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(3)委員会等の開催状況
 
◇平成14年度委員会等の開催状況
(委員会)
第1回委員会
 日時:平成14年6月21日(金)
 議題:事業計画
海難審判及び裁決の情報提供事業の現状
海難審判庁における裁決書改善への取り組み等
 主な審議内容:
(1)ヒューマンファクター概念の定義及びこれを海難調査に導入することの共通認識の確認を行った。
(2)海難審判の現状について共通認識の確認を行った。
(3)海難審判庁における裁決書の改善内容に対する意見交換を行った。
 
第2回委員会
 日時:平成14年7月22日(月)
 議題:海難審判庁における裁決書改善への取り組み
裁決書データベースの現状
 主な審議内容:
(1)裁決書の改善内容に対する意見交換(事前に意見照会したものを含む。)を行った。
(2)裁決書データベースの現状について共通認識の確認を行った。
 
第3回委員会
 日時:平成14年8月26日(月)
 議題:裁決書データベースの活用と改善の方向
海難審判業務全般
インシデント情報の報告、活用を図る方策等
 主な審議内容:
(1)裁決書データベースの情報提供は、一定の有益性は評価されるが、再発防止という観点からの利用には問題がある。
(2)裁決書データベースの情報提供は、多様なニーズに応じるため、きめ細かな対応を必要とする。
(3)海難審判業務全般に対しては、短期的には審判のスピード化、中長期的にはIMO決議との整合性、現行海難審判制度(懲戒、勧告、要望事項等)に対する現代の考え方など、ダイナミックな方向転換が要求されている。
(4)我が国の海事分野におけるインシデント情報の報告、活用の現状について共通認識の確認を行った。
 
第4回委員会
 日時:平成15年3月7日(金)
 議題:訪米調査報告
 中間報告書(案)
 
(検討作業部会)
第1回検討作業部会
 日時:平成14年7月2日(火)
 議題:「他の分野におけるヒューマンファクター概念による事故調査・分析手法の現状と海難調査(その1)」
講演(講師 堀野定雄委員)
 論点:(1)事故原因を分析するに当たっては、Man, Machine, Media, Management, Missionの5Mの視点について事実を調査すべきである。
(2)「不注意」は事故の原因ではなく結果であることを認識し、エラーを誘発した因子、すなわち「不注意」の真の原因を探求することが必要である。
(3)「法律違反すなわち事故原因」というやり方は、「人を処罰することによってしか事故はなくならない」という考え方に等しく、人間工学の科学原理から考えると、かい離している。
 
第2回検討作業部会
 日時:平成14年7月16日(火)
 議題:「他の分野におけるヒューマンファクター概念による事故調査・分析手法の現状と海難調査(その2)」
講演(講師 黒田勲委員)
 論点:(1)海難調査は、終局的には海難防止に方向付けされた対策指向型の調査でなければならない。
(2)海難審判庁の裁決は、原因究明はあっても再発防止対策が欠落している。
(3)再発防止対策を立案するに当たっては、的中性、確実性、永続性、具体性、実施可能性、普及性、整合性、経済性という8つの条件を考慮する必要がある。
(4)インシデント・レポートシステムについては、その構築に当たり、報告者に対する免責性、報告者の匿名性、報告者と運用者間の信頼関係、報告内容の簡素化、報告の流れの明確化、報告者の安全推進に対する貢献性の確証の確立が必要不可欠である。
 
第3回検討作業部会
 日時:平成14年9月18日(水)
 議題:「航空分野におけるヒヤリハット情報の収集と有効活用の現状」
講演(講師 石橋明(有)日本ヒューマンファクター研究所、
広瀬省三(財)航空輸送技術研究センター)
 論点:(1)事故事象のとらえ方として、責任追及・処罰型は、事故防止の手段として限られた価値しか持っていないので、対策指向型へ発想の転換が重要である。
(2)NTSB(米国国家運輸安全委員会)では、勧告の発出という過程を念頭において事故調査を行っており、また、ICAO(国際民間航空機関)も、なぜ事故が起きたかを究明することによって、航空システムの何が不具合であったかを指摘することになっている。
(3)世界の航空事故は地域によって違いがあり、突出したところが減らないと全体的に減少しない。
 
第4回検討作業部会
 日時:平成14年10月22日(火)
 議題:船舶分野におけるヒヤリハット情報の収集と有効活用の現状
講演(講師 松倉廣吉委員)
各船社におけるヒヤリハット情報の取り組み状況の紹介
 論点:(1)インシデントに関するデータを共有するとは、データを咀嚼し、それを還元させることで一つのサイクルができあがる。
(2)インシデント情報を収集するためには、自分の恥になるようなことは公開しないとする「恥の文化」又は「人の不幸はわが幸せ」といった日本人の心に宿る影の部分を払拭する必要がある。
(3)海難事故防止のためのデータは、原因を幅広く捉えて明示することにより活用の道が開かれる。
 
第5回検討作業部会
 日時:平成14年11月5日(火)
 議題:船舶分野におけるヒヤリハット情報の収集と有効活用の現状(その2)
ヒヤリハット情報の収集と有効活用について
講演(講師 矢野輝夫(元住金物流株式会社内航営業部副参事))
 論点:(1)ヒヤリハット情報の収集に関しては、簡単な報告様式、正確な分析、報告者へのフィードバックが重要である。
(2)報告した情報が生かされているという満足感が重要であり、社・内外の協力が必要である。
 
船舶運航上のヒヤリハット事例とその研究
講演(松岡猛委員、伊藤博子氏((独)海上技術安全研究所海上安全研究領域総合安全評価研究グループ研究員))
 論点:(1)ヒヤリハットを感じさせる要因として、航行の時刻、視界の良否、水域の広狭、船舶の種類・船型(大きさ)、速力の遅速などがかかわっている。
(2)ヒヤリハット情報を分析すると、自船よりも他船の異常に気付き易い、自船の制御が及ばないものをより重視し易いという特徴がある。
 
第6回検討作業部会
 日時:平成15年1月22日(水)
 議題:ヒューマンファクター概念に基づく事故調査手法の現状と問題点
 論点:(1)海難の再発防止策をたてる際、各海事団体又は各運航グループ等は海難調査の結果に何を求めているのか、何が有効であるかを検討する必要がある。
(2)海難防止という目的を達成するために、海難審判制度があり、長い歴史を持っているが、今までは後始末としては機能していたが、予防に持っていくためには、ヒューマンファクターという考え方を取り入れる必要があり、これが世界的な流れでもある。
(3)ヒューマンファクターと海難審判の対象になっていないインシデントの話は全く別のものであるが、海難を防止するためには、インシデント情報を積極的に集める必要がある。
(4)海難をいかに防止するかを考えるとき、リスク・アセスメントが重要で、海難のリスクを考えれば、インシデント・レポートを出してでも、何とかして海難を防止をしなくてはいけないという心構えの育成が肝要である。
 
◇平成15年度委員会等の開催状況
(委員会)
第1回委員会
 日時:平成15年6月3日(火)
 議題:委員の委嘱
平成15年度ヒューマンファクター調査研究事業の進め方
 主な審議内容:
(1)平成15年度ヒューマンファクター調査研究事業の進め方について意見の交換を行った。
 
第2回委員会
 日時:平成15年7月15日(火)
 議題:事故調査体制についての日本学術会議の取り組み
我が国の海難調査の現状と今後のあり方
 主な審議内容:
(1)第33回日本学術会議のオーガナイズド・セッション「事故調査体制」における「事故調査体制についての日本学術会議の取り組み」について、松岡委員及び清水委員から会議の概要説明が行われ、あらゆる事故についての「事故調査体制」における種々の要因の関係、総合的な事故調査体制のあり方について意見交換を行った。
(2)我が国の公的な海難調査機関としての、海難審判庁のおかれた位置付け、平成15年度における関係行政機関の海上交通安全に関する施策の現状等について審判庁から報告があり、意見交換を行った。
(3)我が国の海難調査の今後のあり方について、更に踏み込んだ意見交換を行った。
 
第3回委員会
 日時:平成15年8月26日(火)
 議題:アメリカ合衆国沿岸警備隊(USCG)における「海難調査手続」(和訳)の紹介
USCG調査報告書「ばら積み貨物船Bright Field号岸壁衝突事故」におけるヒューマンファクター概念についての検討
 主な審議内容:
(1)アメリカ合衆国沿岸警備隊(USCG)におけるヒューマンファクター概念に基づく海難調査手続の紹介。
(2)USCGにおける海難事件を一例にとって、ヒューマンファクター概念に基づく具体的な海難調査のデータをまとめ、問題点等について検討した。
(3)USCGにおける勧告を参考にして、我が国における勧告の問題点について意見交換を行った。
 
第4回委員会
 日時:平成15年11月7日(金)
 議題:検討作業部会からの報告
審判開始申し立て以外の海難について再発防止に資する調査・分析手法の検討
インシデント等の危険情報を共有化し、有効活用するために必要な環境整備の構築の検討
ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究 最終報告書(案)
海難審判庁における裁決書改善の取り組み
 主な審議内容:
(1)松倉部会長より3回にわたって行われた検討作業部会からの報告が行われた。
(2)審判開始申し立て以外の海難について再発防止に資する調査・分析手法として、基本的な考え方、今後取り組むべき課題について意見交換を行い、具体的な手法として、申立以外の海難のデータベース構築、情報量の多いアクシデントの活用、情報量の少ないアクシデントの活用、調査・分析の充実、ニーズに応じた分析情報のフィードバックが重要であるとの共通認識の確認をした。
(3)インシデント等の危険情報を共有化し、有効活用するために必要な環境整備の構築として、特にインシデント情報の報告項目等について、インシデント情報の報告を阻む要因、インシデント情報の報告制度の具備する要件、船員等からインシデント情報の報告を得るための要点、必須の報告項目について、事務局から説明した。
(4)ヒューマンファクター概念に基づく海難・危険情報の調査活用等に関する調査研究の最終報告書(案)について、事務局から骨子を説明した。
(5)海難審判庁における裁決書の改善の取り組みとして、今後ヒューマンファクター概念を取り入れた、新しい裁決書に改善していく具体的な説明がなされ、意見交換が行われた。







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