この認識に変化を与えた演劇改良運動は、身分制解体と新たな演劇統制項目三ヵ条を教部省が示したことにより、始まった。歌舞伎を上流貴紳・内外高官の観るべきものに改良すること―すなわち国劇化にいち早く応じたのが、十二代目守田勘弥と九代目市川団十郎であり、彼らは史実第一主義に基づく忠孝道徳をテーマとした演劇を推進し「活歴」とよばれる劇を創りだした。また、新作や西洋演劇の翻訳物が盛んに上演されるにいたって、福地桜痴ら学者やジャーナリストが歌舞伎制作に参加するようになった。
帝国劇場一二等観覧席
[高畠華宵大正ロマン館提供]
帝国劇場貴賓席。
客席に花道が通る
[江戸東京博物館蔵]