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(3)ネットワークヘの出力連携
 陸上診断システムに提供する、ハンディターミナルを用いて電子データ化した五感情報計測データの船内ネットワークへの出力が、定められたタイミングにおいて確実に行われることを確認した。
 
(4)帳票形式(船内管理・陸上管理)調査結果
 従来の手書きの帳票と本システムより出力された帳票を図2.3.4-5、2.3.4-6に示す。
・従来の手書き帳票では記入者独自の記入表現の省略などにより、誤認を誘発する可能性が想像されたが、本システムより出力された帳票では、記入様式が定型化されるため、その可能性が少なくなった。
・従来の手書き帳票では記入者独自の記入表現の省略などにより、乗組員の交代に伴い帳票の継続性が損なわれる可能性が想像されたが、本システムより出力された帳票では、記入様式が定型化されるため、その可能性が少なくなった。
 
図2.3.4-5 従来の手書きの帳票(MO点検)
 
図2.3.4-6 本システム出力帳票(MO点検)
(拡大画面:147KB)
※実施結果欄の太字は、範囲値外アラームを示す。
 
(5)省力化調査結果
 本システムを使用することにより、乗組員の作業負担の軽減度合を確認する為、システム導入前後の作業時間の調査を行なった。表2.3.4-4に調査結果を示す。
 この結果総合的には本システムの導入により、年間約69時間(25%)の削減効果が見込まれる結果となった。
 
表2.3.4-4 省力化調査結果
項目 システム導入前時間
(時間/年)
導入後時間
(時間/年)
増減時間
(時間/年)
点検時間 MO点検 189.0 189.0 ±0.0
出航前点検 17.0 17.0 ±0.0
データ管理・帳票作成時間 MO・出航前・整備点検 52.5 0.0 -52.5
整備点検スケジュール作成 12.0 0.0 -12.0
開放計測 0.4 0.0 -0.4
陸上報告作業時間 整備点検月次報告 4.0 0.0 -4.0
合計 274.9 206.0 -68.9
 
 なお、ヒアリング調査により、それぞれの結果の根拠として、以下のように考察される。
・MO点検作業については実質的な点検行為に作業時間が左右されるため、記録(入力)方法の相違によっては、作業時間に変化がない結果となった。
・MO点検・出航前点検・整備点検及び整備点検スケジュール作成によって、データ再入力などの二度手間作業が排除されることにより省力化がなされた。
・陸上報告作業時間については、電子メールによるデータ送信機能により、従来の整備点検結果報告に伴うコピー等の作業分の省力化がなされた。
 
(6)改善要件
 乗組員へのヒヤリング調査によって得られた、本システムが更なる有用性向上を図るための改善要件を表2.3.4-5にまとめた。
 
表2.3.4-5 改善要件
項目 改善要件 備考
ハンディターミナル操作性 プログラム起動時の処理時間を短縮する プログラム変更を要す
文字・記号入力機能を追加する(”―””∞””ABC”等) ハード及びプログラム変更を要す
ハンディターミナル視認性 画面照度を向上する ハード及びプログラム変更を要す
文字を拡大する ハード及びプログラム変更を要す
パソコン検索 スケジュールの時系列表示を追加する プログラム変更を要す
主要部開放計測結果表示の数字が判読性を向上する 表示画面に計測ポイント説明図の追加を要す
データ項目 流体成分項目を追加する 項目追加設定を要す
 
(7)運用信頼性評価
 システム運用上の信頼性に関する各項目の評価結果を表2.3.4-6に示す。実証実験の期間中にハンディターミナルにおいてはシステム運用上の信頼性が確保されていることを確認した。また、不適合のあったプログラム動作については一部プログラムを修正することにより、問題の解決にあたった。
 
表2.3.4-6 運用信頼性評価調査結果
項目 評価 備考
ハンディターミナル 耐環境性 期間中不適合発生無し
堅牢性 期間中不適合発生無し
プログラム動作 ハンディターミナル・パソコン間通信 ×→○ 不適合発生の為一部プログラム修正を行なった
主要部開放計測データの保存 ×→○ 不適合発生の為一部プログラム修正を行なった
 
(4)改善開発
 2.3.4(3)(6)改善要件及び2.3.4(3)(7)運用信頼性評価に対して、期間中に完了した改善製作及び不適合解決の開発内容を以下に示す。
(1)整備点検スケジュール表示
 整備点検スケジュール表示において、項目毎のスケジュールの時系列表示機能を追加製作した。(図2.3.4-7参照)これにより、スケジュールの全体的な把握が容易となった。
 
図2.3.4-7
整備点検スケジュール時系列表示画面
(拡大画面:419KB)
 
(2)主要部開放計測値確認
 主要部品開放計測値結果表示において、計測ポイントの説明図を追加製作した。(図2.3.4-8参照)これにより、計測値と計測ポイントの判読が容易となった。
 
図2.3.4-8 計測ポイント説明図(シリンダライナ)
 
(3)流体成分データ表示
 流体成分管理項目として、清水の「苛性ソーダ」投入量を追加設定した。
 
(4)ハンディターミナル・パソコン間データ通信
 ハンディターミナル・パソコン間のデータ通信時に発生した不適合について、通信処理方法のプログラム変更により解決を図った。
 
(5)主要部開放計測データの保存
 主要部開放計測データの保存時に発生した不適合について、データ保存方法のプログラム変更により解決を図った。







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