152名プラスアルファでした。思い、企画側の思いに対してそれ相応の結果になったか?どうだろう、ちょっと消化し切れなかった部分というのがありました。以上です。
福和氏
高桑さんの問題提起のメインは、最後の一言でしょうか。こんなに頑張ったのにちょっと集まりが悪かったという消化不良。悪く言うと愚痴?でも高桑さんは、それなりに充実感があったんじゃないですか。
高桑氏
そうですね。
福和氏
充実感はあったけれども、思った以上に人が集まってくれなかった。少し割り切れなさを感じたということですね。今、一つの論点を高桑さんが示してくださいました。
お隣にいる松田さんは同じようなことを、県の立場でやられてますよね。私もいつも見ているんですが、県が実施すると申込者は募集人員を上回るくらいありますね。そのギャップについて松田さん、気がつくことはありますか。
松田氏
参加される人は結構多いですね。皆さんの関心が非常に高いなと思っています。
高桑さんがやられている事の内容は、とてもすばらしいと思うんですね。行政の人がなかなかここまで考えられないな、すばらしい内容だ、と思うんですけれども、それでもあまり入らなかったと。行政が主催すると人が集まる、というようなところがあるんじゃないのかな、と思うんですけど、どうですか。
福和氏
会場の皆さんのほうでいかがですか?同じような経験をお持ちの方はいらっしゃいますか?
会場A氏
本当にささやかな活動なんですけど、私も去年、防災カレッジに入って勉強しましたが、その途中に、以前から行っていた地域のボランティア活動に参加しました。私の住んでいる地域は本当に小さな集落なんですが、三河地震のときに、それにもかかわらず15人の死者がでた、というくらいのすごい被災の経験がある地域でした。その被災体験を聞く会というのを、小学生と中学生を対象に地域のお年寄り、高齢者の方にやっていただいて、体験を話していただくという趣旨の会をした。小学校に行って学校の先生にお願いしてチラシを配っていただいた。老人クラブの方が15名くらいきてくれましたし、訓練のときに参加された防災ボランティアの方も呼びかけたものですから、その方たちもきてくれて、何とか場ができた。
でも乗ってくれないな、という気持ちがありました。特に小学校の先生が。
呼びかけたのが地域のボランティアで呼びかけたので、町内会で呼びかけたら、もっとたくさん子ども会の人とかも来てくれたのかな、と。そこがやっぱり行政というのではないですけど、町内会とかの違いかなという気持ちでした。
福和氏
僕もよくボランティアの方々が主催している会に呼ばれて行くんですけど、義理で来る人も多少いないと最初は出発しないところってありますね。でも義理で来た人たちも、興味を抱いて帰ってくれる。だから、来てもらうための努力をしないといけないと思います。そういったときには行政の力ってすごいです。普段から地域で活動している町内会とか子供会は、組織力ってやっぱりあるかなって。
ちょっと話を変えていってもよろしいですか。企業の中からボランティアに赴く人たちを支援するという立場で、企業の中でがんばっているのが鈴木さんです。鈴木さんのほうから、トヨタという大きな組織が地域や社会のためにどうやって貢献しようとしているのかについて、鈴木さんの自己紹介もかねながら簡単にご紹介いただけますか。
鈴木氏
私はトヨタ自動車の一社員でございます。トヨタ自動車の中では、平成5年5月にボランティアセンターという組織ができました。
企業としてのボランティアコーディネートもいろいろ方法があると思うんですけども、組織つまり企業組織を動かすには、やはり企業ですから、それなりのメリットがないと納得しないというのが現状です。先ほどの動員数の話じゃないですけど、行政がなにかやると非常にたくさんの人が集まってくるというこの裏には、やはり信頼というものがあるんじゃないかなと。
それからもうひとつは、集まった人数だけでそのイベントを評価するというのは疑問に思います。それは数だけの評価じゃないですね。だから一生懸命やる。中身を皆さんに知っていただいて、それぞれ皆さんがしっかり受け止めて口コミで広げてくということが、最終的にこういったことの啓発になるのではと私は思います。
福和氏
高桑さん、あまり急いでもいけないような気がしますよ。高桑さんたちは、十分に活動の中で楽しまれましたよね。楽しみながらやらなくちゃやっていけない。最初から、あまり成果まで期待し過ぎなくても良いと思います。
一方で、行政の人たちは、ものすごく苦しんでやっているようなところがあって、前向きに自分たちの思いを込めていくという高桑さんたちの活動とは少し違う面があるように思います。松田さんたちみたいに行政として行う場合、仕事として何が何でも成功させていかなくちゃいけないという、責任と苦しさの中でやっている。責任もあるから信頼感も勝ち取れる。
ちょうど中間にトヨタのような大企業がありますね。両方に足をおいてますよね。信頼感もあるし実際に動ける人たちボランティアの人もいる。そういう意味では市民・企業・行政の三者が協力すればとってもいいかなと思います。
今みたいな話聞いていて先輩格として東京で活躍されている五辻さんはいかがですか。もうそんな議論は終わったあとでしょうか。
五辻氏
東京からまいりました五辻です。今日は東京都生協連としてと東京災害ボランティアネットワークの専門員としてという、二つの立場で問題提起させていただきます。
東京では生協も最初から地域・広域のいろんな団体と一緒にまざって東災ボというネットワークづくりに参加しろってことで参加しています。
それから、去年からはじめましたのは、災害ボランティアリーダー養成講習という講座で、東京都生協連で主催しまして、生協の登録ボランティアということで、「コープ災害ボランティアネットワーク」というのを作りました。この講座の中の訓練の一つで、今地域めぐりの東災ボ版DIGといいますか、まち歩きや簡易図上訓練をやっていますが、住んでいるまちや、生協がお店を出したり、品物を配達しているわが町が、災害が起きたらどうなるか、どうするか。東京都や消防庁の被害想定や危険度マップでかなり細かく公表されていますので、それを自分の住んでいる町の丁目単位や学校区くらいの地図で落し込んで見るとどこが危険なのか、建物倒壊危険度、火災危険度、避難危険度、人的危険度などを身の回りで考えてみる。
怖い話をいかに楽しくわいわいガヤガヤやるかがDIGの心得でもあります。みんなで防災マップを作って、それを見ながら、死者を出さない町にするためにはどうしたらいいかという話し合いに持っていけたら大成功です。その最初の集まりが1回できれば、次はOB会をやろうとか花見しようとかそういうふうになっていってもらえばいい。
神戸の真野地区がなぜ強かったか。信頼という言葉がありますけど、行政やよそから来た人でなく、普段からの町のくらしの中での信頼、あの人が言うから従おう、それを支える、普段からバザーや運動会などで集まって力を出し合っている信頼の関係が100人以上いる。そういう風になるためには何年もかかるから、10名でも集まったときに、次はお花見会をやろうという風に楽しい集まりにして、その中でみんなでいいまちにしていこうという話し合いができればいいと思います。
加えて、自分の建物だけでなくて自分のうちは耐震補強して大丈夫、だけど向こうの方の1件の家が火元になって2500件くらいが延焼して焼け野原になっちゃうという木造密集地域の怖さがあります。それをどうするかというと、やっぱり町全体でその話をどう広げていくかということが必要です。
福和氏
いくつかのキーワードが出てきました。
1つはイマジネーション、皆に地震のときに起きることをイメージしてもらうようにしたい。もう少しがんばって、自分の地区の周りを見て自分の地域を知ろうとする動きをしてもらいたい。災害のためだけでなくて歴史も知ることができるし環境も知ることができる。地域に出て行くことが大事です。
会場C氏
浜松から着ました。災害ボランティアコーディネーターとして、平成8年から活動しています。
災害と地域福祉というのは、切っても切れない。普段の地域福祉のネットワークができていれば、災害時には、一番、働ける。介護教育の場所では、年齢は高いけど、そこでもDIGをしました。本格的なのはできないけど、自分の地域のことなので、自分の家の周りのことがわかって、ものすごく自分の中で関心を持つ度合いが高かったです。そういうのを少しずつ広げたい。
学校の総合学習でやりたいという働きもしています。
啓発とネットワークの部分です。人間のネットワーク作りもしています。
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