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2 調査すべき事項及び水路調査を行わなかった理由
(1)調査すべき事項等
(ア)調査事項及び事件種類の状況
 
水路調査不十分では「航海に必要な海図による調査を行わなかった」とされたものが圧倒的に多い。
 
・「水路調査をすべきであった」と指摘された40件のうち調査すべき内容は、「海図」が23件と最も多く、そのうち4件は大縮尺の海図で調査すべきであったと指摘している。
(参考 海図等の搭載状況)
モーターボート・ヨットの海図の搭載割合・・・25.5%
海図以外の各種資料の搭載割合・・・2.7%
 
表1 「水路調査すべきであった」と裁決で指摘された調査事項と
事件種類別内訳(発航前の水路調査不十分により発生した海難)
(単位:件)
調査事項  事件種類     計 
乗揚 施設損傷 衝突
(単)
転覆 沈没
海図 19 1 2   1 23
マリーナ等の付近海域に関する情報 1 1 1     3
県発行の養殖漁場図   2       2
「漁区定置箇所一覧図」   1 1     2
行われていた港湾工事等の関係資料   1 1     2
「ヨット・モーターボート・小型船用参考図」 1         1
「プレジャーボート・小型船用港湾案内」   1        
海上保安庁「管区水路通報」   1       1
掲示されていた養殖施設の注意書き   1       1
漁業協同組合の情報     1     1
(具体的な指摘なし) 1 1   1   3
合計 22 10 6 1 1 40
 
提言
 海図の備付けを義務付けられていないプレジャーボートにおいて船舶の大きさから海図を搭載することが困難な場合又は船上で海図を見ることが実際的でない場合には、海図に準じたプレジャーボート用の各種資料を搭載し、事前に十分に調査する必要があります。
 なお、キャビンのないモーターボートなどで各種資料を保管する場合は、完全防水ケースなどを利用すると便利です。
 
(イ)海図によって調査すべき内容
 
海図による水路調査を行わず乗り上げた事件の5割強は干出岩への乗揚
 
・乗揚の19件のうち、干出岩が10件、暗岩・浅所が7件であり、海図により、予め干出岩、暗岩・浅所を知るべきであった事例が多い。
 
(2)水路調査を行わなかった理由など
(ア)水路調査を行わなかった理由
 
水路調査不十分とされた事件の半数は当該海域の通航経験があった
 
・水路調査を行わなかった理由及び当該海域通航経験の有無は表2のとおりであり、当該海域における通航経験の有無はほぼ半々である。
 
表2 水路調査を行わなかった理由と当該海域の通行経験の有無
(発航前の水路不十分により発生した海難)
(単位:件)
理由の分類  水路調査を行わなかった具体的理由  当該海域通航の経験 合計 
あり なし 不明
航行海域の危険性に対する過小評価   無難に通航できると思っていた。 2 5 1 8  16
これまで無難に航過していたので大丈夫と思った。 5     5
昼間、無難に航過していたので大丈夫と思った。 3     3
知識の欠如に伴う安易な判断      陸岸(島)を離して航行すれば大丈夫と思った。 2 3   5   17
自船の喫水が浅いので大丈夫と思った。 1 2   3
他船の後を追って行けば大丈夫と思った。   2   2
ブイを見て行けば大丈夫と思った。 2     2
陸上の物標を目標にして進行すれば大丈夫と思った。 1 2   3
この時期に養殖施設はないと思った。 2     2
機器・装備品の誤った理解 GPSプロッターを搭載しているので大丈夫と思った。 2 2   4  5
測深儀を見て進行すれば大丈夫と思った。   1   1
  (不祥)   1 1 2 2
合計 20 18 2 40 40
 
水路水調査を行わなかった理由は水路調査の重要性に対する理解不足と機器・装備品への誤った理解
 
・水路調査を行わなかった理由は、ただ単に「無難に通航できると思った」、「一定の物標(他船、ブイ、陸上物標など)を見ていけば大丈夫と思った」などの水路調査の重要性に関する知識の欠如によるものが大部分を占め、その他GPSプロッターなどの機器、装備品への誤った理解となっている。
 
提言
 初めて航行する海域について、発航前に十分な調査を行うことは当然ながら、通航の経験のある海域についても、通航前には最新の情報を入手するなど、改めて十分な水路調査が必要です。
 一見平らな海面であっても、暗礁が存在したり、定置網等の魚網や海上施設が設置されていることもあり、いたるところに障害物が存在する。こうした海上施設等は、特定の季節や期間に限って設置されることもあり、新設・移動・撤去など変更されることが多く、また、これらの存在や危険を示す航路標識等も同様に変更されることがあります。
 特にプレジャーボートが多用する沿岸水域においては、臨海地域の開発と相まってこれら海上施設等の変化が激しく、魚網の中には標識や灯火が不十分、不設置というケースもあり、「以前に通航して経験があるから大丈夫。」という判断が先に立ち、水路調査を行わなかったことが、危険を招く結果につながっています。
 乗揚、施設損傷、衝突等の海難を防ぐためには、航海計画を立てる段階で十分な水路調査を行うことが重要であるという基本認識を船長が持つことが必要です。
 
(3)夜間航行のための水路調査
 
昼間の通航経験があることから、夜間航行のための水路調査を行わなかった例が多い
 
・水路調査不十分が原因で発生した海難のうち、衝突においては6件すべてが夜間に発生し、施設損傷においては10件中6件が夜間又は日没後の薄明時に、乗揚においては22件中5件が夜間に、転覆においては1件が薄明時に発生している。
 
提言
 夜間の航海は、昼間に見えた障害物や航海目標が見えないことに加え 航路標識、施設等の灯火など新たな情報を入手する必要があり、昼間に安全に航行できたからといって、水路調査をしないまま夜間航行することは、きわめて危険です。
 また、岸壁、桟橋、灯浮標などに衝突・接触する海難は夜間発生の割合が多く、沿岸近くの海域にはこれらの施設が多数存在することから、夜間の航行に際しては、陸岸や島からの距離を昼間より十分に離すなど、安全に注意してより慎重に航行する必要があります。
(以下次号)
表彰
 各地区の平成15年度「海の日」記念式典等において、次ぎの(社)瀬戸内海小型船安全協会関係者の皆様が海上保安業務関係功労者として表彰されました。おめでとうございます。
 
■海上保安庁長官表彰
●海上安全指導員
岡山県東部地区 山村 昭
宇和島地区 島原 建二
 
■第六管区海上保安本部長表彰
●役員
広島地区 松浦 隆
山口県内海地区 森重 徳男
●海上安全指導員
岡山県西部地区
滝澤 典和・赤沢 浅夫
赤沢 秀治
岡山県東部地区 川邉 健作・光森 聰
広島地区
福見 義弘・大方 春登
下倉 正治
呉−竹原地区 花田 博幸
広島県東部地区 宮本 隆幸
山口県内海地区 林 純司
香川県地区 野田 大燈
松山地区 石崎 秀行
 
■広島海上保安部長表彰
●海上安全指導員
広島地区 澤岡 敏幸
 
■水島海上保安部長表彰
●海上安全指導員
岡山県西部地区
矢川 幸二・矢部 祐二
田代 裕之・国西 一紀
 
■尾道海上保安部長表彰
●海上安全指導員
広島県東部地区 佐藤 幸作
 
■呉海上保安部長表彰
●海上安全指導員
呉−竹原地区 渡部 利幸
 
■徳山海上保安部長表彰
●理事
山口県内海地区 岩本 年市
●海上安全指導員
山口県内海地区 大川 昌秀・三田 忠徳
 
■高松海上保安部長表彰
●海上安全指導員
香川県地区
中村 満博・小西 隆博
岡原 俊治・中村 義隆
西崎 博史
 
■宇和島海上保安部長表彰
●海上安全指導員
宇和島地区
毛利 征二・菊池 満隆
島原 正男
 
お知らせ 安全パトロール艇ステッカーの配付
[事務局]
 海上保安庁では安全パトロール艇の指導活動の活性化と海上安全指導員の士気高揚を目的として、下図のステッカーを制定され、本年9月中旬以降、全安全パトロール艇に配付されます。
 







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