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[実験]放射線の透過力
目的 ベータ(β)線やガンマ(γ)線はかなり物質を透過する力をもっている。そこでβやγの線源と計数器の間にアルミニウムや鉛の吸収板を置き、それら放射線の透過力(逆に言うと物質による吸収のされ方)の違いを見る。
 
準備するもの
・β線源 ・γ線源 ・GM計数管 ・スケーラ ・吸収板(アルミニウムや鉛) ・線源支持台
 
手順
(1)GM計数管の近くに放射線源を置かない状態での計数率を測定する。(10分間、バックグラウンド)
 
(2)図のように、線源、吸収体、計数管をセットし、計数率の測定を始める
(5分間、放射能強度は一番薄い吸収板を置いたとき、10000カウント/分くらいになるのが望ましい)。
 
(3)吸収板の厚さを順次変えて放射能強度を測定する。
(4)最後にもう一度バックグラウンドを測定する。
 
 
考察
(1)上の手順の(1)と(4)で測定した値からバックグラウンドの平均値を求めます。(1)と(4)の値が必ずしも一致しない理由を考えなさい。またそれぞれの測定で、1分間の計数値にも変動があることを確かめよう。
(2)各吸収板を置いて測定したときの値から、バックグラウンドを差し引いた計数率(cpm)と吸収板の厚みの関係を片対数グラフに描きなさい。(計数率を対数側にとる)。
(3)手順の(3)の実験をβ線源とγ線源について行い、吸収曲線の違いについて考えてみよう。
 
応用
 吸収体として木材、プラスチック、鉄、コンクリートなどをつかったとき、放射線の吸収の度合いはどのように変化するかを考えてみよう。
 
放射線の透過力を調べる
 
 
目的 透過力の強いγ線源を用いて、放射能強度が距離と共に弱まることを測定によって確かめる。
 
準備するもの
・γ線源 ・GM計数管 ・スケーラ ・線源支持台
 
手順
(1)周りに何も物を置いていない机上の比較的広い空間に、GM計数管を置き、まずバックグラウンドを測定する。
(2)γ線源を机上の中心に置き、GM計数管を初めに線源から5cm離して放射能測定を行う。
(3)距離を2cmずつ離してゆき30cm離れるまでの各位置での放射能を測定する。
 
GM計数装置の1例
 
考察
(1)GM計数管の各位置での測定値からバックグラウンドを差し引いた値と、線源と計数管の距離(r)の逆2乗(1/r2)の関係を方眼紙に書き、直線になっているかどうかを確かめてみよう。直線性は実験室の広さ、室内の配置物の状況等により成り立たないこともあるので、直線性が成り立たない場合はその理由を考えてみよう。
 
γ線の距離の逆2乗則の測定例
 
(2)直線性が成り立っている場合には、机上の線源近くに鉄板等の異物を置いて(3)の実験を行い、直線性がいかにくずれるかを観察しなさい。
 
応用
 放射線源が点状でないとき、例えば5〜6cm離れて2つの線源がある場合にはどうなるかを考えてみよう。
 







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