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平成15年度 新マイクロ波標識の開発に関する調査研究中間報告書

 事業名 新マイクロ波標識の開発に関する調査研究
 団体名 日本航路標識協会  


(2)単位遅延と処理後パルス幅の関係
 
 遅延回路の特性を決定する単位遅延量は、レーダー側のパルス幅(単純パルスレーダーであればパルス幅、パルス圧縮レーダーやFM-CWレーダーであれば処理後のパルス幅)との関係で適切に決定する必要がある。図4-21は、遅延合成型のレーダービーコンに設定された単位遅延量と、レーダーのパルス幅が一致しない場合の概念図である。レーダーのパルス幅が、レーダービーコンの単位遅延量より短いと、応答波形は櫛状となってしまう。また、レーダーのパルス幅が長い場合には、このレーダーパルス幅にレーダービーコンの遅延量が加算された長さのパルスが発生する事になり、例えば短点符号を発生するために1μsの遅延を持った回路に1μsのレーダーパルスを入力すると、2μsの応答波が発生してしまうことになる。
 この現象をシミュレーションによって確認した。図4-22は、単位遅延量を0.01μsとし、発生符号を1μsの短点として合成した遅延回路に0.08μsのレーダーパルスを入力した場合の出力特性であり、レーダーパルスも十分短く、単位遅延量もレーダーパルスより短く設定されているので、概ね所望の1μsの応答信号が発生できていることがわかる。図4-23は、単位遅延量を0.2μsとした場合であり、前の結果と比較して、レーダーパルス幅よりも単位遅延が長いため、応答波形が櫛状になってしまっていることがわかる。
 図4-24は、単位遅延量0.01μs、発生符号を1μsの短点として合成した遅延回路、すなわち図4-22と同じ遅延回路に1μsのレーダーパルスを入力した場合であり、レーダーパルス自身が持つ1μsの長さと、遅延合成によって発生した1μsの信号が加算されて、2μsの長さになってしまっていることがわかる。
 以上のことから、遅延合成方式のレーダービーコンは、パルス幅の狭いレーダーでなければ対応できないことになり、何らかの方策が必要である。
 
図4-21 レーダービーコンの単位遅延量とレーダーパルスの不一致による影響
 
図4-22 単位遅延量とレーダーパルス幅の関係が適切な場合
 
図4-23 単位遅延量に対してレーダーパルスが短すぎる場合
 
図4-24 単位遅延量に対してレーダーパルスが長い場合
 
(3)サイドローブ応答抑圧
 
 従来の周波数アジャイル型レーダービーコンでは、受信したレーダー波のレベル検出を行い、直前回と今回のレベル差が20dB以上の場合に、それをサイドローブと判断して送信を禁止するような機能を持たせている。一方、遅延合成方式レーダービーコンは、受信したレーダー波のレベルを検出する機能を持たず、受信したレーダー波全てに対して応答を行うため、このような機能を持たせることが難しい。そこで、サイドローブ応答抑圧機能がないことによる応答特性への影響について検討した。
 図4-25は、従来の周波数アジャイル型レーダービーコンの応答特性とレーダー側での受信特性を示したものである。IMO規格では、レーダーの水平面サイドローブについて次のように規定している。
 
メインローブから±10度以内:23dB以下
メインローブから±10度以外:30dB以下
 
 従って、同図では最悪値としてレーダーのアンテナサイドローブが-23dBの場合で計算を行っている。レーダービーコンで受信されるレーダー波の電力は、アンテナのメインローブとサイドローブで23dBの差があるため、上述のサイドローブ応答抑圧機能で、サイドローブへの応答を阻止できる。およそ0.65NM以下の距離になると、レーダーのサイドローブからの送信波が、-40dBm以上のレベルでレーダービーコンにより受信される。サイドローブ応答抑圧機能が無い場合は、この距離からレーダービーコンがサイドローブに反応することになる。この場合、レーダービーコンはメインローブへの応答と同じように400mW(26dBm)の出力で応答信号を送信する。これをレーダーはサイドローブで受信することになるため、メインローブより23dB低いレベルで、ビーコンの応答信号を受信することになる。
 図4-26は、同様の検討を、遅延合成方式レーダービーコンについて行ったものであり、レーダーには従来のパルスレーダーを仮定している。同図より、パルスレーダーが遅延合成方式レーダービーコンにアクセスした場合は、距離によらずサイドローブの影響を少なからず受け、距離0.65NM以下においては従来のビーコンにサイドローブ応答抑圧が無い場合と同様の振る舞いをする。従って、従来のレーダービーコンでサイドローブ応答抑圧が必要欠くべからざる機能であるならば、遅延合成方式のレーダービーコンにおいても、その機能は必須であると判断できる。
 図4-27は、FM-CWレーダー波に対して検討を行ったもので、レーダーの出力が小さいためレーダービーコン側の受信機、送信機等が飽和領域でない線形領域で動作するため、パルスレーダーに対する応答特性とは若干振る舞いが異なる。すなわち、レーダーアンテナのサイドローブが23dBなので、送信及び受信時併せて46dBのレベル抑圧が得られることになり、パルスレーダーに対する応答の場合よりメインローブとの差が23dB大きくとれることになる。言い換えれば、レーダーで通常の物標を探知している時に受けるサイドローブの影響と同様の影響しか与えないことになる。
 以上の結果より、遅延合成型のレーダービーコンをパルスレーダーも含めて対応させる場合は、従来のレーダービーコンと同様にサイドローブ応答抑圧が必要となる可能性があり、また、FM-CWレーダーのみを対象とする場合は、運用上あまり大きな支障とならない可能性がある。







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