現代母親気質
《母親の切実な願いは「外出したい」》
1歳未満の赤ちゃんを持つお母さんに「もし、あなたが1日自由だったら何がしたい?」と、質問してみると・・・
第1位 1人で外出したい―34%
第2位 ぐっすり眠りたい―22%
第3位 友達と話したい―7%
第4位 本を読みたい―7%
以上がベスト4でした。その他、「1日自由なんて夢みたい」「そんな日があったら1日眠っていたいわ」「1人で公園を散歩してみたい」「喫茶店で、コーヒーをゆっくり飲みたい」など、ママたちの熱い願いがほとばしるように語られました。
出産前は自由に行動できたのに、赤ちゃんが生まれるとどこへ行くにも抱っこにおんぶ、1人で出掛ける自由はありません。こんな願いを胸に秘めながら、何年もかなえられないでいるママたちの気持ち・・・世の男性諸君はどこまで感じとってくださっているやら。たまにはパパが赤ちゃんを見て、ママに休日を与えてください。
《電話相談の動機は、ともかく「今すぐ詳しく聞きたい」》
第1位 今すぐ詳しく聞きたい―45%
第2位 近くに聞く人がいない―19%
第3位 育児書ではわからない―16%
第4位 電話は便利で重宝―9%
第5位 顔が見えず無料だから―2%
退院して数日、頼みの綱のおばあちゃんは田舎へ帰り、パパは残業で夜中まで帰ってこない。昼間は赤ちゃんと2人、泣けば心配、おとなしく眠っていればこれまた心配、ミルクをやるべきか、やらざるべきか・・・こんなときすぐそばにある電話が救い神のように見えてきます。
育児書は山ほどあるけれど、今のこの子のことについて生のアドバイスがほしい、そこで「今すぐ詳しく聞きたい」となるのです。現代の若いママにとって、聞きたいことをすぐ聞けて言いたいことを遠慮なく言える電話は、会って話す以上のストレス解消法なのかもしれません。
《うれしい夫の思いやり。妻は優しい言葉を求めています》
第1位 優しい言葉と態度―33%
第2位 赤ちゃんを抱いたり、かわいがってくれる―19%
第3位 おふろに入れてくれる―10%
第4位 家事を手伝ってくれる―8%
第5位 ミルクを飲ませる、散歩に連れて行く―5%
以上がベスト5ですが、圧倒的に多いのがママヘの思いやりや励まし。「お産の後、ご苦労さんと言ってくれた」「よく頑張ったねと指輪を買ってくれた」「慣れない育児でくたくたのとき、優しい言葉をかけてくれた」「産後貧血の私の身体をいたわってくれた」など。
妻は夫のちょっとしたいたわりの言葉にこんなにも弱いのです。そして、「夕方帰宅すると、すぐ子どもの名を呼び、抱き上げる」夫の姿に言い知れぬ幸せを感じています。しかし、手替わりのない核家族では、赤ちゃんの入浴や散歩、買物など夫の協力も必要。たとえ1つでもそれとなくしてくれた夫の協力に妻はとても感謝しています。
《子どもが生まれて夫婦が対立するとき》
第1位 パパが甘すぎる―29%
第2位 ママが焦りすぎ―18%
第3位 パパが心配しすぎ―16%
甘いパパヘの不満がトラブルの発火点となっているのは、「泣くとすぐ抱きたがる」「授乳時間をきちんとしたいのに、パパは泣く度におっぱいをやれという」「おもちゃを買いすぎる」「虫歯を気にしているのに甘いお菓子を買ってくる」など。
一方、ママに対しては「ミルクを無理強いしすぎる」「たいしたことでもないのにすぐ病院へ行き、薬づけにする」「泣くと私はすぐ抱いてしまうが、パパは徹底的に泣かせろという」など、焦りがちなママヘの不満がトラブルのもととなっています。
求められている父親像は、子どもに甘いパパよりも、厳しくどっしりと頼りがいのあるパパなのです。育児ノイローゼなどという言葉の陰には、話もしない夫、子どもに無関心な夫がつきもの。楽しいけんかなら大賛成!
《母性愛を感じるとき。母性は子どもと共に育つもの》
第1位 産声を聞いて母乳をふくませたとき―34%
第2位 笑ったとき―15%
第3位 親を目で追うとき―11%
まだ、妊娠中で「初めて胎動を感じたとき」から早くも母性愛を感じる人もいます。ただし、大半の人は産後すぐ母乳をふくませ、我が子を抱くときに限りない喜びと感動を感じます。次は2〜3ケ月たち、喃語が出始めてママを目で追うときや、あやすと笑顔で応えてくれるようになったとき。ママの働きかけに赤ちゃんも喜んでウックン、ウックンと応え、初めてそこに母子の交流が生まれます。思わずほおずりしたくなる可愛らしさです。
一方「初めはどうしても可愛いと思えなかった」人も12%はいます。「こわくて、可愛いと思う余裕がなかった」「慣れない育児で無我夢中だった」「話せるようになって、やっと人間同士のコミュニケーションを感じた」など理由も様々、母性が成熟するにもある程度時間がかかるのかもしれません。
母性とは子育ての中から養われるものなのでしょう。
『赤ちゃんパスポート』より抜粋 監修:巷野悟郎
企画編集:ダイヤル・サービス株式会社
アイピー IP(identified patient)
英語のidentified patientの略で「患者とみなされた人」の意味である。
家庭内に登校拒否や思春期やせ症などの問題行動を持った家族成員が出た場合、その人のことを言う。そして家族はその人を責めがちである。しかし、その人が問題を起こすことによって、家族を崩壊から救っていることも多い。また逆に、家族は患者を良くしうる力を持っているとも考えられており、家族療法は家族とともに問題を解決していこうという考え方に立っている。
アダルト・チルドレン(adult children)
アダルト・チルドレン(AC)とは、アルコール依存症者への治療と援助を通して、ソーシャルワーカーやカウンセラーなどによって広まった用語である。
アルコール依存症の親を持った子どもが大人になるとACと呼ばれたが、現在では範囲を広げ、機能不全家族で育った子どもが大人になるとACになるというようになり、「生きにくさ」を表現する言葉として使われている。
アタッチメント理論
アタッチメントとは個人の愛着の状態と質に関する包括的な用語である。
またアタッチメント行動とは、ある特定の好ましい人物に対する接近を維持しようとする何らかの行動様式である。
円環的質問法(circular questioning)
実際の面接場面での具体的な手順として発展させた画期的な面接技法である。
(1)言語的および類推的情報
面接中に家族が使った言葉の中で特定のもの(キーワード)に着目し、これを関係の差異に置き換えていく。「母親が自分を責めているとき、家族の誰が一番心配していますか?」を「家族の中で一番話をしないのは誰ですか?」などに置き換える。
(2)問題の定義
「今のあなたがた家族の問題は何か?」という冒頭でのセラピストの質問は、ある円弧の一方の端を確定する作業であり、現在の問題と過去のある時点、つまりその問題が発生し、しかも家族関係が現在とは異なっていた時点とを面接の後半部で結び合わせることになる。
(3)現在の同盟関係
家族が問題を定義したあとの課題は、現在の問題をめぐる同盟関係を識別することである。「・・・(問題の定義)のとき、誰があわてますか?」「・・・(問題の定義)のとき、誰が一番落ち込みますか?」といった質問によって仮説を確認・修正をする。
(4)異なった連鎖
問題が起こったときに家族成員がどのように行動するか、その順序を質問する。それによって家族の同盟関係やパターンを明らかにすることができる。
(5)分類と比較の質問
・比較の質問の例「両親は、その後仲がよくなりましたか?」
・分類の質問の例「今、母親と一番仲がよいのは誰ですか? 次は誰? その次は誰ですか?」
・両者を混合した質問の例「以前の面接に誰が一番満足していましたか? 次は誰? その次は誰?」
(6)同意の質問
同意の質問によって強度や優先性をランクづけできる。たとえば、母親が息子に最も親しさを示し、それから父親が祖母に、そして最後に2人の姉妹がお互いに親しい、など。
(7)面前でのうわさ話
さらに三角関係についての情報が必要な場合には、「面前でのうわさ話」の質問を行う。うわさの質問は家族の1入にほかの2人の関係について意見を求めることである。残りについても、別の2人の関係について質問をしていくことによって公平性を保つように配慮する。
(8)下位システムについての質問
もし母親が「問題は自分と夫の間のコミュニケーションにある」と言ったとすれば、夫婦のどちらが子どもとのコミュニケーションがうまいかをたずねる。これによって、母子と父子の下位システム比較が可能になる。
(9)説明的質問
「・・・をどうしますか?」という質問。同じ質問を家族全員に繰り返し、その差異や共通点を確認する。この質問は治療的介入の準備になることが多い。
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