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新規範発見塾 レクチャー・メモ vol.15

 事業名 先駆的情報の創出・発信事業
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


ダムダム弾と劣化ウラン弾
 話がそれますが、戦争とは何かということを知るために、こんなエピソードを紹介しましょう。ダムダム弾はご存知でしょうか? 鉄砲の弾は鉛ですが、その先端に切れ目をつけておくと、相手の体の中に入ってから、その切れ目が開く。ケガがひどくなるし、鉛の毒が回ります。一発では死ななくとも、一〇年、二〇年苦しむという弾なのです。このダムダム弾を欧米は大量に使用しまして、第一次世界大戦が終わった後で、禁止しました。後の損害があまりにも悲惨だったからです。
 日本軍の三八式歩兵銃というのは、口径が六・七五ミリで、小さい弾です。だから相手の体をスポンと抜けて、大したケガはしないのです。すぐに治ってしまう。しかし当面の戦争では一応ケガ人になるので、今日一日ケガ人になってくれればそれでいいという武器です。この程度でいいやというのを、日本は使ったわけですね。
 それに対して、末永く痛めつけてやるというのが、ダムダム弾です。
 私がなぜ、いまこんなことを言うかというと、ブッシュはイラクに戦争をしかけそうです(編集部注・その後日本時間三月二十日、米英軍のイラク攻撃が開始された)。
 戦闘そのものはアメリカの軍事力が圧倒的ですから、短時間で片がつくでしょう。しかし、それは一体何のためにやるのか、そしてその後に何が残るのか。特に「その後に何が残るか」を言わなければ、戦争目的を言ったことにならないのです。
 これまでも本に書いたことがありますが、この前の湾岸戦争で、いま確実に残っているものは何だか知っていますか? 幾つかあるのですが、ブッシュのお父さんがやったあの戦争で、いま残っていてアメリカ人が言わないものがある。劣化ウラン弾です。
 フセインの戦車部隊、ソ連製のT72というのは、前面装甲四〇センチという分厚い鉄板をつけて走っています。そこへバズーカや何かが命中すると、すり鉢型に溶ける。一センチでも残っていればいいのですが、突き抜けると熱風が吹き込んで、中の人が死んでしまいます。そこで四〇センチの鉄板の戦車をぶち抜くために、劣化ウラン弾というものを開発した。
 ウランは質量が高くて重量があるし固いので、直径は小さくても鉄板をキリのように貫徹するのです。しかも猛毒で、一〇〇〇年も残るんですね。戦場跡にこれが残っていて、イラク人にはガンと白血病が多発しているといいます。後に残るという意味では、これはダムダム弾みたいなものですね。だから情報を統制している。といったって、やはり漏れてしまう。
 後に残るものは劣化ウラン弾で、イラク人が死に絶えると石油が丸ごともらえる。だからアメリカ人に「人間がみんな死んでくれるのが一番嬉しいんでしょう」と私は聞くのです。なにも非難、攻撃しているわけではありません。言い分があれば聞きたいと、弁明の機会を与えているんです(笑)。
 ともかく、そういう戦争のやり方は今に始まったことではない。昔からあったことで、しかも大陸に住めばそうなるのです。大陸に住めば、異民族、異文化、異文明がてくてく歩いてやってくる。たちまち皆殺しにされる。だからこっちも、自分を守るためには相手を皆殺しにしなければいけない。愛国心があるから、そうなってしまうとも言えるのであって、それが世界の戦争の常識です。
 
略奪ばかりで開発しないロシア人
 さて、テンを追ってどんどん進み、シベリアのテンは獲り尽くして、オホーツク海へ出ます。しかし、そこですばらしいものを見つけたんです。ラッコです。同じような毛皮になるので、ラッコを獲るために今度はエスキモーをこき使います。それでカムチャツカ半島へ渡る。そこで獲り尽くすと、ベーリング海峡を渡ってアラスカへ行くのです。アラスカに着いてからは、さらに南へ、サンフランシスコまで下がります。もちろんその途中で、またインディアンに悪いことをするんですよ。そしてサンフランシスコで、イギリス船に追い払われて引き揚げます。
 そのような経緯で、アラスカまではロシアのもの、アラスカからこっちはイギリスのものと分かれますが、イギリスとフランスは逆襲に転じて、今度はカムチャツカ半島まで英仏の連合艦隊がやってきます。
 カムチャツカ半島にペトロパブロフスクという港町があります。そこへイギリスとフランスの連合艦隊が来て、砲撃を加えるわけですね。町を焼き払って上陸するのを、ロシア人が英雄的に戦って撃退したという物語があります。砲台の跡もあるし、いまは記念公園になっています。
 要するに、以上のルートの途中はずっと略奪だったわけです。
 まとめらしいことを言えば、第一は、民族大移動の力で、六〇年もあれば地球を回ってしまうということです。欲と二人三脚になると人間の足は大変なものですね。
 それから第二番目に、ロシア人はシベリアを領土としてきたが、開発はしていない。ひたすら略奪しただけだということです。
 その後、アンドロポフでもフルシチョフでもゴルバチョフでも、シベリア開発が一番の大問題だと演説で必ず言っているのですが、しかし彼らに開発力はない。する気もない。開発は、中国人か日本人がやる。または、やらせるものです。それで日本大使に、「日本の援助に期待するところ大である」と言うのです。そう言われて光栄に思うのはバカな話です。
 シベリア開発力は日本か中国しかない。彼らは略奪して、なくなったら引き揚げる。毛皮の後は金とダイヤモンド、それから最近は石油とか天然ガスですね。要するに略奪しているだけです。これを日本が買い取る。そのときも、「開発するのも運ぶのも全部日本でやってくれ」と言っているわけですから、絶対にやる必要はないですね。自分で開発して、運んできたら受け取るというのが日本の取るべき態度です。資本を投資したほうが負けです。
 ソ連が崩壊するちょっと前のころ、向こうの要人は日本へやってきて「開発してくれ、投資してくれ」と言って歩きましたね。そのとき日本の財界人は、「社会資本不足だから進出しない」という答でした。それをいっぱい聞かされて、私のところに来たソ連人がいるのですが、「本当の答を教えてあげましょう。役人のいないシベリアがあったらすぐに行く。役人がいるところには行かない。開発は、自分がジャマをしているんですよ。無人地帯ならすぐに開発します。社会資本などは簡単な話です。飛行場だって、道路だって、用地買収は要らないし、電気は自家発電すればいいのですからね」と話しました。
 「役人がいないシベリア」というのは「無人化」か「属領化」か「親日政権化」という意味になります。すべて歴史には前例がたくさんあります。
 余談ですが、私が観光開発を任されれば、こんなアイデアがあります。役人のいない場所をくれたら、ホテルをつくって、オフロードの自動車を並べて、ソ連の軍隊の要らなくなった機関銃やバズーカを格安で買って、撃ち放題、戦車に乗り放題(笑)。それなら日本からたくさんお客が行くでしょう。
 付け足しておくと、パリで贅沢が発生したということが一番の根本原因とも言えますね。パリが豊かになって毛皮を着たいと思ったのが原因で、そのためこれだけ東洋人は迷惑をしたという話です。
 
アメリカは共食い略奪資本主義へ
 まとめの三番目としては、最近のアメリカはずうっと略奪してきて、残りは中国しかなくなった。中国を締め上げるのにまずアラブを占領して、アラブの石油に中国が手を出せないようにするというところで世界支配が完了する。
 しかし、略奪主義をする相手がなくなってしまうから、それで次に起こるのは共食いではありませんか? アメリカ国内で共食い戦争が始まる。現に始まっている、と考えてみたい。
 つまり共食い略奪資本主義になるのですから、アメリカ経済は結局もたないということです。中で共食いをしていては、誰からも信用されない。取引きをしなくなる。アメリカ人自身も幸せではない。
 象徴的なことを言えば、ウィンドウズをつくったビル・ゲイツさんは、弱肉強食だ、ひとり勝ちだ、合法的なら何をやってもいいとやっていたら、自分が裁判を受けるようになってしまいました。目に余るというわけですね。目に余るとは、言い換えれば共同体原理の発動です。
 それで裁判で負けそうになったら、日本式和解がよいと言い出した。面白いなと思っています。共食い競争はしないほうがいいのです。法の支配とか、法の秩序といっても、それは程度問題です。日本的談合とか和解とかも、ある程度は認める必要があるのです。
 日本は一五〇〇年ぐらいかけて、一番豊かな経済水準とともに、そういう共同体精神を残している国をつくりました。素晴らしいことです。だから、もうちょっと積極的に世界に発言しなければいけないと思っております。
 発言するときはカルビニズムとかマックス・ウェーバーとかを引用して言えば欧米にわかってもらえると思いますが、別に日本人のほうからそんな苦労をする必要はないはずです。彼らのほうが聖徳太子や二宮尊徳を勉強すべきです。
 まあ、しかしアメリカ人には無理な話です。東洋精神もヨーロッパ中世史も両方知らないというか、そういう雰囲気が育ちの中にありませんから。







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