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■インドの太鼓に関するいくつかの神話■
 古代から重要な位置を占めてきた、太鼓に関する一つの古い神話がある。それによると、ある曇り空の日、スワティー聖仙が池に水を汲みに行ったところ、たちまち大雨が降ってきた。聖仙が注意深く池の表を見ていたところ、雨粒は大中小の蓮の葉を叩いて、心地よいさまざまな音を発した。この音を深く心に刻みつつ、スワティー聖仙は工芸神ヴィシユヴァカルマの助けを借りて、まずは両面太鼓のムリダンガム(ムリダング)を、次いで多くの他の太鼓をつくった。これらの奏でる音色に、聖仙は我を忘れて熱中したという。
 
(4)壺形太鼓のガタム
 
(5)両面太鼓のムリダンガム
 
(6)
左はトカゲの皮を張ったタンバリン状のカンジーラー。
右から 二つ目のタブラー・バーヤ(北部インドの古典音楽に用いられる)を含めた、南インドの楽器を中心とした合同演奏
 
 他の神話では、太鼓のもつやや抽象的な側面が語られる。ダマルは砂時計型をした木製の振り鼓で、結び付けられた二個の小玉が両面の皮をカラカラと鳴らすものであるが、この楽器はシヴァ神の宇宙創造の活動に関連付けられている。シヴァ神が宇宙の創造と破戒を象徴するターンダヴァと呼ばれる激しい舞踊を踊るさいに、この太鼓が奏でられるのである。興味深いことにこの太鼓は、言語を形成する素となる一四の格言体を生起するもととなったともいわれている。ダマルはまた動物芸の訓練にも用いられ、大道の熊遣いあるいは猿回し芸に欠かせない。







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