日本財団 図書館


2.1.5 モニタリングシステム(データロガー)の開発
 平成14年度に開発した機関モニタリングユニット及び船陸間通信システムの陸上試験による性能確認を行なうにあたり、表2.1.1-2に示す陸上試験用センサー計測項目に併せて機関モニタリングユニットの設計・製作を行った。
 製作した機関モニタリングユニット及びネットワーク機器を試験エンジン室に設置し、試験エンジン運転時のデータ収集及び通信テストを行ない、動作に問題がないことを確認した。
ネットワーク上の各システムの動作は以下の通りである。
・機関モニタリングユニットは試験エンジンに取付けられたセンサーからの信号をセンサー入力ユニットで収集し、専用線を介して取得する。
・燃焼解析装置は計測終了後、船陸間通信装置に計測データを送信する。
・ハンディターミナルシステムは入力後の送信動作により船陸間通信装置に計測データを送信する。
・船陸間通信ソフトウェアはネットワーク経由で、各システムから診断用データを取得し、モデムを介して陸上処理サーバーに接続した後、陸上診断システムにデータを送信する。
 
図2.1.5-1に実験システムの写真を、図2.1.5-2に陸上試験におけるネットワーク構成を示す。
 
図2.1.5-1 実験システムの写真
 
 
図2.1.5-2 陸上試験装置 ネットワーク構成図
 
(1)試験方案
 陸上試験は単独試験および接続試験(陸上試験機関)で実施した。
 
(1)単独試験
 単独試験は社内における動作試験である。単独試験機器系統図を図2.1.6-1に示す。
 使用した航海情報収集装置は平成14年度に試作した航海情報収集装置を基に、N丸での海上実証試験に適した仕様へ改良を施したものである。また、サテライトコンパス、風向風速計、天候・波浪・積載率手動設定器、大気圧計はN丸に設置する機器を使用して試験した。渦潮電機殿の船陸間情報処理装置の代替としてパソコン及び専用ソフト(渦潮電機殿貸与品)を使用した。単独試験では2式の機器について実施した。
 
図2.1.6-1 単独試験機器系統図
 
 単独試験方案を表2.1.6-1に示す。
 単独試験では各航海情報機器の出力データが航海情報収集装置によって収集され、統一フォーマットで船陸間情報処理装置へ出力されることの確認を実施した。また、長期間の実用化試験に供する必要があるため、機器の連続運転を行ない動作安定性の確認を実施した。また、仕様変更の要否を検証した。
 
表2.1.6-1 単独試験方案
No. 項目 判定基準
1 データの収集機能 各航海情報機器の出力データと航海情報収集装置の出力テータが一致していること
2 船陸間情報処理装置との連動 船陸間情報処理装置のデータ要求に応じて、航海情報収集装置からデータ出力されること
3 電源耐性
(電圧変動)
規定の電源電圧範囲内において、機器が正常運転すること
4 電源耐性
(瞬断)
電源喪失後に電源復旧させ機器が自動的に正常運転状態になること
5 連続運転 規定の連続運転時間において、機器が正常運転すること
 
(2)接続試験
 接続試験は陸上に設置された機関遠隔診断システムと接続しての動作試験である。接続試験機器系統図を図2.1.6-2に示す。
 使用した航海情報収集装置は単独試験を実施した内の1式である。各航海情報機器の代替として、パソコンによるシミュレータを使用した。航海情報収集装置と船内情報表示装置をLANで接続した。
 
図2.1.6-2 接続試験機器系統図
 
 接続試験方案を表2.1.6-2に示す。
 接続試験では船上を模擬したものとし、航海情報収集装置が船上システム内の構成機器として、正常に動作することの確認を実施した。
 
表2.1.6-2 接続試験方案
No. 項目 判定基準
1 船内情報表示装置との連動 船内情報表示装置のデータ要求に応じて、航海情報収集装置からデータ出力されること
 
(2)試験結果
(1)単独試験
 単独試験結果を表2.1.6-3に示す。
 不適合については航海情報収集装置のソフトウェア変更にて修正した。また、仕様について次の変更を実施した。
1. 船体動揺データは瞬時値を出力することとしていたが、過去5分間における最大値を出力するように仕様変更した。
2. 年月日時刻データはJSTを出力することとしていたが、UTC(世界標準時)を出力するように仕様変更した。
3. 風向風速データは瞬時値を出力することとしていたが、過去10分間の平均値を出力するように仕様変更した。
 
表2.1.6-3 単独試験結果
No. 項目 試験結果 不適合処理
1 データの収集機能 船体動揺データの収集について不適合があり修正した
2 船陸間情報処理装置との連動 出力データの並び及び桁数について不適合があり修正した
3 電源耐性
(電圧変動)
なし
4 電源耐性(瞬断) なし
5 連続運転 なし
 
(2)接続試験
 接続試験結果を表2.1.6-4に示す。不適合については航海情報収集装置のソフトウェア変更にて修正した。
 
表2.1.6-4 接続試験結果
No. 項目 試験結果 不適合処理
1 船内情報表示装置との連動 複数の機器からUDP接続要求への応答処理を追加した







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION