第3章 実験の成果と課題の検討
今回の実験では、サテライトを除く各施設ごとにコーナーを設けたが、既存施設内という制約上、以下のグレードで、情報発信サービスが行われた。
地域 |
設置施設 |
作成印刷物 |
他の「駅」
の情報 |
その他
パンフ等 |
案内人 |
トイレ |
交流スペース・
喫茶等 |
アンケート |
隠岐 |
B&G海洋センター
クラブノア隠岐 |
○ |
○ |
|
兼任 |
○ |
○ |
○ |
対馬 |
日田勝港
ターミナルビル |
○ |
○ |
|
|
○ |
○ |
○ |
種子島
|
おじゃり申せ館 |
○ |
○ |
○ |
兼任 |
○ |
○ |
○ |
観光ホテル
門倉亭南荘内
TNAツアーズ |
○ |
○ |
|
兼任 |
○ |
○ |
○ |
(サテライト)
ひげさんの店 |
|
|
|
兼任 |
○ |
|
|
(サテライト)
おたつめたつ |
|
|
|
|
○ |
|
|
(サテライト)
ロータスイトウ |
|
|
|
|
○ |
|
|
|
(1)アンケート概要
方式:「海島の駅」コーナーに設置し記入後に回収
期日:平成15年8月2日から8月31日(その後も暫時回収)
対象:「海・島の駅」利用者
回収数:37件
(2)アンケート結果概要
1)総括
今回のアンケートは、回収サンプルが37件と、見込みより非常に少ない結果に終わった。この要因は、以下にあると推測される。
(1)「海・島の駅」実験期間の、平成15年の夏がまれに見る冷夏であり、隠岐・対馬・種子島への入り込み客数が例年と比べ、非常に少なかったこと。
(2)諸般の事情により事業規模を縮小せざるを得ず、「海・島の駅」に常駐する案内人を設置することが不可能となり、利用者にマンツーマンでアンケートの記入を依頼することができなくなったこと。
(3)諸般の事情により事業規模を縮小せざるを得ず、アンケート回答者への記念品の進呈を行わなかったことである。
現地からの報告によれば、平成15年の夏は、平年と比べ、それぞれの施設で1/2から1/3程度の利用者しかいなかったということであり、サンプル数は少なくなったが、記念品目当ての迎合的な回答がなくなり、あくまでも回答者の自発的な意思によりなされたということで、回答の信頼性は向上したと考えることができる。
隠岐の「海・島の駅」運営者に聞いたところによると、平成15年9月時点で、作成したパンフレットはすべて配布しきってしまったとのことで、回答者こそ少ないものの、「駅」利用者は最低でも750人以上いたことが分かる。
対馬の場合、作成したパンフレットは好評を得ており、平成16年2月の時点でも、パンフレットの引き合いがあるとのことで、アンケート回答者は0であっても、「海・島の駅」利用者は存在していることが分かる。
種子島では、利用者は地元の高齢者が多く、それでアンケートの回答が少なかったと判断される。
2)アンケート結果の分析
Q1. 今回、「海・島の駅」のある施設には、どんな目的で来訪されましたか?
選択肢 |
割合 |
回答数 |
隠岐 |
対馬 |
種子島 |
(1)観光・レジャー・旅行 |
61% |
22 |
13 |
|
9 |
(2)仕事 |
22% |
8 |
1 |
|
7 |
(3)海・島の情報を得たくて |
0% |
0 |
0 |
|
0 |
(4)トイレを借りに |
3% |
1 |
0 |
|
1 |
(5)たまたま |
11% |
4 |
2 |
|
2 |
(6)その他 |
3% |
1 |
0 |
|
1 |
計 |
100% |
36 |
16 |
0 |
20 |
|
割合
隠岐では、圧倒的に「(1)観光・レジャー・旅行」目的が多いが、種子島では、「(1)観光・レジャー・旅行」と「(2)仕事」が、僅差で並んでいる。これは、「海・島の駅」の設置場所の違いが要因であると解される。
隠岐では、B&G海洋センターというレクリエーション施設に「海・島の駅」を設置したのに対し、種子島では、NPOの本部事務所と観光ホテルに設置したが、この観光ホテルは、宇宙航空開発研究機構(JAXA)の定宿となっており、業務関連の宿泊が多いことが、このような結果となったと考えられる。
また、種子島では、「(4)トイレを借りに」が1名おり、「(6)その他」として「Iターンの相談に」と回答したものが1名いたことが特徴的である。
Q2. 今回、「海・島の駅」を利用してみて、あなたの役に立ちましたか?
選択肢 |
割合 |
回答数 |
隠岐 |
対馬 |
種子島 |
(1)とても役に立った |
17% |
6 |
0 |
|
6 |
(2)役に立った |
72% |
26 |
12 |
|
14 |
(3)あまり役に立たなかった |
11% |
4 |
4 |
|
0 |
(4)役に立たなかった |
0% |
0 |
0 |
|
0 |
(5)その他 |
0% |
0 |
0 |
|
0 |
計 |
100% |
36 |
16 |
0 |
20 |
|
割合
全体としては、「(1)とても役に立った」が17%、「(2)役に立った」が72%と、回答者のほぼ9割が、「海・島の駅」を肯定的に評価している。
島ごとに見ていくと、「(1)役に立った」と回答しているのは、すべて種子島の回答者である。これは、隠岐では、レクリエーション拠点に「海・島の駅」を設置したため、回答者が予め島の情報を十分に入手していたと思われるのに対し、種子島では、ビジネス客が、回答者のある程度を占めていたために、種子島に関する必要十分な情報を得ずに島に来てしまったため、「海・島の駅」が島の情報を得るのに非常に役に立った、と考えることができる。
Q3. 全国の海辺施設に「海・島の駅」があれば利用したいですか?
選択肢 |
割合 |
回答数 |
隠岐 |
対馬 |
種子島 |
(1)ぜひ利用したい |
19% |
7 |
1 |
|
6 |
(2)利用したい |
78% |
28 |
14 |
|
14 |
(3)あまり利用したくない |
0% |
0 |
0 |
|
0 |
(4)利用しない |
3% |
1 |
1 |
|
0 |
(5)その他 |
0% |
0 |
0 |
|
0 |
計 |
100% |
36 |
16 |
0 |
20 |
|
割合
全体としては、「(1)ぜひ利用したい」が19%、「(2)利用したい」が78%と、9割以上の回答者が、全国の海辺施設に「海・海・島の駅」を設置することに対して肯定的な回答を寄せている。
「(1)ぜひ利用したい」は、種子島のみの回答となっているが、この理由は、Q2で述べた理由と同様のものであると考えられる。
Q4. 今回の「海・島の駅」は、隠岐・対馬・種子島が連携して取り組んでいますが、今回、他の島の情報を入手して、よその島へ遊びに行ってみたいと思いましたか?
選択肢 |
割合 |
回答数 |
隠岐 |
対馬 |
種子島 |
(1)ぜひ行ってみたい |
11% |
4 |
0 |
|
4 |
(2)行ってみたい |
49% |
18 |
5 |
|
13 |
(3)機会があれば行ってみたい |
38% |
14 |
11 |
|
3 |
(4)行ってみたいと思わない |
3% |
1 |
0 |
|
1 |
(5)その他 |
0% |
0 |
0 |
|
0 |
計 |
100% |
37 |
16 |
0 |
21 |
|
割合
全体で見れば、「(1)ぜひ行ってみたい」が11%、「(2)行ってみたい」が49%、「機会があれば行ってみたい」が38%と、ほぼ全員が、他の島の情報提供により、関心を持ったことが伺える。
個別に見ると、「(1)ぜひ行ってみたい」が隠岐では0、種子島では4。「(2)行ってみたい」が、隠岐では5、種子島では13。「(3)機会があれば入ってみたい」が隠岐では11、種子島では3と、種子島のほうがより積極的な回答が寄せられているが、これは、「海・島の駅」設置施設の特性により、隠岐が、目的的に訪れているリピーター率が高い一方、種子島はビジネス客という一見さんが多く、隠岐のほうでは、回答者のほかの島への関心が、種子島よりも低くなっているのではないかと思われる。
Q5. 「海・島の駅」に置いてあれば、『面白い・役に立つ!』と思う海関連の情報を、お書き下さい。
記入があったのは以下の10件である。
(1)体験できる海のレジャー(ヨットやスキューバ等)の情報
(2)海のレジャー情報
(3)島の特産品情報
(4)釣りに関する情報
(5)島の海の見所に関する情報
(6)潮の干満の時間についての情報
(7)潮の満ち引きの情報
(8)海・島の駅のある島の気象情報がリアルタイムでわかるもの
(9)日の出、日の入りの時間の情報
(10)周辺にどのような施設があるかの情報
Q6. 『こんな「海・島の駅」が欲しい・あったらいいな・楽しいな!』というアイディアを、お書きください。
記入があったのは、以下の6件である。
(1)各地の見所などビデオ等の映像で紹介してくれる
(2)島でのレジャーの拠点として島内のアクティビティについて紹介、斡旋をしてくれる
(3)海産物の販売
(4)道の駅のように、駐車場で安心して車中泊ができ、食料品を販売している
(5)24時間利用できる
(6)コンビニエンスストアの併設
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