被害・影響関係 58
題名 |
Feeding behavior of Paracentrotus lividus in the presence
of Caulerpa taxifolia introduced in the Mediterranean Sea. |
著者名 |
LEMEE R., BOUDOURESQUE C. F., GOBERT T., MALESTROIT P., MARI
X., MEINESZ A.. MENAGER V., RUITTON S. |
誌名 |
Oceanologica Acta |
年 |
1996 |
巻・号・ページ |
19:245-253 |
キーワード |
イチイヅタ、ウニ、摂餌 |
要約 |
イチイヅタを餌にして実験室内の水槽で一年間ウニの摂餌行動を観察した。夏季、ウニは強くイチイヅタを避け、決して摂餌しなかった。冬季と春季は、少し食するか、まったく食べなかった。このことは、天然海域でイチイヅタだけに覆われた地域とポシドニアとイチイヅタ混在の地域に成育するウニの消化管内容物の確認から、正しいことがわかった。
冬季のイチイヅタ藻場のウニの消化管内容物は60%がイチイヅタであったが、春季には、20%に減少していた。ポシドニア藻場地域に成育していたウニの消化管内は、冬季のイチイヅタが含まれていた(30〜50%)が、春季になると急激に落ち込み、10%以下になったのとは対象に、ポシドニア・オセアニカの含有量は50%からいっきに90%まで増加した。
ウニの食圧は、イチイヅタに含まれる毒性のある二次代謝産物、つまり、コーレルペニンの含有量に関係する。
ウニの、イチイヅタ、Cystoseira(褐藻ホンダワラ科ウガノモク属)、Halopteris(褐藻カシラザキ科カシラザキ属)の3種に対する摂食活動を示したもの。
春期・夏期共に、選択的にイチイヅタを避けている傾向が顕著である。 |
その他 |
ウニがイチイヅタを意識的に避けていることを、室内実験ならびに天然海域からのデータから示唆した論文である。 |
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被害・影響関係 93
題名 |
The enzymatic detoxifying system of a native mediterranean
scorpio fish is affected by Caulerpa taxifolia in its environment. |
著者名 |
UCHIMURA M., LARROQUE C., SANDEAUX R. |
誌名 |
Environ. Sci. Technol. |
年 |
1999 |
巻・号・ページ |
33:1671-1674 |
キーワード |
二次代謝産物、チトクロムP450、毒性、グルタチオン−sトランスフェラーゼ |
要約 |
イチイヅタの毒性二次代謝産物の主な活性成分であるテルペン類は、捕食者に対する防御や他種海藻との競争に役立っている。これらの二次代謝産物が、他の生物への与える影響を探るため、すべての生物中に存在し、解毒機構の中心として働く酵素である、チトクロムP450の活性を見ることによってその毒性を評価した。地中海の藻場一般に生育し、また回遊魚でない底生の魚類であるカサゴの肝ミクロソーム中のチトクロムP450をモデルとして、同位体トレーサー法(14C)を用いた、クロマトグラフィー、マクロオートラジオグラフィー並びに、バイオイメージアナライザーという最新のテクニックを用いて、チトクロムP450の活性を計測した。結果は、たったの24時間イチイヅタと同じ水槽中で飼育されたカサゴの肝臓内のP450は、異常な活性を示した。これは、イチイヅタから分泌された二次代謝産物がカサゴの体内で毒物と評価し、解毒作用の中心機構であるP450が活性化したものであると考えられる。続けて、4週間イチイヅタと飼育されたカサゴの活性は逆に通常の状態よりも活性が落ちていた。つまり、P450がイチイヅタの二次代謝産物の毒性にやられ、破壊されたものと考えられる。これは外からやってくる毒物に対して、カサゴの抵抗力が落ちたことを示し、つまり免疫力の低下と考えられる。また、P450の別の働きとして、動物のステロイドホルモンの生合成があり、P450の破壊は、それら性ホルモンが製造されなくなることで次世代への支障となり、生態系を破壊する危険性が非常に大きくなる。
イチイヅタと同じ水槽に24時間飼育したカサゴの肝ミクロソーム中のチトクロムP450活性は増大した(中央の2レーン)が、4週間飼育したカサゴの活性はなくなっていた(右側の2レーン)。このことは、イチイヅタの生存下で飼育することで、解毒作用の低下、免疫力の低下を引き起こすことを示している。 |
その他 |
イチイヅタの毒性計測系を確立し、イチイヅタの二次代謝産物の毒性を評価した。 |
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