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新規範発見塾 レクチャー・メモ vol.15

 事業名 先駆的情報の創出・発信事業
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


略奪が基本、平和共存は例外
 では、本性は何ですか。それは略奪主義です。
 弱肉強食は世の習いで、人間だって動物です。動物の世界を見れば、弱肉強食になっているではありませんか。当たり前のことです。「いやいや、そうとは限らない。動物でも親子は仲よく暮らしている。オオカミは群れをつくって、群れの中では仲よく暮らしている」と言う人もいますが、そのとおり。共同体は所々あります。しかし、それは例外であって、あるいはある条件の下で仲よく暮らすという話であって、その条件とはなんでしょうか。そこまで議論すべきです。
 弱肉強食が基本である。略奪が基本である。だが、例外的に平和共存のときがある。相互扶助のつながりもある。ただし、これは例外である―などと言うと日本ではビックリされ、そんな議論自体が許されない空気があります。後でこっそり私のところへ来て、「そのとおりです。賛成です」とおっしゃってくださる人はいるが(笑)、表向きはもうちょっと美しい建前が通っています。そこで誤解を恐れずに議論を先へ進めます。
 弱肉強食にならない場合は四つぐらい思いつきます。
 まず第一はパワーが対等なときです。どちらが強か弱かハッキリしないときもそうです。パワーが対等のときは珍しいのですが、米ソ冷戦がそうでしたね。先ほどのアウグストゥスと元老院もそうです。チェック・アンド・バランスが働くので、皇帝政治にもならず元老院独裁にもなりませんでした。
 それから第二番目は、お互いに戦う必要がない場合です。たとえば共同体をつくって、両方がその内部になったときです。だから幕末に天皇と徳川幕府が戦うかどうかというとき、「いや、我々は日の本という国の一部だ。その中で争っていると、イギリス、フランス、アメリカの植民地にされてしまう。ロシアが南下してくる。どちらが上になってもいいから団結しよう。我々は共同体だ」というのが日本の選択だった。だから共同体という意識が芽生えれば、弱肉強食はとまります。
 国連をつくろうというのも、そういうことです。地球はみんな共同体で、ひとりだけ勝手なことをしないでやっていこうというのが、第二次世界大戦が終わった後の人類の気持ちでした。これでもう永久平和だとそのときは思ったのです。しかし五〇年も経つとまた今のようになってくる。これはもう人間のサガだから仕方ありません。
 地球共同体をつくらなければいけないのですが、国連の力はむしろ弱まっています。
 
本能はそう簡単に変わらない
 第三番目は満腹のときです。当たり前ですね。
 例を挙げればアメリカは第二次世界大戦が終わったとき、満腹状態でした。世界のGNPの五〇%以上を押さえていたから、残りを食べても仕方がなかった。だから非常に紳士的なアメリカでした。ところがその後、日本がどんどん発展したことも影響して、今やアメリカのGNPは世界の二五%にまで下がりました。そうなると、また何か食べたくなるのは当然かもしれません。
 それから第四番目は、より巧妙な略奪が可能なときです。軍事力に訴えるとか国連決議をとってとかの乱暴なことはしなくても、こっそりスッと略奪ができるときは弱肉強食には見えません。かみついたりはせず、ストローでチューチューと吸うわけです。蚊と同じですね。蚊はくちの先から麻酔薬をちょっと入れておいて、それから血を吸うのです。だから刺されたときに気がつきません。
 そんなやり方が成功しているときは弱肉強食をやらないわけです。日本はもう麻酔剤が効いてしまって、いくら吸われていても感じない。そう思いませんか。
 さて、この後すぐに思いつく話はマルクスの『資本論』ですね。資本主義ができるためには資本がなくてはいけないが、一人の人がコツコツためたぐらいでは大きな資本にはなりません。したがって必然的に、資本というのはどこかから略奪してきたものです。イギリスには海賊の時代がありました。あるいはインドへ行って略奪してきました。これを最初の資本をつくる時代として「原始的蓄積段階」と言います。
 ロシア人の略奪の話を後の回でやりますが、それを知るとやっぱり略奪はロシア人の本能だと思います。簡単には治らない。イギリスは海を回ってインドでたいへんな略奪をしました。これもイギリス人の本能で、やはり治らないでしょう。ただし、そのやり方は少しずつ巧妙になりました。アメリカも同じです。世界中、百鬼夜行というのが本当の姿であって、そのときのやり方は三〇〇年前から本質的には全然変わっていません。次回もそんな例を話しましょう。
 
第76回 資本主義は、略奪主義へ戻る
PART2
(二〇〇三年一月三十日)
アメリカの悪口を言わない純情可憐な日本人
 「資本主義は、略奪主義へ戻る」の続きをさせていただきます。
 どうしてこういう人の悪いことを考えるようになったかというと、アメリカが教育してくれたからです(笑)。そのおかげで、だんだんアメリカやヨーロッパの言う善意とか道徳には限界があるなと思うようになりました。
 例えば、そもそもは日米鉄鋼戦争というのがありました。次は日米自動車戦争です。アメリカの自動車工業界はインチキで、いたぶられる日本の自動車会社はかわいそうだということを、いろいろな実例で見せてもらいました。次は日米半導体戦争ですが、これもアメリカのワシントンはこんなインチキをするのかと思わされました。それから日本のお役所は、日本のためにはちょっとしか戦ってくれないということも露呈しました。
 その後は、金融ビッグバンです。山一證券がなくなり、日本長期信用銀行がなくなり、外国資本が乗り込んできます。日本はそのたびに経済的に損をする。向こうの言う要求と条件は全部飲んでいるが、また次の手で金を取られる。皆さんご承知のとおりです。アメリカの手口がいかにインチキだったかということは、日本語の本がたくさん出ているのみならず、アメリカ人が書いた本も翻訳されています。
 ところが、多くの日本人はそれでも反応しないのです。不思議なものですね。外務省が日米関係について書く文章を読むと、イコール・パートナーとか、グッド・リレーションシップとか、そんな言葉がちりばめてあります。
 日本人は純情可憐です。これだけの事実が続いて、損を重ねることが続いて、さらにはこれだけ不景気になって挙句は自分がリストラされても、まだアメリカの悪口を言わない。私が言うと、「こんな人のそばにいては危ない」と、そっと離れていく。
 あるとき「どうしてそうなるのか不思議だ」と話すと、テレビ局や新聞社の人は「それはそうですよ。そういうことを言う人は私たちが使わないようにしているんです。そういうカルテルができています」と教えてくれました(笑)。さらには「私には上役がいて、拉致問題は取り上げるなと言われたら従わざるを得ない。某氏は我が新聞に二度と登場させてはならんとはっきり言われることもあるし、言われないこともあるが、その辺の呼吸はすぐわかりますからね」ということで、つまり言いたいことは日本はたいへん言論不自由な国なのです。その偏った記事を読んで「これが答だ」と思う日本人がたくさんでき、もう何十年も続いていますから、たくさんの事実を突きつけられても、まだ日米親善、日米友好の夢に酔っています。







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