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14:15〜15:00 「日本のNGOの役割と活動」
国際保健協力市民の会(SHARE) 代表 本田 徹 先生
 
 日本の医療系NGOの草分けとして、1983年に生まれたNGOを率い、カンボジアなどさまざまなところで活動されてきた先生が、NGOの立場から日本の国際協力のあり方についてお話し下さった。
 先生が、NPOという言葉の意味を初めて自覚的に考えるきっかけをもったのは、ピーター・ドラッカーの「NPOの経営」という本を英文で読んだときのことだったそうだ。「NPOはなにを創り出す存在か?」という彼の設問が印象的だったそうだ。企業のように靴や石鹸などの商品を作るのでもなく、政府のように規則や法令を定めるのでもないとすれば、NPOは何をするのが使命なのか?ドラッカーは、明確に「変革された人間(a changed human being)を創り出すことだ」と答えているそうだ。これは先生にとって、「目からウロコ」の体験だったそうだ。そのように真摯に、粘り強く活動を続け、事業の質とアカウンタビリティを高めていきながら少しずつ答えを見出していく先生の活動はさまざまな示唆に富んでいた。
 
15:15〜17:45 フリーディスカッション−国際協力、公衆衛生活動を中心に−
座長:厚生労働省医政局 局長 篠崎 英夫 先生
パネルメンバー:
国立国際医療センター国際医療協力局  局長 北井 暁子 先生
厚生労働省大臣官房国際課国際協力室  室長 福田 祐典 先生
国立国際医療センター国際医療協力局派遣第1課  課長 建野 正毅 先生
国立国際医療センター国際医療協力局計画課  課長 中野 滋文 先生
 
 それぞれの先生方から、ご自分の経験・立場をふまえて国際協力とは何か、またそれに必要な資質とは何かについて述べられた。
篠崎先生:
 「援助」から「協力」へと形を変えつつある日本の現状において、国際協力の実際は国の威信をかけた「闘い」である。WPROの尾身先生が現職に就任するまでの選挙について、その例として述べられた。また、語学能力は対人関係を築くための「道具」であることも強調された。
北井先生:
 国際医療協力局について、組織、ネットワーク、派遣活動について資料を用いて説明された。
建野先生:
 日本の国際協力について、昔は病院へのサポートが中心であったのが、現在は地域に根付いた行政に病院を巻き込むという形が作られている。協力の根底には、先進国の人(協力する人)が問題解決をする役務提供型から、自助努力サポート型への推移がある。その中で、これから求められる資質は、まず一人前の医師(医療者)になること、次にチャンスがあれば国際協力に関与すること、マネジメントスキルを持つこと、であり、マネジメントスキルについては、特別にマネジメントの専門家を配置するのではなく、医療者がその場で経験して磨いていけばよい、と私たちに伝えてくださった。
 
福田先生:
 国際協力は人の関係が重要であり、表では愛想良く、裏では国の利益を考えているという現状がある。国際協力の場に身を置きたい人に求められることは、様々な経験から自分のvalue systemを揺らぎないものとして持つこと、強い精神力を持つこと、英語は必須でもう一つラテン語系を習得するなどの豊かな語学力を持つこと、administration能力を持っこと、technical skillを持つこと、最後に、その人の立場に立って考えることのできる能力を含めた問題解決能力を持つこと、ということであった。
中野先生:
 「チャンスをつかむこと」―日ごろから与えられたことについて、やれる範囲で自分なりに努力することが重要であることを述べられた。
 
研修参加者からの質問:
「医師・看護師以外のコメディカルの国際協力の現状は」
−総合的な視野を確立するために、これからは様々な職種の人材と協力し合うことが必要であるし、現に始まっている。
「行政ならではの国際協力とは」
−自分の思い通りにはいかないことが多いが、世界中のNo.1といわれる方々と知り合うことができ、その方々を通してマネジメント方法を学ぶことができる。
 また、国を代表する者として世界の場を経験することもできる。
「Health for Allは実現可能か」
−2000年までにはできなかったが、その理念は今後も必要である。現実には「Health」に目を向けなくてはいけないが、そうでない国の方が多い。また、「Health」の概念の取り方によってその答えも変わってくる。
 
懇親会中、一人一人英語で自己紹介
 
海外研修参加者の初めての夜のミーティング
 
8月7日 今日のひとこと
 
藤川:みな一人一人が個性的でかつ国際保健への興味が高くて驚きました。きっといろんなお話しが出来そうで楽しみ。これからよろしくおねがいします。
板谷:みなの経歴を見てびっくり!場違いなところにきちゃったかな・・・。まぁマイペースにいろいろ吸収しよっと。
倉田:みんなキャラが濃そうな人ばっかりで楽しい旅になりそうだ。吸収できることはどんどん吸収して、でっかくなって日本に帰ってきたい。
七條:紀伊國先生はすごかった。あのユーモアは見習いたい。
丹藤:おもしろそうなやつばっかりでこれから楽しみです。自分の社会医学への視点が広がりそうです。
鶴岡:みんなの勢いがすごいなぁと。ゆっくりがんばりたいです。
喜多:講義は非常に疲れた。しかし、行政の方や、現場の方のお話しを伺えて非常に参考になった。これからの10日間が楽しみだ。
小橋:フェロー初日。いろんな話を聞き、いろんな人と出会い、もりだくさんな一日だった。これから先、10日間、何を見、何を感じ何を学ぶのか。自分にとってこのプログラム参加は大きなチャレンジだ。
是永:やっぱり懇親会が一番楽しかったです。お酒を飲みつつ直接いろいろお話しできて、すごくためになりました。
 :どういう人が集まってくるのかわからなかったが、かなりactiveでおもしろそうな人の集団なので楽しそう。10日間どうかよろしく。
水本:このメンツと一生もんの仲間になれたらと思います。
串間:メンバーの国際協力に対する意気込みが各所から伝わってきました。みんな活動的でいい刺激になりそう。唯一の看護学生だし、違った方向から切り込めるといいなと思っています。2週間弱よろしく。
武山:夜に弱く朝に弱い私にとって一日目からすでに不安の雲です。でも一日で10年分くらいの出会いがあった気分です。
石岡:すごい人がいるんだなぁ、と思う一日でした。







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