日本財団 図書館


 
ジェットフォイル乗船者全員救助
浸水沈没
 関西国際空港から神戸港行きのジェットフォイル〔総トン数165トン、乗客19名、乗員4名乗組み〕から、「船底に破口を生じて浸水がとまらず、船体が右側に約20度傾斜、間もなく沈没する。」という通報がありました。このため、海上保安庁は同船を救助するため直ちに巡視船艇を現場に急行させました。
 同船は、現場に到着した小型巡視艇と連絡を取りつつ、速力を落としてなんとか航行していましたが、港の入口付近で航行を続けることが不可能となり停船しました。この位置は防波堤からわずか100mしか離れておらず、強風により徐々に流され、防波堤が目前に迫ってきました。また、船内の1階客室には海水が侵入しており、乗客全員は救命胴衣を着用して2階客室に避難し、万一の場合に備えて退船準備をしている状況でした。
 当時の気象は、風速18m/s、波浪4〜5m、気温4℃という状況でした。もし、このような状況下で幼児を含む23名が海上に投げ出されたら・・・。
 そこで、緊急の曳航以外に救助手法はないと即座に判断した小型巡視艇は、強風、大波で自船の保持も困難な中、連続的に襲いかかる波に叩かれ、激しく動揺する甲板上で必死の準備作業を行い、防波堤への衝突目前で、曳航に成功し、一人の死傷者も出すことなく乗客等を全員無事下船させることが出来ました。
 
救助の翌朝に撮影された海難船
 
海上安全トピックス
 
命を救った自己救命策 〜大切な命は自分で守る〜
海中転落
 不幸にして海中に転落したときに、大切な命を自分で守るためには、「海上に浮いていること」、「連絡手段を持っておくこと」、そして、「速やかに救助要請をすること」が極めて重要です。一事例を紹介します。
 北海道釧路沖でプレジャーボートが転覆し、乗っていた4名全員が海水温度5℃という冷たい冬の海に投げ出されました。しかし、全員ライフジャケットを着用していたので、海面に浮くことができ、さらに1名が耐水型携帯電話を持っていたため、直ちに救助機関と連絡をとることが出来ました。連絡を受けて急行した海上保安庁の巡視艇に救助され、遭難者全員が極寒の海から無事生還しました。
 このように、万が一海中に転落した場合のために、海上保安庁では、「ライフジャケットの着用」、「携帯電話の携行(防水パック利用)」、「118番の有効活用」の三つを基本とする自己救命策確保キャンペーンを展開しています。
 キャンペーン活動では、パンフレット等の作成・配布、各種イベントやマリンレジャー安全講習会を通じた愛好者への呼びかけ等を行っています。また、国土交通省、水産庁及び海上保安庁の共催により、現在29の機関及び団体が参加するライフジャケット着用推進会議を開催するなど、関係機関、団体とも連携を図りながら幅広い活動を行っています。
 さらに、テレビ、ラジオ、映画CM、雑誌、電光掲示板等の政府広報を利用して、広く一般の方々へのPRにも努めているところです。
 
駅前広場の掲示板を活用したPR







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION