[実験]霧箱
目的 放射線は直接目で見ることはできないが、アルコールの蒸気を満たした霧箱を使えば、飛行機雲のような飛跡として観察することができる。そこで霧箱を用いて宇宙線やウラン鉱物などからの放射線を観察する。
準備するもの
・霧箱 ・ドライアイス ・手袋 ・エチルアルコール ・フェルト布 ・懐中電灯 ・放射性鉱物
手順
(1)平らな机上に図のように霧箱をセットする。ドライアイスは平板上のもの(2kg程度)で、箱の底部に密着するように置く。
霧箱
(第29回 理工学における同位元素研究発表会(平成4年)要旨集P228)
(2)上のふたをはずし、上のフェルト布にエチルアルコールを十分浸み込ませる。
(3)霧箱内に放射線源をセットし、しばらく待つ。
(4)懐中電灯で中を照らしながら、細かい霧の中に、時折白い飛跡が飛ぶのを観察する。
ウラン鉱石からの放射線の飛跡
考察
(1)宇宙線や各種の放射性鉱物から出る放射線の飛跡を観察し、図に書き表わし、それらの違いを比較しなさい。
(2)放射線にはα線、β線、γ線などがあるが、飛跡はどのようになると考えられますか。
応用
各種の放射性鉱物から出る放射線の飛跡を上部から写真撮影してみよう。
水質を調べる実験
「私たちの海や川の水はきれいかな?」
水は私たちの生活に欠くことのできない大切なものですが、空気と同じようにあまり身近すぎてそのありがたさを忘れがちです。言うまでもなく水は動植物体の生命の根源をなすもので、私たちの体内の水から海水に至るまで、種々の形で人間の生活に係わっています。日本人は古くから豊かで、きれいな水に支えられて来ましたが近年、人口増や工業化社会の豊かな生活のためのひずみとして、水の量や質の維持に問題が生じてきています。世界的にみても水質汚濁は広まる傾向にあり、水資源の確保は深刻な問題となっています。
ここでは、雨水、河川水、海水など身近な自然水の水質を調べる方法を学ぶとともに、水質の違いがそこにすむ生物の種類に反映されていることを野外に出て調べてみましょう。
目的 雨水や海水など身のまわりの水の酸性度を測り、水の酸性度についての理解を深める。特に近年問題となっている酸性雨が実際降っているかどうかを明らかにする。
準備するもの
・ビーカー ・リトマス試験紙 ・万能pH試験紙 ・pHメータ ・ろうと台 ・pH4標準液 ・pH7標準液
<サンプル>
・雨水 ・海水 ・河川水 ・家庭用洗剤 ・酢 ・1%水酸化ナトリウム水溶液・ジュースなど
手順
(1)サンプルをビーカーに約100mlとり、リトマス試験紙でそれぞれの酸性度を測定する。
(2)万能pH試験紙でそれぞれのサンプルのおおまかなpHを測定する。
(3)pHメータを用いて、サンプルのより正確なpHを測定する。
(4)特に雨については、降り始めからの水を集めてpHを測定したあと、2〜3回雨水を集め、手順(1)と同様にしてpHを測定する。
考察
(1)ここで測定したいろいろな水のpHの一覧表を作成し比較しなさい。
(2)雨の酸性度が高くなる原因について考えてみよう。
(3)降り始めと、降り始めから一定時間経過したあとの雨水の酸性度の違いが見られたら、その原因を考えてみよう。
応用
(1)種々の水のpH測定で、違ったpH試験紙を使ったときや、pHメータで測定したときのpH値の変動を観察してみよう。
(2)植物の葉や花にpH2、3、4、5の硫酸溶液をスプレーで吹きかけたときの変化を観察してみよう。
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