2.3.4 周辺機器等の管理の高度化技術の実用性評価
(1)概要
下記の管理項目における実船運用試験を実施し、本システムより収集された、機関診断システム等に必要なデータの船内ネットワークへの出力や、本システムの諸機能、管理内容、省力化に対する有効性を評価するとともに、改善要件の明確化を図るものとする。
実船試験における本システムの対象管理項目を表2.3.4-1に示す。
表2.3.4-1 対象管理項目
|
管理項目 |
内容 |
1 |
通常点検 |
日常的に比較的短期間の間隔で実施される点検
(MO点検・出航前点検) |
2 |
整備・点検 |
主に定期的に実施される比較的中・長期の間隔で実施される整備・点検 |
3 |
主要部品開放計測 |
シリンダライナ・ピストンヘッド等の継続的に計測結果を管理することが有効な部品の開放計測 |
4 |
流体成分データ |
LO・FO・冷却清水の成分データ |
5 |
機関診断用 五感計測 |
自動計測が困難な機関診断に用いる五感計測 |
|
(2)実証船へのシステム導入要件
実証船へのシステム導入にあたり、以下の要件について、事前対応を行った。
(1)管理項目内容設定
2.3.4(1)項に示す各管理項目について、具体的な内容設定を行った。
内容設定にあたっては、対象船における従来の管理内容を尊重した。
(2)通信プロトコルの設定
船内LAN通信仕様に従い、本システムヘの通信プログラムの実装を行った。
(3)インストールパソコンの共有化
パソコン操作の利便性、機器の設置スペース等を有効に活用する為、インストールパソコンを船陸間通信プロセスユニットのシステムと共有化した。(図2.3.4-1 参照)
図2.3.4-1 システム設置図
(3)実船運用試験調査
(1)ハンディターミナル機能性調査結果
乗組員へのヒアリング調査による、ハンディターミナルに設定した各機能のヒューマンエラーの防止及び利便性の向上に対する評価結果を表2.3.4-2に示す。評価の具体例を以下に挙げる。
・入力項目が具体的に一項目ずつ表示されることが、通常点検時等において、記録時の記入間違いを防ぐヒューマンエラーの防止と、従来の記録帳票での記入箇所を捜す行為がなくなるという利便性向上につながることを評価された。
・前回データの表示機能が、通常点検時等において、計測数値の読み間違いや、記録時の桁間違いなどを防ぐヒューマンエラーの防止と、計測値の評価を容易にする利便性向上につながることを評価された。
・アラーム表示機能が、通常点検時等において、計測数値の読み間違いや、記録時の桁間違いなどを防ぐヒューマンエラーの防止と計測値の評価を容易にする利便性向上につながることを評価された。
・未入力項目チェック機能が、通常点検時等において、点検漏れを防ぐヒューマンエラーの防止と、容易に未入力事項を把握できる利便性向上につながることを評価された。
MO点検時の計測風景を図2.3.4-2に示す。
表2.3.4-2 ハンディターミナル機能性評価調査結果
|
ヒューマンエラーの防止 |
利便性の向上 |
MO点検
出港前点検
五感情報 |
整備
点検 |
流体
成分 |
開放
計測 |
MO点検
出港前点検
五感情報 |
整備
点検 |
流体
成分 |
開放
計測 |
表示 |
項目表示 |
○ |
○ |
△ |
○ |
○ |
○ |
△ |
○ |
点検間隔表示 |
- |
○ |
- |
- |
- |
○ |
- |
- |
点検期限切迫/超過表示 |
- |
○ |
- |
- |
- |
○ |
- |
- |
前回データ表示 |
○ |
○ |
○ |
- |
○ |
○ |
○ |
- |
アラーム表示 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
入力 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
バーコード読み取り機能 |
○ |
○ |
△ |
△ |
○ |
○ |
△ |
△ |
未入力項目チェック機能 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
項目別評価 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
総合評価 |
○ |
○ |
|
○:効果あり △:効果少ない ×:効果なし ―:機能対象外
図2.3.4-2 MO点検風景写真
(3)パソコン管理・検索機能性調査結果
乗組員へのヒアリング調査による、パソコン管理・検索において設定した各機能のヒューマンエラーの防止及び利便性の向上に対する評価結果を表2.3.4-3に示す。評価の具体例を以下に挙げる。
・データ取り込み機能が、ハンディターミナルで入力した点検結果等を、キーボード入力などの二度手間を掛けずにデジタルデータ化する利便性向上につながることを評価された。
・任意の日付範囲や機器名を指定抽出して結果を表示する検索機能が、点検結果等の管理を容易にする利便性向上につながることを評価された。
・整備点検スケジュール作成機能が、スケジュール作成時の項目漏れを防ぐヒューマンエラー防止と、自動的に月次スケジュールなどが作成される利便性向上につながることを評価された。
・点検結果等を時系列表示する検索機能が、データの推移を容易に把握することを可能にする利便性向上につながることを評価された。
・ファイルデータ(PDF)出力機能が、電子メールを利用した陸上報告を可能にする利便性向上につながることを評価された。
パソコン操作風景を図2.3.4-3、検索実画面を図2.3.4-4に示す。
表2.3.4-3 パソコン管理・検索機能性評価調査結果
|
|
ヒューマンエラーの防止 |
利便性の向上 |
|
|
MO点検
出港前点検
五感情報 |
整備点検
スケジュール |
流体
成分 |
開放
計測 |
MO点検
出港前点検
五感情報 |
整備点検
スケジュール |
流体
成分 |
開放
計測 |
データ取り込み
(デジタルデータ化) |
データ取り込み基本機能 |
○ |
○ |
コメント入力機能 |
○ |
○ |
機器項目抽出表示機能 |
○ |
○ |
データ検索 |
検索基本機能 |
○ |
○ |
検索範囲設定機能 |
○ |
○ |
機器項目抽出表示機能 |
○ |
○ |
コメント抽出表示機能 |
○ |
○ |
時系列表示機能 |
○ |
○ |
アラーム表示機能- |
- |
- |
○ |
- |
- |
- |
○ |
- |
整備点検
スケジュール作成 |
スケジュール作成基本機能 |
- |
○ |
- |
- |
- |
○ |
- |
- |
スケジュール範囲設定機能 |
- |
○ |
- |
- |
- |
○ |
- |
- |
未実施項目アラーム表示機能 |
- |
○ |
- |
- |
- |
○ |
- |
- |
機器項目抽出表示機能 |
- |
○ |
- |
- |
- |
○ |
- |
- |
主要部品開放計測
結果検索 |
自動計算機能 |
- |
- |
- |
○ |
- |
- |
- |
○ |
データ出力 |
帳票出力 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
ファイル(PDF)出力 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
ファイル(csv)出力 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
設定 |
処置内容設定機能 |
○ |
○ |
アラーム範囲設定機能 |
○ |
○ |
処置間隔設定機能 |
○ |
○ |
項目別評価 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
総合評価 |
○ |
○ |
|
○:効果あり △:効果少ない ×:効果なし ―:機能対象外
図2.3.4-3 乗組員パソコン操作風景写真
図2.3.4-4 パソコン検索実画面例(MO点検結果)
|