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表紙説明
名詩の周辺
失題(勝海舟)
東京・墨田区
 勝海舟は、幕末から明治にかけた激動の時代に江戸城無血開城を行ない、江戸を戦火から救って、今日における東京の発展と近代日本の舵取り役を果たした立役者として有名ですが、都内には海舟の全身像はありませんでした。同時期に活躍した西郷隆盛は上野公園内に銅像が建てられており、全国的に知られています。そこで、海舟の功績を後世に残すため、海舟の全身像を建てようという声が次第に高まり、平成十二年に「勝海舟の銅像を建てる会」という市民組織が発足、多くの賛同者の募金を得て、このたびの建立となりました。
 場所は、海舟が江戸本所亀沢町(現在の東京墨田区両国四丁目付近)の生まれで、二十四歳まで墨田で過ごしたことに因み、墨田区役所前の「うるおい広場」の緑地内に決定、七月二十一日除幕式が行なわれ、「建てる会」から区に寄贈、その後一般に公開されました。銅像の大きさは、海舟の身長(158cm)の約1.5倍で2.5mあり、台座を含めると約5.5mの高さになっています。
 その他都内の勝海舟に関するものとしては、港区三田のJR三田駅近くに、西郷南洲、勝海舟會見之地の石碑、大田区洗足池の畔に勝海舟夫妻の墓や海舟が南洲をしのんで建てた石碑等があります。
 (勝海舟銅像=地下鉄銀座線浅草駅下車徒歩約6分、會見の地の石碑=JR三田駅下車徒歩1分、夫妻の墓所=東急目黒線洗足駅下車徒歩約5分)
 
取材――株式会社 サークオン
 
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水六訓
一、あらゆる生物に生命力を与えるは水なり。
 
一、常に自己の進路を求めてやまざるは水なり。
 
一、如何なる障害をも克服する勇猛心と、よく方円の器に従う和合性とを兼ね備えるは水なり。
 
一、自から清く他の汚れを洗い清濁併せ容るの量あるは水なり。
 
一、動力となり光となり、生産と生活に無限の奉仕を行い何等報いを求めざるは水なり。
 
一、大洋を充し、発しては蒸気となり、雲となり、雨となり、雪と変じ、霰と化してもその性を失わざるは水なり。
 
 水を心とすることが平和と健康と長寿の妙薬であります。
 
笹川良一
 
OPINION
明日への提言
夏の財団恒例行事の間、長年の懸案であった吟詠専門委員会が発足し、初会合を開きました
河田和良
 
 夏の財団恒例行事、平成十五年度夏季吟道大学(七月二十六、二十七日)及び平成十五年度少壮吟士夏季特別研修会(八月九、十日)は、これと前後して発生した宮城地震や台風十号の影響をもろに受ける開催となりました。しかし、受講者諸氏が早目の乗物に切り替えるなどした結果、空の便の欠航による欠席が一名、県警や市防災課勤務の関係で二名の方が遅参される程度で、予定通り無事終了することができ、一安心しました。
 この二つの行事は、神奈川県葉山町の湘南国際村センターで開催されましたが、少壮吟士特別研修会の前日にあたる八月八日(金)、会場の特別研修室で、長年の懸案であった吟詠専門委員会が発足し、初会合を開きました。
 吟詠専門委員会の委員は、夏季吟道大学前日の七月二十五日に開催された財団本部常任理事会で人選され、会長の委嘱を受けた十二名の方々で、常任理事会役員四名、少壮吟士OB二名と現役少壮吟士六名という構成で、委員長には委員の互選で箕輪緑崇財団理事が選ばれ、審議が行なわれました。
 かつて財団は、笹川鎮江二代目会長、舩川利夫、石川健次郎の三先生を主任講師とする吟詠芸術研究会(昭和五十二年十二月から翌年十二月まで、八回にわたり開催)や、吟詠アクセント委員会(昭和五十六年十月から同五十九年十一月まで、六回にわたり開催)などの研究会を設けたことがありました。私もそのメンバーの一人に選ばれておりましたが、これら研究会の開催を通じて、吟詠の音楽的、芸術的向上にたいへん貢献できたと考えております。時代は移りましたが、このたびの吟詠専門委員会の活躍にも大いに期待したいと思っております。
 
日時・・七月二十六日(土)〜七月二十七日(日)
場所・・湘南国際村センター・国際会議場
主催・・財団法人日本吟剣詩舞振興会
 
短期間の中にも、質の高い課業を凝縮
 本栖湖から湘南・葉山に場所を移して二回目となる新生夏季吟道大学が湘南国際村センターにおいて、去る七月二十六日(土)、二十七日(日)の二日間にわたり開かれ、日本全国から受講生の方々が集まりました。
 
開講式であいさつする河田和良学長
 
講義メモを取る受講生の皆さん
 
開講のことばを述べる鈴木吟亮世話役
 
「財団の組織運営と指導者の役割」について講義する工藤龍堂世話役
 
「吟詠家の舞台動作」について講義する石川健次郎講師
 
「吟詠の発声法」について講義する舩川利夫講師







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