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バヌアツ共和国(Republic of Vanuatu)
(1)一般事情
1. 面積:1万2,189km2(新潟県とほぼ同じ大きさ)
2. 人口:20万人(2001年世銀)
3. 首都:ポートビラ(1.9万人、1998年)
4. 人種:メラネシア系93%、英、仏人2%、中国系、ベトナム系 等
5. 言語:公用語はビシュラマ語(ピジン英語)、英語、仏語の3つ
6. 宗教:殆どがキリスト教徒(プレスビイタリアン、ローマ・カトリック、アングリカン、セブンス・デイ・アドベンティスト他)
7. 略史:
 1605年 キロス(スペイン人探検家)が発見
 1906年 英仏の共同統治下に入る。
 1980年 独立(英連邦の一員)、サント島反乱鎮圧
8. 政治体制・内政
1)政体:共和制
2)元首:ジョン・バニ大統領(Rev Fr John Bani)(1999年3月就任、任期5年)
3)議会:一院制、任期4年、52議席
4)政府:首相 エドワード・ナタペイ(Hon.Edward N.Natapei)
(2001年4月就任、2002年6月再選)
5)内政:独立以来、リニ元首相率いる英語系のバヌアツ・アク党(VP)が政権を掌握していたが、1991年12月には仏語系政党を中心とする連立政権が誕生した。1995年11月の総選挙では、仏語系の穏健政党連合(UMP)と英語系の国民連合(NUP)が連立し、ヴォホール政権が誕生。1999年11月に英語系のソペを首班とする連立政権が誕生。2001年4月、ソペ首相に対する内閣不信任案が可決され、野党リーダーのナタペイ氏が新首相に選出された。2002年6月、総選挙の結果、ナタペイ首相(VP党首)が再選された。しかし、VPと連立を組んでいるUMPのヴォホール党首(副首相)は、同党がVPを上回る議席を獲得したことで、主要閣僚ポストを占め大きな影響を有しており、現政権の長期安定化は困難とみられている。
9. 外交基本方針
 外交関係の多角化、南太平洋諸国、特にPNG・ソロモン等メラネシア諸国との連帯強化、非同盟主義の推進、各地(ニューカレドニア等)の独立運動支援、反核政策推進
10. 経済
1)特徴:伝統的経済部門(全人口の8割、GDPの2、3割)と近代部門(観光、その他タックス・ヘブンを利用した金融活動等)の二重構造
2)GDP: 210百万米ドル(2001年世銀)
3)一人当たりGDO: 972米ドル(2001年、上記数値より算出)
4)経済成長率:-4%(2001年世銀)
5)消費者物価上昇率:2.5%(2000年)
6)総貿易額(2000年世銀):
輸出:157百万米ドル
輸入:137百万米ドル
7)主要貿易品目:
輸出:コプラ、木材、カヴァ、牛肉、ココア
輸入:機械・輸送機器、食料品、日用品
8)貿易相手国(1999年):
輸出:EU、日本、米国、
輸入:日本、豪州、ニュージーランド
9)通貨:ヴァツ(Vatu)
10)為替レート:137ヴァツ=1米ドル(2000年平均)
11)経済概況
 コプラの生産と自給自足農業に基盤。恒常的な輸入超過で、赤字を外国援助で補填。近年は農業の多様化と観光振興に力を入れている。また、1997年半ばよりADBの協力のもと実施している、大規模な行政・経済改革である「包括的改革計画」に力を入れている。
11. 我が国との経済関係
対日貿易(2001年、通関統計)
1)貿易額:
(1)輸出:869百万円
(2)輸入:4,904百万円
2)主要貿易品目:
(1)輸出:魚介類、牛肉、ウッドチップ
(2)輸入:貨物船、自動車、機械
12. 我が国の政府開発援助
1)1980年に英・仏共同統治下より独立した。1991年の総選挙以降、独立以来の英国寄りの政権に替わって、仏寄りの穏健諸党連合(UMF)が他党と連立して政権に就いていたが、1995年11月の総選挙後は首相が目まぐるしく交代し、1998年3月に、総選挙を経てカルポカス・ヴァヌアアク党党首が政権に就いたが、1999年11月、英語系のソペを首斑とする連立政権が成立した。
2)バヌアツは、歴史的な関係から英仏との関係が強く、様々な面で両国の影響力が大きい。外交面では、非同盟主義の推進、大洋州諸国との連携強化、ニューカレドニア島に見られる各地独立運動の支援、反核政策の推進等を基調としている。
 独立以来、主要西側諸国に加え、中国、キューバ、リビア、イスラエル等と多角的に外交関係を開設している。
3)経済面では、経済的自立、人的資源開発、国内天然資源の効果的開発等を目的とした第三次国家開発計画(1992〜1996年)を導入し、社会・経済開発に取り組んできた。しかし、農林水産業等第一次産業、各種基盤インフラ等いずれの分野をとっても未だ開発が不十分であるため、外国援助に対する期待も大きい。アジア開発銀行(ADB)の協力を得て1997年半ばより始まったCRF(包括的改革計画)の下、投資誘致、輸出促進、小規模企業の育成、農村部の経済活動の奨励等を通じ、民間セクター活性化を図っている。主要産業は農業と観光であり、農産品は輸出の大半、GDPの約1/5を占め、コプラ(乾燥したやしの実)の輸出が年々増加している。牛肉、木材、ココア、カボチャが主要輸出品であるが、輸出額は輸入額の約25%(1996年)にとどまり多額の貿易赤字を抱えている。
 一方、サービス産業はGDPの約2/3を占め、中でも観光は重要な外貨収入源である。
4)我が国との関係では、1981年1月に外交関係を設立した後、1995年6月にコーマン首相、1997年10月にヴォオール首相(日本・SPF首脳会議出席)、2000年4月にソペ首相(太平洋・島サミット出席)が訪日する等、近年要人の交流が活発化している。貿易面でも牛肉の輸入額が増加する等徐々に緊密化しつつある。両国間の対話を促進するため、我が国は1996年6月に長谷川前駐豪大使を1998年7月には堀元駐フィジー大使を団長とする政策対話ミッションをそれぞれバヌアツに派遣した。
 
パプアニューギニア独立国(Independent State of Papua New Guinea)
(1)一般事情
1. 面積:46.2万km2(日本の約1.25倍)
2. 人口:519万人(2000年、PNG統計局)
3. 首都:ポートモレスビー
4. 人種:メラネシア人
5. 言語:英語(公用語)、ビジン英語、モツ語等
6. 宗教:キリスト教徒多数、祖先崇拝等伝統的信仰も依然根強い
7. 略史:
 16世紀前半ヨーロッパ人の来訪
 1884年 ドイツ、ニューギニア北東部を保護領とする(独領ニューギニア)
 1884年 英国、ニューギニア南東部を保護領とする(英領ニューギニア)
 1906年 英領ニューギニア、豪領となる
 1914年 豪州、独領ニューギニアを占領
 1920年 国際連盟、独領ニューギニアの統治を豪州に委任。
 1975年 独立
8. 政治体制・内政
1)政体:立憲君主国家
2)元首:エリザベス二世女王(英国女王)(総督サイラス・アトパレ(Silas Atopare))
3)議会:一院制(109議席、任期5年)
4)政府:首相 マイケル・ソマレ(Rt. Hon. Sir Michael Somare)(国民同盟党)
 (2002年8月就任)
5)内政:
(1)2002年6月から7月にかけて総選挙が行われた結果、与党の人民民主運動(PDM)が破れ、第一党となった国民同盟党(NA)のソマレ党首が首相に選出、ソマレ政権が発足した。ソマレ首相は「建国の父」と呼ばれ、初代首相であり、今回で4度目の首相就任。この選挙において投票箱の強奪等があったハイランド地方の2州6議席については、2003年4-5月に再選挙を実施中。
(2)ソマレ首相は施政方針演説において、(1)グッド・ガバナンス、(2)マクロ経済の安定と輸出主導型経済成長、(3)農村開発、貧困削減及び人造りの3つを目標に掲げ、経済社会回復を促進し、政治行政システムを強化する考えを表明した。
(3)1988年末にブーゲンビル銅山を巡り一部過激派地主が起こした反政府暴動に端を発生したブーゲンビル紛争は分離独立活動に発展し、PNG内政の最大の課題の1つとなっているが、2001年8月に中央政府と分離独立派との間で、(1)武器回収計画、(2)ブーゲンビル自治政府の創設、(3)ブーゲンビルの将来の政治的立場についての国民投票権の創設の3つを柱とする「ブーゲンビル和平合意」が署名された。現在、国連ブーゲンビル監視ミッション等の監視の下、武器回収が進められている。
9. 外交基本方針
 独立後27年を経た現在、PNGは豪州との対等な関係促進、国境を接しているインドネシアとの友好関係の維持、近隣諸国との連携強化等を引き続き外交の機軸としつつ、アジア太平洋地域の一員として、日本をはじめとするアジア諸国との関係強化、同地域内での多国間外交にも力を入れている。また、南太平洋地域の大国として、太平洋諸島フォーラム(PIF)において、強い発言力を有し、地域のリーダーとして独自の外交を展開している。
10. 経済
1)主要産業:鉱業(原油、金、銅)、農業(コーヒー、コプラ)、林業(木材)
2)GNP: 3,834百万米ドル(1999年、世銀)
3)一人当りGNP: 700米ドル(2000年、世銀)
4)経済成長率:-2.1%(2001年、PNG中央銀行)
5)物価上昇率:15.6%(2000年、PNG中央銀行)
6)平均消費者物価指数(CPl):10.0%(2000年、PNG中央銀行)
7)総貿易額:
輸出:2,257百万米ドル(2001年推定)
輸入:1,909百万米ドル(2001年推定)
8)貿易品目(1997年):
輸出:金、原油、銅、パーム油、コーヒー、木材
輸入:機械・輸送機器、工業製品、燃料、食料
9)貿易相手国(2000年):
輸出:豪州(52%)、日本(11%)、韓国(5%)、中国(5%)
輸入:豪州(60%)、米国(17%)、シンガポール(6%)、日本(5%)
10)通貨:キナ及びトヤ(100分の1キナ)
11)為替レート:1キナ=0.25米ドル(2001年12月)
12)経済概況
 1997年、1998年の干ばつにより農業生産が落ち込み、かつ一時的に銅及び金の生産が停止したこともあり、景気が悪化。この結果、譲許的外部資金へのアクセスが困難になり1999年の上半期にはGDPの5%に達する財政赤字が発生した。1999年7月に就任したモラウタ首相は世銀・IMFとの関係改善を進めつつ、ドナーよりの支援も得て経済の立て直しを進めた。2001年度は再建を強化し、社会・経済開発において成果をあげることに努力が傾けられた。2002年度の政府開発戦略では、陸路運輸部門インフラの再建・整備を通じた社会的・経済的利益の実現、地方での所得機会の増進に重点が置かれている。
11. 我が国との経済関係
対日貿易(2000年、日本貿易月報)
1)貿易額:
(1)輸出:4,849百万円
(2)輸入:39,289百万円
2)主要品目:
(1)輸出:銅鉱石、木材、魚介類、ウッドチップ
(2)輸入:自動車、機械類、タイヤ
12. 我が国の政府開発援助
1)パプア・ニューギニア(PNG)は、太平洋島嶼国中最も広い国土と多数の人口を有し、かつ資源にも恵まれ、1975年の独立以来、域内における中心的国家の一つである。1999年7月にスケイト前首相の辞任を受け就任したモラウタ新首相は前政権の財政運営を厳しく批判し、経済・財政危機に陥っていたPNG再建のために、
(1)政府関係機関の権威回復、
(2)通貨・物価の安定、
(3)国家財政の安定化、
(4)経済成長への障害の除去、
(5)ブーゲンビル和平プロセスの促進、
を掲げ新たな政策を取りつつある。
 ブーゲンビル問題については、1997年以降、ニュージーランドを仲介とした和平に向けた動きが活発化し、1998年1月、「リンカーン和平合意」(恒久停戦、PNG政府軍の段階的撤退、近隣諸国による停戦監視団の派遣等)が採択され、2000年3月には、住民投票による自治政府発足までの間、PNGの法令に基づいた暫定州政府を発足させることが合意された。
2)外交面では、豪州及び太平洋島嶼国との協力関係重視を基本としつつも、豪州依存からの脱却を指向し、諸外国との関係緊密化へと多角化を進めてきている。同国は1993年11月APECへの正式参加が認められ、太平洋島嶼国はもとより、ASEAN諸国や東アジア諸国との関係強化を図っている。
3)経済面では、自給自足経済と貨幣経済が混在する二重構造を有し、一次産業を主体としている。主要輸出産品は金、銅、石油、木材等であり、特に、金、銅は輸出額の約6〜7割を占めている。主な貿易相手国は我が国、豪州、ドイツ、米国等である。モラウタ首相は悪化していた経済を立て直し、マクロ経済安定化を図るため、IMF・世銀との構造調整協議を重ねるとともに、我が国を含むドナー各国に財政運営安定化のための支援を要講、我が国もこれに応える形で2000年8月に5000万ドル相当の構造調整融資の供号を行った。PNGの経済指標はこれらの支援の効果もあり、徐々に好転しはじめている。
4)我が国との間では、独立以来、友好関係を構築している。経済面では、我が国はPNGにとり第二位の貿易相手国(第一位は豪州)となっている。1997年3月には日本・PNG航空協定が締結され、7月に国営ニューギニア航空の関西空港乗り入れが開始されたが、1998年4月同社の経営不振のため我が国との直行便の運航は停止された。1997年10月には、日本・SPF首脳会議にゲニア外相が訪日し、2000年4月には、太平洋・島サミットに出席するため、モラウタ首相が訪日した。







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