日本財団 図書館


七月二十六日(土)
 一三六名の受講生を乗せた送迎バスが、定刻よりやや遅れて湘南国際村センターに滑りこんできました。一行は足早に国際会議場へ向かうと、矢萩保三事務局長より必要事項が通達され、国歌斉唱、鈴木吟亮専務理事による「開講のことば」とつづき、緊張した雰囲気の中で平成十五年度夏季吟道大学がはじまりました。学長挨拶では河田和良会長が笹川良一創始会長と笹川鎮江会長のご意思を受け継ぎ、吟剣詩舞の発展に邁進する所信を表明されました。受講生誓いのことばを武川甲洲さんが堂々と述べられ、受講生記念合吟の先導を長山嶺風さんが立派に勤められました。
 一時限目の課業は河田和良会長が「吟剣詩舞道憲章の精神」を話され、笹川良一創始会長ならびに笹川鎮江前会長の吟剣詩舞に対する真摯な思いを語られました。二時限目の課業は工藤龍堂常任理事による「財団の組織運営と指導者の役割」で、活動状況や運営状況などが報告されました。三時限目は鈴木吟亮専務理事の「審査規定の解説とコンクール審査の実態」で、「吟詠コンクール審査規定(平成十四年度改訂版)と「笹川鎮江前会長審査員講習会講義録」をテキストとして行なわれました。四時限目は矢萩保三事務局長の司会進行で「吟詠の普及振興をめぐって」と題した意見交換会が行なわれました。はじめに入倉昭星常任理事による剣詩舞道家から吟詠家に対する要望が語られ、吟詠家には耳の痛い話も飛び出し、意義ある内容でした。つづいて田口實凰常任理事が青少年に対する普及振興について、財団が青少年育成基金を積極的に推進しているなどのお話をされました。坂本岳雄常任理事も青少年について語られ、体験談を交えながら育成、指導の方法を具体的に説明されました。また、多田正満理事は剣詩舞の歴史を支えてと題して、古典の素晴らしさを再認識し、今に継承するための人材育成に励みたいと話されました。箕輪緑崇理事は月刊吟剣詩舞、購読のお願いと題し、月刊誌の購読数一万八千部弱をさらに広げるために、皆さんの協力が必要であることを強調されていました。
 受講者の意見発表では「コンクール決勝大会入場料の有料化」や「メディアを通じて吟詠を広めたい」「指定吟題に和歌があってもいいのでは」「予選大会の服装が自由になれば参加者が増える」などの意見が発表されました。とくにコンクール決勝大会の有料化は、いろいろな意見や考え方もあり、財団運営に関わる重要な議題として財団も真剣に検討する旨が述べられました。
 夕食後は演出家の石川健次郎先生による「吟詠家の舞台動作」の講義が開かれました。石川先生によると吟詠は聞かせるのではなく見せるものであり、その観点から、吟詠芸術の価値はいかに詩心を表現するか、そして、それを向上させるのが「いかに良く見せるか」につながる。そのためのルール、約束事をわかりやすく説明され、受講者の方々も真剣な面持ちで聞き入っていました。
七月二十七日(日)
 朝食を済ませると、五時限目の課業がはじまり、前日の意見交換会の続きが行なわれました。その内容は「学校教育に吟詠を取り入れてもらいたい」「魅力ある指導を行なうことで、会員を増やした」「会員減少の歯止めは、身内を誘うことからはじまる」「コンクールなどのいろいろな催し物を各地でも開催して欲しい」などが発表されました。財団も意見の一つひとつに対して、真剣に応えていました。
 
意見交換会で発表する受講生
 
意見交換会で、世話役の諸氏
 
 六時限目の課業は、夏季吟道大学の名物のひとつでもある、厳しくも愛情こもった舩川利夫先生による吟詠研修でした。研修を受ける二十名の受講生の方々も、かなり緊張した面持ちで壇上に立ち、吟じていました。また、他の受講生は、舩川先生の指導によって、吟がより素晴らしく変化する様を見て、感嘆の声を上げていました。こうした実践形式の課業は、受講生にとって大いに役立つものではないでしょうか。
 約十九時間に及ぶ課業が終了すると、閉講式が行なわれ、学長あいさつのあと、修了証書が受講生に渡されました。そして、受講生を代表して中山岳襄さんが感謝のことばを述べ、最後に工藤龍堂常任理事が閉講のことばを告げると一泊二日にわたる平成十五年度夏季吟道大学は成功のうちに終了しました。参加した受講生には、吟詠の奥深さと素晴らしい思い出が残ったことでしょう。
 
平成15年度夏季吟道大学受講者一覧
氏名  流会派
宇都宮瑞 瑞祥流吟詠吟舞会
山尾友仙 吟道紘仙流祥誠会
渡部鳳凰 神道流吟詠会
長沢吟煌 東水流吟昭会
磯谷溪龍 溪秋流詩吟会
鈴木吟光 東水流長岡吟黎会
山本嘉悠 吼山流甲府地区連合会
武藤翔来 飛翔流吟詠会
斎藤岳誠 詩吟岳新流山梨県連合会
毛塚秋慶 吟道秋水流
萩原龍肇 岳精流日本吟院渋川岳精会
藤生翠稜 翠晴流吟道会
高野脩繁 神正流吟脩会連合
石原仁堂 詩吟洌風流鷺苑会
藤堂皓星 皓月流吟詠皓月会
武田輝誠 輝聰吟詠会
星野星滄 翁流星琴会
菊地龍鈴 岳精流日本吟院砂子岳精会
中峯幸鵬 朝翠流忠鵬吟詠会
池田龍翔 岳精流日本吟院
吉野琴水 梅水流鸚水吟詠会
池田興締 興國流吟詠詩舞道会
栗田紫馨 紫虹流紫虹会
萩原桜風 晴風流吟詠会
坂本晃峰 詩吟墨水流征峰会
相原鴻玉子 吟道鴻成流本部
新井栄鵬 朝翠流朝光吟詠会
福田秀峰 吟道秀明会
垣下真秋 吟道旭真流真秋吟詠会
家吉龍真 岳精流日本吟院多摩岳精会
武川甲洲 天洲流吟詠会
竹村康鵬 朝翠流遠鵬吟詠会
森谷春征 春洋流吟誠会
黒田聖岳 朗詠・聖岳会
熊木雄雪 雪山流日本吟詠学院
滝本紫苑 紫苑吟詠会
横井鴻康子 吟道鴻成流本部
丹羽峰風 岳精流日本吟院六郷岳精会
松村峯麗 詩吟伯峯会
前野筑峰 詩吟墨水流征峰会
鈴木鳳洲 天洲流吟詠会
小林雅鵬 朝翠流朝詠会
宗田真月 墨水流立花支部
寺嶋錦良 城愽流吟詠会青森県本部
宇津木知峰 詩吟積峰流八千代支部
小池棟水 梅水流吟詠会
林 龍勝 岳精流日本吟院埼玉岳精会
大舘秀穂 花秀吟詠会
山本薫松 北辰神桜流桜松会
大野洋岳 日本詩吟学院岳風会
松尾樹豊 北辰神桜流桜樹会
山田剛鵬 朝翠流照鵬吟詠会
嶋野修玲 関西吟詩文化協会
高冨淳蕗心 吟詠焼心流淳風会
竹内緋洲 聖風流吟道会
山崎澄風 籟洲流籟風会
田中智風 心陽流詩吟学院
鈴木修栄 関西吟詩文化協会
鈴木理岳 日本詩吟学院
尾形照宋 近代詩吟照風流
中村正瀛 関西吟詩文化協会
中山志岳 日本詩吟学院岳風会
古川久城 吟道錦城流総本部
図司月風 神叡流吟剣詩舞道
奥村東翔 東滄流
大澤鴻陽 吟道陽心流浜松吟詠会
辻 栄峰 北辰神明流日本修道舘
中山岳襄 日本吟道岳龍会
志田摂領 吟道摂楠流白鳳吟詠会
西野水洸 詩道楠水吟詠会
中野摂煌 吟道摂楠流姫路地区連合会
野間豊月 水月流西楽吟道会
石川城 日本樽美流吟詠会総本部
中務崇洲 関心流日本興道吟詩会
本庄賀秀峰 吟道賀堂流京都本部
山本幸風 日本詩吟学院岳風会
中山峰蓉 吟道清峰流興吟詠会
樫本旭隆 旭章流京都吟詠会
八木賀秀容 吟道賀堂流京都本部
仲林弘風 吟道大雅流頌風館
佐々木秀景 詩歌吟詠景心流六映会
奥山紅雋 関西吟詩文化協会
河村淑風 真道流尚武館
廣岡正泉 正親流吟剣詩舞
太田妃風 神心流尚道館
渡邉媛菖 関西吟詩文化協会
高久保婉風 学風流万葉吟詩舞会
縄田水媛 吟道哲水流八洲吟詠会
佐々井芳馨 関心流日本興道吟詩会
長山嶺風 日本国風流詩歌国鵑吟詠会
井上泉 哲泉流日本吟詠協会
古田国城 関西吟詩文化協会
生駒華妙 関西吟詩文化協会
宮崎旭玲 彩旭流吟詠会
川渕洋鵬 朝翠流双鵬吟詠会
大田原旭裕 旭章流総本部
藤河賀清洲 吟道賀堂流賀久清吟詠会
楠部齋山 水真流修道吟詠会
浮津虔山 水真流桜尾吟詠会
南條豁鵬 朝翠流福山赤鵬吟詠会
中本龍昇 吟詠宝山流本部
濱田月惺城 賀城流広島吟詠会
佐々木龍花 宝山流山口支部
山根岳風 嘉風流吟剣詩舞道
山本将風 吟道翔風流日本吟翔会
佐藤麗雪 清吟堂吟友会
桑島正風 吟道臥風流綾上吟詠会
鈴木賞泉 哲泉流日本吟詠協会
畑中麗山 清吟堂吟友会
名越松苑 野村吟詠会
堀田翔嶺 吟道燧嶺会
稲積政風 清吟堂吟友会
金沢典笙 乃木流吟剣詩舞道
岡崎雄光 和光流東山吟詠会
井上幹山 吟道哲山流興風吟詠会
北村鈴秀 秀鳳流
柏木光洸子 淡窓伝光霊流
三木栄博 栄陽吟道会
権丈向嗣 みやび会
籾井宏水 吟道逸水会
小池鐘宗 節礼吟詠会
大野祥範 佳祥吟道会
江藤光鈴子 淡窓伝光霊流
荒木光絖子 淡窓伝光霊流
矢野光巧子 淡窓伝光霊流
片岡光子 淡窓伝光霊流
頭山光顕子 淡窓伝光霊流
守田蘇弘 詩歌吟詠道蘇山流
高巣娟峰 秀峰堂吟剣詩舞会
宮原侑曲 吟道清吟流
久保景鵬 日本吟道鵬英会
池田彩岳 日本詩吟学院岳風会
森 豊彗 関西吟詩文化協会
鈴木幸岳 宮崎岳星会
丹内光曙子 淡窓伝光霊流
徳田順山 日本吟院沖縄岳精会







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION