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諏訪内晶子
 
篠崎功子
 
漆原啓子
 
千住真理子
 
樫本大進
 
竹澤恭子
 
宗倫匡
 
矢部達哉
 
戸田弥生
 
 2002年9月、横浜みなとみらいホールでサカリ・オラモ指揮、バーミンガム市交響楽団と諏訪内晶子さんがシベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏した直後、「初めて、あなたの演奏に惚れたヨ」と話しかけると、「それは楽器の所為(せい)ネ」と笑っていた。彼女とはモスクワでのチャイコフスキー国際コンクールで優勝した折も一緒で、あの時はサントリー音楽財団より貸与された楽器を弾いた。現在それを神尾真由子が使用していて、1727年製である。でも彼女の演奏のどこかに冷たいものを感じ続けていた。それがまるで様変わりして、優しく惚れ惚れとした音色をホール一杯に充ち溢れさせていた。弾いた楽器は名ヴァイオリニストのハイフェッツが使っていた名器1714年製「ドルフィン」だった。その他、海外で活躍するソリストたちの中で、竹澤恭子さんが使っているのは1707年製「ハンマー」。川久保賜紀さんも同じ1707年製「カテドラル」。戸田弥生さんは1694年製の「スギチェリ」。庄司紗矢香さんが1715年製「ヨアヒム」と名器を奏でている。
 日本では浦川宜也さんが1713年製「レディ・レイ」、徳永二男さんが1720年製の「ロチェスター」を弾いている。最近では漆原啓子さんは1667年製、豊嶋泰嗣さんが1719年製、矢部達哉さんが1685年製と、相次いでストラディヴァリウスを手にして、音楽がずっと豊饒になった。ストラディヴァリウスは名手の技をより熟成させる不思議な力を秘める“魔法の楽器”で、300余年の歴史がそれぞれの楽器に染みこんでいて、その魂が演奏家と呼応しているからだ。







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