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8月13日(水)
本日のスケジュール・内容
1)熱帯医学研究所(Research Institute for Tropical Medicine)訪問
2)ラグナ州クバヤオ市保健所訪問
3)セブへ移動
 
1)熱帯医学研究所(Research Institute for Tropical Medicine)訪問
i. JICA結核対策向上プロジェクトについて
 マニラのホテルを出発し、約1時間でRITMに到着した。JICA専門家で業務調整官の岩下先生が出迎えて下さった。会議室にご案内いただき、そちらでは結核対策向上プロジェクトのチーフアドバイザーの加藤先生によりプロジェクトについて説明を伺った。
 結核患者の95%は途上国の人々であり、結核による死亡の98%は途上国で起こっており、回避可能な死の25%を占める。フィリピンも例外ではなく、結核は死因の第6位であり、西太平洋地域の中でも2番目に有病率の高い結核の高蔓延国である。
 このため、結核対策は国の重要な問題であり、新国家結核対策(National TB Control Program; NTP)が実施されている。NTPの目的は2つあり、結核死亡率を下げることと、耐性菌の発生を予防することである。戦略の中心はDOTSと呼ばれるWHOの結核戦略であり、(1)政府の関与、(2)喀痰塗沫検査を用いた受動的患者発見、(3)塗沫陽性患者を直接監視下での短期化学療法によって優先的に治療(Directory Observed Treatment, Short-Course; DOTS)(4)薬剤の継続的な供給、(5)対策実施状況の監視と指導、の5つの要素から成る。フィリピンにおいては、RHU(Rural Health Unit)が結核基本ユニットとなっており、図のような流れで患者発見や患者管理が行われている。このようなフィリピンの状況の中、JICAは結核対策プロジェクトとして、研修を始めとするNTP実施拡大支援、喀痰塗沫検査精度管理システムの確立、NTPの改定支援、ドナーの行う巡回指導マニュアル作成などを行った。このプロジェクトは巧を奏し、フィリピンは2001年、結核対策が特に成功した国としてWHOから評価されている。このような成果の要因としては、(1)WHOの推進するDOTS戦略を現地に適応した方法で実施したこと、(2)事前に基礎調査を行い、ニーズを把握し、ニーズに基づいた投入を行ったこと、(3)相手側にオーナーシップを持たせたこと、(4)対策実施後も巡回指導により職員の資質向上に努めたこと、(5)結核対策が保健省の中でも優先順位が高いプログラムに位置付けられ、力を入れていることの5つが挙げられるが、特に最後の要因に因るところが大きい。今後のプロジェクトの目標は3つあり、DOTSプログラムの質の向上を支援すること、喀痰検査のネットワークを確立すること、戦略研究を実施することである。
 
ii. 国立結核研究所内見学
 国立結核研究所は日本政府の無償援助により2002年に設立された研究所である。
 
Training room
 検査技師の喀痰塗沫技術研修が実際に行われていた。検査技師の研修は8日間であり、各段階ごとにチェックがあるため、誰一人挫折することなく、一定のレベルの技術が身に付く、とのお話であった。
 
Culture lab
 結核菌の薬剤感受性検査が行われていた。
 
トレーニング中の研修生
 
(文責:是永葉子)
 
2)ラグナ州クバヤオ市保健所訪問
 クバヤオ市(Municipality of Cabuyao)は、マニラから南に約45km、人口約106,000人の市である。市はさらに18のバランガイに分かれている。市内は、公立病院(Government Hospital)、私立病院(Private Hospital)に加え2つの保健所(Regional Health Units-RHU)、15の村落保健所(Barangay Health Station-BHS)、17の個人クリニック(Private Clinics)を持つ。医師の対人口比では、約6000人に1人となる。
 この日午後、私たちは2つあるRHUの内、クバヤオ市庁舎の隣にあるRHU-1及び市内のBHSを訪問した。RHU-1は去年できたばかりのきれいな建物であった。
 RHUのスタッフは、医師1人、看護師1人、助産師1人、結核の塗沫検査などを行う検査技師1人に加え事務員が数人からなる。この施設は、市内で行われている様々な保健医療プログラムの中心を担っている。ここのプログラムは、国家の推進する保健プログラムに加え、市内のBHSからのリポートに基づき、その地域で問題となっている保健医療の問題に対して独自のプログラムを作成、施行している。地方分権化を推進するフィリピンの特徴であるのか、必ずしも国家の保健医療プログラムの優先順位と各市の保健医療プログラムのそれが一致していないことが興味深い。
 
市長室にて
 
 今回私たちが訪問した際は、助産師による入籍予定者に対する性病や避妊に関する講習会が開かれていた。フィリピンでは、入籍前にこの講習を受けることが必修化されており、この日は10組ほどが講習を受けていた。RHU訪問後、隣接する市庁舎にて市長を表敬訪問した。その後、BHSへ移動した。移動中、柏市消防本部と書かれた日本の救急車とすれ違った。バルア先生の話にも出てきた日本の行ってきた援助である、「かきく(金、機械、車)」の言葉が頭をよぎった。
 BHSは、全国に約42,000箇所あるといわれ、助産師もしくはバランガイ・ヘルスワーカーと言われるボランティアによって、分娩介助、家族計画教育、避妊薬・避妊具の配布、母子保健教育、乳幼児健診、予防接種、結核治療、栄養失調児へのビタミン剤の支給等の簡単な治療や保健指導が行われている。私たちの訪問したBHSでは、1人の助産師の下、これらのプログラムが施行されていた。
 
バスケットをして大騒ぎ
 
 BHSには、例外を除き小学校が併設されている。理由について現地のスタッフに確認してみたが、はっきりとした理由は解らなかった。見学したBHSにも小学校が併設されており、訪問時、その校庭は子供たちで溢れていた。BHS訪問後の一時、小学生たちに混じりバスケットボールをする参加者もいた。
 
3)セブへ移動
 BHC訪問後バスにて一路空港へ移動した。目的地はセブ島。セブまでは国立結核研究所の加藤先生も同行した。マニラ出発は日没後。機内から見たマニラの夜景が印象に残る。セブの空港からホテルまでは、セブでの受け入れをコーディネートくださったMs. Guillerma“Neng”L. Limと共にバスにて移動した。道中、日本の援助で作られた橋を渡る。この橋だけでなく、空港も日本の援助によって造られたそうだ。ホテル到着後、毎日のミーティング、そして就寝。
(文責:小橋孝介)
 
8月13日 今日のひとこと
 
藤川:JICAの結核研究所が思いのほかキレイで驚きました。
というか、日本にいるかのようです。
板谷:シュートも決まらなかった。バスケ部としてはハズカシイ。
倉田:俺も告る勇気が出たよ。ありがとう。セブンのエナジーをもらってセブでLoveってかんじ?!
七條:今日はイタリアンと恋話をしました。告る覚悟ができました。ありがとう。
丹藤:マニラの町並みは、やはり日本と違っていて、気候の違いだけではなく、歴史や文化の違いを強く感じました。今になって、外国に来たんだなと、実感しました。
鶴岡:応援しているよセブン。小学生の女の子にアクセサリーをもらった。ありがとう。
喜多:セブに住む日本人の友人に治安の悪さを聞きましたが、信じられませんでした。
小橋:飛行機から見たマニラの夜景。もうプログラムも、後半戦に突入だ。
是永:加藤先生の授業が素晴らしかったです。車の中でもゆっくりお話しできて幸せ。
 :これだけの睡眠時間で今日の講義中あまり眠くならなかったのは驚き。それだけ内容が興味深かったってことかな。
水本:やりすごすかやりぬくか。どうしても欲張っちゃおうとしちゃうんですよね。
串間:助産師の方々はみーんなパワフル。
武山:マニラ→セブの飛行機で笑い上戸になってしまいました。久々に笑いまくりです。
石岡:マニラ空港の夕焼けはきれいでじんと来たものがある。また会う日まで。







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