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漢詩初学者講座
吟詠家に漢詩のすすめ(61)
全日本漢詩連盟副会長
四国漢詩連盟会長
愛媛県漢詩連盟会長
伊藤竹外
 
一、笹川鎮江先生を哭す
 はからずも去る三月十六日、財団会長笹川鎮江先生がご長逝せられた急報に接し、取るものも取りあえず十九日、東京上野の寛永寺輪王殿における葬儀に参列し、拙ながらも弔詩五首、輓歌六首を献じました。
 先生は創始会長笹川良一先生を扶け(財)日本吟剣詩舞振興会創立以来、三十六年に亙ってその琢かれた(みがかれた)妙声と企画運営に日夜献身せられ今日の吟剣詩舞界の原動力となられましたことはご承知の通りであり、先生亡き後、将来の吟界を斉しく憂うるところであります。
 先生には吟壇において多年にわたりご教導を賜わりましたことはもとより、本機関誌上にて漢詩講座を担当して以来六十回、五年に及んで勉強させて頂いておりましたのにこの度のご長逝は痛哭の極みにて茲に謹んで哀悼の誠を捧げる次第であります。
 
二、全日本漢詩連盟発足
 前月予告の通り三月二十一日、東京において全国の漢詩家代表百五十名の参加を得て全日本漢詩連盟が発足しました。(この時点、参加会員一千名)
 李白、杜甫の唐時代以来、漢詩文学を日本が継承してより千二百年、この世界に始めて連盟組織ができたことは正に特筆すべきものと思います。
 尚、石川忠久先生会長の下に小生が服部承風先生と共に副会長の推薦を拝受しましたが、浅学非才の身にとって光栄と重責の念に堪えずこれ愛媛、四国漢詩連盟、本機関誌会員諸氏のお蔭によるものと謝意を捧げると共に駑馬に鞭うち生涯現役を以って努力したく存じますれば何卒よろしくお願いします。
 
三、課題詩「賽名刹○○寺」について
 名刹とは由緒ある有名な寺のことですが、全国各地よりの投稿詩を拝しましたが、由緒の但し書なきため、凡ゆる辞書、日本語大辞典、日本地名事典などを参考にしましたものの内容にその特徴が十分活かされず多くはどこの寺との区別のつかない観念的表現のため選考、添削に苦心しました。
 曽て或る会員よりの四国八十八寺の作詩を添削しましたが、この詩集が上梓され、今それを繙くに八十八寺のそれぞれの変化のある内容になっていました。本課題も全国各地の名刹を紹介したいものであります。
 
四、平仄を間違えないこと
 毎月の如く指摘していますが、次の如く平仄誤用が隋所にあります。その由因は
 
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