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8月12日(火)
本日のスケジュール・内容
1)JICAフィリピン事務所訪問
2)フィリピン大学医学部訪問
 
1)JICAフィリピン事務所訪問
 JICAフィリピン事務所は、マニラ中心部マカティのオフィスビルの12階にある。12日(国外研修4日目)は、JICAフィリピン事務所にて、JICAの概要とフィリピンの現在の保健行政の仕組みについて講義を受けた。
 まず、JICAの概要について、加瀬晴子氏より説明を受けた。JICAは政府開発援助(ODA)における二国間贈与、中でも技術協力を担う組織である。現在は、大きく分けて、3つの派遣事業と2つの受け入れを行っている。3つの派遣とは、海外青年協力隊、専門家派遣、コンサルタント(開発計画)、2つの受け入れとは、研修員受け入れと、青年招聘事業である。JICAでは、様々な協力形態で、途上国のニーズに的確に応えるべく努力が続けられているという。さらに、フィリピンのJICAはかなり大きく、担当官は各セクターに別れて働いていたり、他国との競合もあったりと、現場ならではの臨場感あふれるお話もあった。また、その後の質疑応答では、青年海外協力隊や専門家派遣に質問が集中し、メンバーの国際協力に対する積極的な姿勢が伺われた。
 さらに、フィリピンの現在の保健行政システムについて、瀧澤郁雄氏より解説をいただいた。フィリピンでは、1992年の地方分権法の施行により、これまで中央集権的であった保健行政も、地方が中心となって行われることとなった。そのため、地域に根ざした医療行政を進めることができる一方、地域間の格差が問題となってきているという。日本の医療行政システムに問題意識を持つメンバーにとって、フィリピンの保健行政システムは大変興味深いものであり、質疑応答は非常に盛り上がった。
 最後に、瀧澤氏より「専門は忘れずに、幅を広げてほしい」とのメッセージをいただき、我々はJICAフィリピン事務所を後にした。
 昼食は、同じビルの6階にある食堂で、各自フィリピン料理を楽しんだ。
(文責:丹藤昌治)
 
2)フィリピン大学医学部訪問
 午後からはフィリピン大学医学部を訪問した。まずは副学長を表敬し、お話を伺った。
 フィリピン大学医学部は公立大学医学部の一つで、22の教室を持ち、国内でも最大規模の大学病院を併設している。1学年160人の学生がおり、多くの学生は2年間のpre-medの後、4年間の専門教育を受け、1年間のinternshipをするというカリキュラムになっている。学生の60%は、卒業後に他国(主にアメリカ)へ出てしまう。将来的には多くがフィリピンに戻るものの、医師の流出状態にある。また、国内での医師数の地域格差が問題の一つとなっている。先生は、日本の学生は国内に残って働くので“more nationalistic”とおっしゃったが、もしも日本の学生が英語で医学を学ぶ環境にあるとしたら、現状の通りではないかもしれない。国内医師数の地域格差は日本でも是正されるべきで、同じような問題を抱えていることがわかった。
 その後、フィリピン大学の学生に構内を案内してもらった。解剖学教室では実際に解剖しているところを見学させてもらい、講義中の講義室にもお邪魔させてもらった。制服ではないらしいが、学生は皆一様に上下白衣を着ており何だか印象的だった。
 
副学長とともに
 
日々の業務について説明してくれた救急部のドクター
 
フィリピン大学の医学生たちと
 
 次に隣接する大学病院内を案内してもらった。熱傷センター、外科病棟、救急病棟、小児科病棟、外傷病棟や手術室の入り口などを一通り見学させてもらった。外科病棟では体育館の半分くらいの広い部屋に60のベッドが並んでいた。空調設備もベッド間の仕切りもなく蒸し暑い部屋で、とても雑然としていた。待合室のホールや廊下も勿論空調もなく、体調の悪い人がこの環境にいて良くなるのだろうか・・・。日本の病院を見慣れている我々には非常に衝撃的だった。この研修の様々な場面で感じた、“当たり前”の感覚の違いがここにもあった。今ここにいる人たちが日本の病院を見たらどう思うのだろうか?。医療は国の色が出る文化で、この待合室で待つ患者さん一人一人は、その医療という文化の中では受け身にしかなれない立場にいるのだなと思った。
 暫しの休憩の後、フィリピン大学の学生にお願いして本屋に連れて行ってもらった。破格の教科書にみんな大興奮だった。
(文責:鶴岡美幸)
 
8月12日 今日のひとこと
 
藤川:JICA訪問もフィリピン大学の学生さんとの交流もとても充実したものとなりました。楽しかったね。
板谷:私も二度寝しちゃってかなり焦った。今日はきちんとパッキングしてベッドに入ります。
倉田:朝から体調のすぐれない一日だった。思考能力もストップしてた。もったいない一日だった。
七條:JICAの活動には興味を引かれた。
丹藤:バブさんはステキな人でした。
鶴岡:JICAではいろいろ教えていただいて勉強になった。そして、バブさんは神様でした。
喜多:JICAの現場を見て、日本もなかなかやるなと思いました。
小橋:このプログラムは国際保健以外にも様々な社会勉強ができると強く感じた。自分にとっては大きなことだった。
是永:料理は美味しかったし、お話しは面白くて、バブさんとの夕食は最高でした。
 :JICA訪問、UP訪問、バブさんとの夕食、難波江さんとの会食といろいろ盛りだくさんの一日だった。今日いろいろな人と話した内容は非常に有意義だった。
水本:メンバーのおかげでようやくスタート地点につけました。気合い入れていきます。
串間:フィリピン大学の学生さんありがとう!セブンが、ゲッツを伝授してきました。これも国際文化交流。
武山:朝寝坊してしまいました。でも行く先々で優しい人に出会いました。うーん、いい一日でした。
石岡:UPの学生との交流はとても良かったですが、彼らは最終テストを目前に控えているにも関わらず、私たちを受け入れてくれて感動しました。







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