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第二十七回全国高等学校総合文化祭
「心の泉より湧き出る文化よ 大河となり海を成せ03福井」
日時●平成十五年八月十日(日) 場所●福井市文化会館
 
福井の空に響き、大地に舞う、若き吟剣詩舞
 文化系高校生の夏の甲子園とも言われる「全国高等学校総合文化祭」が福井県で華々しく開催されました。なかでも吟詠剣詩舞部門は、若さあふれる溌剌(はつらつ)とした舞台が見られ、伝統芸術が若人にも着実に伝わっている様子が感じられました。
 
 高校生たちが、自分たちの手でひとつひとつ準備を重ね、持てる力を発揮する晴れの舞台、第二十七回全国高等学校総合文化祭吟詠剣詩舞部門が、福井市民会館を舞台に行なわれました。会場は早朝から高校生たちが慌しく行きかい、緊張した空気と若人の熱気で充満していました。
 まず開会式では白土方紀岩手県立大東高等学校校長が挨拶にたたれ、「吟は人なり、気なり、心なりの精神で、日ごろの成果を十分に発揮するように」と、高校生たちにエールを送りました。つづいて、高校生代表として福井県立高志高等学校三年の奥村沙織さんが、高校生らしい元気いっぱいの挨拶で、素晴らしい舞台をお見せしますと力強く宣言しました。また、吉村征一福井県立坂井農業高等学校校長、衣目川一郎福井市教育委員会事務局教育次長もそれぞれ挨拶され、伝統芸術である吟剣詩舞の意義深さを話されました。
 
高校生代表、奥村沙織さんが元気一杯のあいさつ
 
 開会式が終了すると、大きな期待の中、吟詠剣詩舞部門の幕が開きました。出場は全部で十八県、総勢三百名に上りました。各県とも吟詠剣詩舞のテーマは、それぞれの土地の風土や歴史、故郷を思う心など、郷土色豊かな内容で、県ごとに特色のある舞台を楽しむことができました。また、若い高校生たちが真摯な態度で精一杯頑張る姿が清々しく、時には失敗もありましたが、会場からは温かな拍手がいつまでも送られていました。ただ、今回はよく練習を積んできたのでしょう、各校ともレベルの高さを感じさせる舞台でした。とくに、開催県である福井県高等学校文化連盟吟詠剣詩舞部会による構成吟「越前伝説」は、舞台美術の素晴らしさと相まって、印象に残る吟剣詩舞でした。
 
福井県高校文化連盟吟詠剣詩舞部会の構成吟、ふるさと賛歌「越前八景」から
 
鳥取県高校文化連盟吟詠剣詩舞部会の構成吟、大和心を詠ず「富士山と桜花」から
 
福岡県高校文化連盟吟詠剣詩舞部会の構成吟、もののふの詩「名槍日本号」から
 
 すべての舞台が終わると、当日の講師である中嶋天聖先生が模範演技を見せ、高校生たちも真剣なまなざしで、先生の舞に見入っていました。さらに、中嶋宗聖福井県吟剣詩舞道総連盟副理事長が講評に立ち、「高校生が吟剣詩舞に取り組む姿に、大いに感動しました。これからも精進し、日本の伝統を継承して欲しいと思います」と話されました。
 青少年の育成は、これからの吟剣詩舞道界にとって欠かせない重要な問題ですが、この大会に見る若き力がある限り、彼らが必ずや伝統を継承し、発展のための原動力になるものと強く感じました。







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